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白馬岳

山行日
    2006年8月2日   晴れ    単独

コース 概略図はこちら
    猿倉→白馬尻→(大雪渓)→白馬岳→小蓮華山→白馬大池→栂池自然園(ゴンドラ、タクシーを乗継ぎ猿倉へ戻り)

 長かった梅雨がやっと明けて、いよいよ夏山シーズンの到来、白馬岳、雨飾山、白砂山を目指し3日の予定で出発する。白馬岳は日帰り予定なので早立ちとなる、猿倉の駐車場4:40出発。薄暗い山荘脇の登山道を、足元を照らし林道へ、直ぐに鑓温泉の道を分け、白馬沢の流れを耳にしながら、時々見える雲のかかった山頂部を気にしつつ、気合をいれて踏みしめる。遅い雪解けに、咲き出したばかりのサンカヨウ、キヌガサソウ、シラネアオイに逢って、白馬尻着5:10。

 小屋の周辺には、20,30人が出発の準備をしていた。雪渓を見上げると、近くに1人、その先に2,3人の集団があった。アイゼンをつけて、露出した夏道を20mほど歩くと、監視員の立つ雪の上に出た。コースの取り方を懇切丁寧に説明してくれた、早くからご苦労なことである。それにしても今年は雪が多い、まだ一面に大きな谷を埋めている。ベニガラで染った雪を踏み、雪渓の中央部へ出る、この気分が何ともいえない、雄大な景色の中に我が身を置く爽快さである。上空は真っ青に晴れわたる、真夏の日差しに、下方は水蒸気でガスッたような光景となる。先ほど見えた人の前に出たところで、若干雪渓の勾配を増す。雪渓上にまき散らしたような岩石、これらは全て落石によるものだ、大きいものは70,80cmはある。先方の3人グループの上の方に、流失した土石流の跡が見える。ベニガラの道は手前で分かれ、どうやら右に入ったようだ。
  
 白馬尻から目指す白馬岳                   サンカヨウ

  
    キヌガサソウ                       山荘の直ぐ上から雪渓に出る

  
 一段上がったところから白馬尻               同所から上方

  
 流失した土石が視界に入る                 同所から下方

  
  ルートは流失した土石の上方に向いている       先方の3人は土石の先端で休憩中(危険?)

 ほどなく、7月22日に発生した土石流の上部を通過する、6:25、“落石注意、立止まらないで通過すること”の警告、土石の先端で上方を背にして休憩する先ほど見えたグループ、危険と思うが・・・・。ここを乗越えると雪渓の危険域に入る、無数に走る亀裂、落ちたらどうなるか、5,6mありそうなクレバス、ガスっている時の通過は要注意である。こうして歩いている間に、下方ではガラガラと石が鳴っている。下の雪が不安定になるこれからの時期は危険な箇所である。

 間もなく雪渓に張り出した小尾根に取り付き一件落着となる。雄大な景色と花々を見ながら山行を満喫できる道である。下ってくる御人に3,4人、多分先ほどの危険地帯の監視に向われる看板片手に足早に下って行く人、みな爽やかな朝の顔だ。7:15避難小屋着、小屋の上で再び雪渓に出る、急斜面をトラバースするが、大きくステップが切ってあるので危険はない。この辺から勾配は若干緩やかになり、というよりは左右お花畑、村営宿舎を前方に見ながら、となるので気分的に楽だ。杓子岳が顔を出し、鑓ケ岳がその右手に現れると間もなく村営宿舎である、8:10着。
  
 “落石注意、立止まらないで通過すること”の警告板あり  崩壊箇所は右上のようだ

  
 雪渓に無数のクラックが走る                     クレバス、先端を渡って通過

  
  2m以上の段差ができている            杓子岳北面、この辺から小さい尾根の夏道に入る

  
  小尾根から下方を見る、直ぐ下が谷を埋めた土石   花々と自然景観に陶酔できる道

  
 2003年に工事中だったところ                避難小屋右上が杓子岳

  
  村営宿舎が前方に見えてくる、お花畑の真っ只中、葱平   杓子岳山頂部が顔を出す

  
  鑓ケ岳も右手に現れる              お花畑を介して杓子岳と鑓ケ岳、感動の一画面、間もなく村営宿舎着

【花:葱平付近〜村営宿舎】
  
   ミヤマオダマキ、可憐な一輪も豪華な株立ちも、白馬に似合う野草の姿である

  
  メタカラコウ                       クルマユリの赤も鮮やかに、岩峰は杓子岳の北斜面

  
          テガタチドリ、林立を嫌うのでしょうか、点々と咲いてました

  
  白馬のついた花、シロウマオウギ            オオカサモチ(?)

