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白馬岳
  
山行日
    2010年7月22日   晴れ   単独

コース     
    猿倉→白馬尻→(大雪渓)→白馬岳→小蓮華山→白馬大池→栂池自然園(ゴンドラ、タクシーを乗継ぎ猿倉へ戻り)
      【大雪渓→白馬岳→小蓮華山→白馬大池→自然園で逢った花々】はこちら

 今年も白馬にやってきた。白馬三山日帰り一周は昨年やっているので、2006年に歩いたコースをもう一度歩く。つまり大雪渓から白馬岳、小蓮華山、乗鞍岳と歩き、栂池自然園へ下るコースである。三山一周より若干楽である。雪渓を踏み、花々との出逢い、そして天気を期待したい、3:40、ヘッドランプをつけて猿倉駐車場を出発する。今回は21時に着いたが、猿倉荘前がいっぱいで、奥へ止めた、はじめてである、ここも今の時間満車に近い。林道を歩き、3:47猿倉荘からの道を合せ、未舗装の道を灯り頼りに進む。途中1ヶ所小さな沢を歩行者用の板橋を渡る。林道終点から山間に入り、間もなく消灯。
  
   林道を歩き猿倉荘からの小道を合せる             林道終点から山間に入る

 明るくなるにつれて正面に白馬山頂方向、ちょっと右に小蓮華山方向の山並が姿を現す、黒い雲が時々かかる、4:31白馬尻荘着。小屋周辺には大勢出発の準備中のようだ、「今日、雪渓一番乗りですか」、なんて冷やかす者あり、小屋前から雪渓を見渡す、大きな亀裂もまだないようだ。雪渓を歩く心得なるものが、登山道入口にある、さらに、クレバス注意も。靴音も激しく、私の前に出た男性一人、直ぐに「朝一は調子が悪い」、「そうですね」と相槌を打ったが、後退してしまった。ケルン手前30mほどの場所からアイゼンをつけて雪渓に踏み入る、4:45。
  
   山頂方向の山並                          小蓮華山方向の山並

  
  白馬岳が呼んでいる、小屋付近から                テン場、準備中のようだ

  
    白馬尻荘                             落石注意の看板

     
      白馬尻から大雪渓、上部は見えない            

  
    クレバス注意                          山頂部が朝日で染まる


        白馬岳山頂は右

  
    ケルンの手前30mほどから雪渓へ                ケルン

 べんがら(弁柄)に沿って一歩一歩前進、雪面は適度な凹凸があり歩きやすい。1/3ほど進んだ所で先方に一人、接近するとノーアイゼンだった。ゆっくり歩けば問題はないだろうが、滑ったら、下方に人がいたら危ないな。気温が上昇しているのだろう、立ち上がる水蒸気で視界を遮る。上方は黒い雲に覆われてきた、でもまた陽がさし杓子岳の岩場が輝き眩しい。1/2過ぎたろうか、前方、後方人影はない、葱平(ねぶかっぴら)が見えてきた。
  
   先方に一名、大雪渓 1/3?ほどの所               同所から下方を見る


   先方を行く方、ノーアイゼンのようだ、左が杓子岳(山頂は見えない)


   雪渓上部、この辺で1/2ぐらいかな


    葱平(ねぶかっぴら)が見えた、雲一つないように見えるが、


    下方は湧きあがる水蒸気と霧が流れて来る

 この辺まで来ると、いつものことだが落石が気になる。音もなく襲ってくる岩石(誘発される場合はガラガラから始まることがある)、気づいても、大きさにもよるが、雪面をバウンドしながら加速するから方向を見定めるのはきわめて困難であろう。古い話だが、6月下旬の雨の日、針ノ木の雪渓で30,40cm岩が雪渓を横切るように走り、同行者の1m位の所で止まった。幸い何事もなかったが、以降、雪渓を歩く時は慎重になった。葱平に近づくとザーとこすりつける大きな音、何かと見上げるとボーダーが立っていた、滑り降りてきたようだ。そして雪渓から上ろうとすると、ガラガラガラ、と杓子岳の斜面から落ちてくる小石群、時々ガチッという大きな岩に当たる音、雪渓の縁で止まったようだが、状況によっては明らかに雪渓に及ぶ、危険地帯だ、5:54葱平へ取り付く。
  