  
  イブキジャコウソウ                     信濃にあって、シナノキンバイ

  
     ハクサンイチゲ                    こちらは群落をつくってます

  
  ミソカワソウ、沢山自生しているようです         ミヤマタンポポ

  
  イワギキョウ(もしかしたらチシマギキョウかも)     ハクサンフウロと杓子岳

 真っ青な天空に立山方面の眺望を見ようと尾根に駆け上る。残念ながらこの望みは、たたれた、かすかに見える程度で、山頂の判別すら難しい状況なのである。でも納得、白馬三山は見えているのだからと。ベンチにかけて、西側の旭岳、雪田でハシャグ子供達、白馬山頂と花々を観ながら小休止、別世界に感激、何て白馬はこんなに美しいのだろう、と。

 ウルップソウは、花穂が実り、丸い形をした濃緑な葉を広げ、すでに花の形すら想像できない様相をしていた。タカネシオガマは今を盛りと昆虫達に鮮やかな色を見せていた。イワギキョウ、ツメクサ、トラノオ、シオガマ、皆それぞれ微笑んで見える、8:45白馬山荘を通り白馬山頂、2932mに立つ、9:00。
  
 村営宿舎の上から杓子岳と鑓ケ岳、右は丸山      同じく、旭岳

  
 同じく、白馬岳山頂部                     かすかに剱岳と立山

  
  白馬山荘前から杓子岳と鑓ケ岳            丸山(手前)と立山の山並(うっすらと)

  
 山頂直下から白馬岳山頂                  白馬岳山頂

【花:村営宿舎〜山頂】
  
 ミヤマダイコンソウ                       ホソバツメクサ

  
   イワツメクサとタカネシオガマ              タカネツメクサとタカネシオガマ

  
  イワギキョウ(ピンクがかったものあり)          イブキトラノオと旭岳

  
   タカネシオガマと旭岳                   ヨツバシオガマ

 猿倉から4時間と20分、辿り着いた山頂、久しぶりの山らしい山の光景、気分はハレバレ。でも、雲が湧きあがり遠望はきかない、はっきり見えるのは旭岳だけ、時々雲間より杓子岳、雪倉岳、小蓮華山の姿がちらっと。行き交う人も少なく、すぐに山頂を去って行った。ここまで来ればゆっくり下山しても3時頃だろう、9:20山頂をあとに小蓮華山に向かう。
  
山頂から雲のかかった杓子岳                同じく、向う小蓮華山方面

  
  同、旭岳                            山頂をあとにする

【花:白馬岳山頂付近】
  
 山頂に残ったウルップソウの残り花            イワギキョウ、山頂から下方を撮る

 ここで、当HPで使っている白馬岳独特の山頂部の形が気になる。急峻な山頂部は、東は大きく落ちて、西に旭岳、南北には単純ではないが、稜線が連なる、変化に富んだ地形である。南と北側の斜めに引いたような線に魅力を感じる、ハイマツのなす層、秋の草紅葉に格別な美しさを感じる。下りながら振向き山容を撮る、HPはどこら辺だっけ、2000年秋のことポイントの記憶はない。5,6枚撮っているうちに、構図的に一致しそうな場所を発見、夏バージョンになるか写真に収める。
  
                 山頂部の形の変化を追いながら下る

  
                     まだ、違う、もっともっと下だ

  
               ちょっと似かよってきたが切り立ちすぎている

  
    これだ、この辺だ、登山道沿いの一つの岩の上、ここが山頂の人も見えるし、角度もいいな

  
  この岩場から小蓮華山方向                  同、雪倉岳方向

 一気に下って雪倉岳方面の道を分ける、10:05。ここまで来る間に、白馬大池方面から人たちに10数人会った、出発点は蓮華温泉か、栂池方面なのか定かでない。山並を見通したところでも点々と人影が見える。足早に下ってくる人に会ったので、聞いてみると白馬大池にテントを張り、空荷で山頂を往復してきたという。ナップザック一つ、これも良いけれど、ちょっと不安を感じるかな。
  
  小蓮華山、東側は相変わらずガスが          雪倉岳方面分岐、三国境、長野、富山、新潟かな

  
 一見不毛の山に見えますが、岩の間とかに可愛い花が咲いてます    白馬山頂方向です

  
  小蓮華方面                         雪倉方面

 遠望はほどほどに、岩間に咲く花々を見ながら、ひとりつぶやく、きれい、こんな悪条件の中で、しかし、これも自然である。条件が厳しいほど野草の可憐さがあり、人の好むところであろう、10:45小蓮華山着。東は一面にガス、北東に白馬大池見えず、これは間のピークに遮られているかな。西も南も遠望きかず。さあ、あと一息、白馬大池に向おう。