                      上部、左側はクレバスだらけ


   杓子岳北面


   葱平付近で下ってきたボーダー、後の大きな岩石と下方に伸びるズリ跡は何だろう

  
                   葱平、ここでアイゼンを外し、花を見ながら岩の間を行く


     葱平最下部から大雪渓下方を見る

 ペイントマークに沿って岩間を上って行く、クルマユリ、ミヤマカラマツ、オタカラコウ、テガタチドリ、シロウマオウギ、オオカサモチ、シナノキンバイ、ハクサンイチゲ、ハクサンフウロ、ミヤマキンバイ、ミソカワソウ、・・・・・・が歓迎してくれる。小雪渓付近で下山してきたグループに会う。「昨日落石事故があって・・・・・、危険箇所は?」「雪渓は安定しているのでべんがらの気持左を歩かれたら・・・・」、そんなわけで、昨日の事故の話を始めて聞かされた。要約すれば『21日午前10時30分頃、葱平岩室跡付近の雪渓で落石があり、直径約1mの石が○○さん(76)を直撃、多発性外傷で・・・・ということのようだ。
  
   目印に従って上って行く                    右手の流れ

  
      護岸工事のあと                      葱平この枝尾根みたいの場所


  荒々しい杓子岳の北面


    大雪渓下方を見る

 6:36小雪渓、雪を大きく切り落としてあるのでアイゼンをつけるまでもないが、急斜面なので慎重に横断する。6:43緊急避難小屋、昨年は基礎工事を終了したところだった。ここの避難小屋、壊れてしまい何度か再建しているようだ。ここからは、村営宿舎を見上げながら、お花畑の中を高度を稼ぐ。ミヤマキンポウゲ、シロウマオウギ、ハクサンイチゲが大きな群落をつくっていた。シロウマタンポポ、ミヤマオダマキ、ミヤマクワガタ、ヨツバシオガマなど今を盛りに点々と咲いていた、7:39−7:52村営宿舎。
  
           矢印の方向、小雪渓へ進む            下方を見ると大雪渓に人影多数


     急斜面を横断する、慎重に、滑落注意

  
  杓子岳の突起                            緊急避難小屋

  
    滑落注意、小雪渓の看板                  見えた!、村営宿舎


    主にミヤマキンポウゲの花畑


    主にシロウマオウギの花畑、ピンクはハクサンフウロ

  
                               白馬村の村営宿舎

 小屋周辺にはウルップソウが群生している。今年はちょっと遅いのかな、迫力に欠ける。小休止している間に、一度は覆われてしまった雲が流れ、杓子岳と鑓ガ岳の山頂部が顔を見せた。晴れた、やった!、急いで稜線に上がり眺望を堪能する、旭岳分岐7:56。西に旭岳、北に白馬岳、南稜線伝いに丸山、後ろに立山(大汝山)&剱岳、素晴らしい光景だ、若干の雲は愛嬌。山並を見渡し、ウルップソウ、オヤマノエンドウ、ホソバツメクサ、イワツメクサ、タカネシオガマ、タカネツメクサ、イワギキョウ等など足元に咲く高嶺の花を愛でる。見上げると山荘の焼却炉、もくもくと煙を吐き出し、建物に沿って流れている、この光景は異常。お高い宿泊料から捻出して下界で順法の焼却処分をしてもらいたいものだ、異臭の漂う白馬山荘着、8:16。

        ウルップソウ


                雲が払われて杓子岳、鑓ガ岳が姿を現す

  
  稜線に出ると旭岳分岐道標                 村営宿舎のテント場、後が鑓ガ岳


          西に旭岳


        北に白馬岳山頂部と白馬山荘


    南に丸山、後ろに立山&剱岳


           大汝山、別山、剱岳


    手前丸山と大汝山、別山、剱岳


    杓子岳、鑓ガ岳


             鑓ガ岳、奥穂高岳と槍ヶ岳

 玄関前の広場、ビューポイントだが、鼻をつくプラスチックの排気臭に耐え切れず、東側の崖に沿ったコースで山頂に向かう。山頂には7,8人、登山道にも4,5人山頂を目指す者あり。剱岳、槍ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、を振り向いては眺めながら白馬岳山頂、2932.2m着、8:31−8:54。居合わせた人たちの晴れ晴れした顔、見渡すパノラマ、しばし満喫する。遠望する山々は、雲に遮られてイマイチ、「日本海が見えた」と言っているが、私にはたなびく雲しか見えない。腰を降ろして食する人たち、地図を広げて山座同定する若い人たち、老若男女、汗して踏んだ山頂の満足感である。

     杓子岳、鑓ガ岳、丸山、後に大汝山、別山、剱岳   画像クリック拡大


             旭岳

  
                              白馬岳山頂

      
             白馬岳山頂


   白馬岳山頂から杓子岳、鑓ガ岳、鹿島槍ケ岳、槍ヶ岳   画像クリック部分拡大


  同、杓子岳、鑓ガ岳、鹿島槍ケ岳


       手前左から鉢ケ岳、雪倉岳、後ろ左から前朝日、朝日岳


               小蓮華山


     杓子岳と鑓ガ岳、後に鹿島槍ケ岳、剱岳


    手前左から鉢ケ岳、雪倉岳、後ろ左から前朝日、朝日岳、右に小蓮華山


       大雪渓と白馬尻荘

 北側の雲が気になっていたが、小蓮華山も時々見えるし、計画通り白馬大池に向かう。山頂から北方向に少し下った所から見上げると山頂が下の写真のように見える。当HPのTOP画面がここから撮った写真です、季節は秋ですが。また、HP開設から数年たって気づいたのですが、山渓の『日本の山』という写真集の346Pに、木村哲男さんという方が撮った写真が掲載されてます。白馬岳の特徴的なアングルではないですが、好みですね。

     白馬岳山頂を北側直下から、当HPのTOP画面です。

 岩場の花と山並を楽しみながら白馬大池まで北東方向に進む、9:35雪倉岳分岐。タカネシオガマ、ヨツバシオガマ、ミヤマアズマギク、ウルップソウ、ミヤマダイコンソウ、オヤマノエンドウ、ミヤマクワガタ、シコタンソウ、タカネツメクサ、コマクサ、ムシトリスミレ、チングルマ等など種類の多いこと、野草の好きな方絶好のコースである、小蓮華山山頂10:17−10:37。

      ミヤマアズマギク


   白馬岳山頂部


         小蓮華山


     鉢ケ岳、雪倉岳、朝日岳

  
                               雪倉岳分岐点


       鉢ケ岳、雪倉岳、朝日岳

  
       近づく小蓮華山

 小蓮華山の山頂は痛々しい、山頂にはロープが張られ立入り禁止の札、山頂にあった道標は登山道の端に寝かされ、三角点と首なし地蔵は移されていた。柵内に入ってみると亀裂の幅が4mほどに広がり近い将来崩落することがあるのだろう。これも昔の話だが、小蓮華山のコマクサを保護しながら、首なし地蔵の首を捜し続けているご老体をレポしていた映像を見ている。その時は亀裂の話など全くなかった。現在、周辺にも空洞ができているので一部崩落もあるかも。
  
   小蓮華山の山頂、西北に移動                      首なし地蔵、これも移動

  
                            山頂部の亀裂、幅4mほど

  
   三角点、これも移動                       ロープ内は立ち入り禁止となっている

  
                            ロープ外でも空洞あり


 東側から小蓮華山山頂部

 この稜線、ライチョウを良く見かける。生息数が多いのかな。カンカン照りの中で、砂浴びをする成鳥に会った。人を恐れずポーズさえ見せるような鳥、いつまでも登山者を楽しませて欲しい。今回は子連れには会わなかったが、この時間と天気では出てこないだろう、白馬大池着11:53。

   ホシガラス


     ライチョウ


       

  人間慣れしていて逃げようとしません


   砂浴びが気持良さそうです、そっと去りました


    白馬大池と乗鞍岳


     ワイドで白馬大池と乗鞍岳

  
                                白馬大池山荘

 休んでいるとまた例の事故の話、そうだ前回ここを歩いた時、登山道で転んで大怪我をし、救出のためストップさせられたのが、5分ほど小蓮華寄りの場所だった。『犬も歩けば棒に当たる』、行動はリスクがつきもの、自己責任を肝に銘じて行動すべし、かな。このコース、ここからが油断できない、乗鞍岳までの30分は良いとして、それから先自然園まで悪路が続く、山地図にも悪路と書いてあるが、ほとんど全行程とは書いてない。見所は天狗原の湿原、200,300m位、あとは今の季節だと急斜面の雪田あり、眺望もほとんどなくオススメは出来ない。おまけに猿倉までの足の問題もある。蓮華温泉の方がベターだろう。12:23乗鞍岳山頂、13:04天狗原、14:00本日の終着自然園。
  
      池の周りを石をまたぎながら進む          白馬大池北側のピーク

  
                           乗鞍岳山頂、大きなケルンあり


     乗鞍岳から小蓮華山方向

  
    石跨ぎの連続する登山道                 雪渓横断

  
     岩の間を飛び越えながら                 雪があれば歩きやすいのだが・・・

  
 白馬大池から1時間10分ずっとこんな感じのする道          やっとここで終わり

  
  天狗原に木道がちょっと、また石の間を1時間・・・・・    やっとヒュッテが見えて悪路が終った

 総所要時間は、10時間20分、白馬尻から白馬岳、乗鞍岳までは見所いっぱい、あとはつらいコースが待っている。見下ろすロープウエイ、ゴンドラリフトの景色も、今の時期特にめずらしくもない、下って来た道が道だけに、ほっとした自然園着であった。

 【大雪渓→白馬岳→小蓮華山→白馬大池→自然園で逢った花々】はこちら

 ご参考:2009/8/17白馬三山2007/8/1白馬三山2006/8/2白馬岳・小蓮華山・乗鞍岳(今回と同コース)



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