 ここからが、花々の待ち受ける道だ。特に小蓮華の北東斜面は種類に恵まれている。ミヤマダイコンソウ、イワカガミ、アオノツガザクラ、チシマギキョウ、コガネギク、エゾシオガマ、タテヤマリンドウ、ヨツバシオガマ、ウサギギク、イブキジャコウソウ、ミヤマタンポポなどなど。カメラを出したり締まったり、これが面倒なようだが、一番楽しい。

 中間のピークを越え、霧に中に白馬大池が見えたハイマツ帯で、先ほど前を行った空荷の方、「ライチョウがいるよ、砂浴びしてるよ」っていうんです、小声で。登山道の真中で、全く警戒する様子もなく、満足そうに。ハイマツの脇を迂回して、登山道に出たが、相変わらず楽しんでいるようだった。

 少し進んだ所で、今度は、「けが人を救出するため、ヘリがこちらへ向ってます。終わるまで通行止めです、ご協力ください」、といわれた。緩やかに下り、白馬大池となるハイマツ帯、前後を係りの者が道を塞ぎ、真中で応急処置がされているようだ。状況を問うと、「ほとんど平坦なところで、単にころんだだけだが、頭を打って大量に出血している」、という。間もなく、長野県警ヘリが来て、ヘリから一人降下、けが人とともに東の方向に飛び去っていった、2,3分という救出時間だった。他人事ではない、鳥肌が立った、無事救出されたようで良かった。15分ほど(11:50-12:05)登山道はストップしたかな、痕跡も生々しく、足早に通り過ぎ、白馬大池着、12:25。
  
小蓮華山山頂、山頂部に大きな亀裂が走ってます    この赤っぽいた部分が亀裂です、右は首なし地蔵

  
 小蓮華山と白馬大池の間のピーク             登山道で砂浴び中のライチョウ

  
  白馬大池を眼下に                   けが人救出で登山道一時閉鎖

【花:白馬山頂〜白馬大池】
  
  ミヤマクワガタ                       ミヤマクワガタとイブキジャコウソウ

  
                           ミヤマアズマギク 

  
              タカネヤハズハハコ、右は花が赤っぽいている

  
          ミヤマダイモンジソウ、右は水分が豊富なようです

  
  クモマミミナグサ、良く観ると精細な花です       タカネシオガマ、色合いが何ともいえない

  
    チングルマ、ガレ場で島状に         ミヤマコゴメグサ、群生してました、ここまでが山頂〜小蓮華

  
  ミヤマダイコンソウ、これも沢山ありました        イワカガミ、残り花でしょうねか

  
  アオノツガザクラ、群生してました             ちょっとアップで

  
         チシマギキョウ、藍色というか濃紫色というか、きれいでした、点々とあちこちに

  
  コガネギク、ガンコウランの間に              エゾシオガマ

  
  タテヤマリンドウ                      ヨツバシオガマ

  
  ウサギギク、周辺はチングルマの実穂          イブキジャコウソウ

  
    ミヤマタンポポ                      コマクサ、もうおしまいに近いですね

  
    チシマギキョウ、白馬大池の近く           チングルマの群生、白馬大池

 
  イワイチョウ、後はチングルマ              ハクサンコザクラ、群生、白馬大池

 白馬大池はさすが、という感じがする。蓮華温泉とゴンドラを利用して栂池方面から来る人たちの交差するポイントである。ざっと50人ほどいたろうか、テントも昼というのに20張ほど、悲しいかな平均年齢は高そうだ。ここからは緩やかに、大石小石を飛びながら乗鞍岳山頂2436.7m着12:52。東斜面の大きな雪渓を下り、岩のゴロつく急斜面を下り天狗原(標高2180m)へ、13:30。ワタスゲのゆらぐ木道を歩き、見通しの無い樹林帯の中の道、石の間を再び歩き、14:20本日の終着栂池自然園のロープウエイ駅について山行を終えた。
  
  静かな白馬大池                      ゴロゴロした岩の間を登って行く

  
  先ほど歩いて来た方向は雲に霞んで          真っ平な乗鞍岳山頂

  
  天狗原のワタスゲ                     同じく、ヒオウギアヤメ

総所要時間は、9時間40分、手持ちの山地図では10時間50分、本日のロープウエイの最終が17:20となっているので、もう少し時間をとっても良かった感じ。栂池までゴンドラで下り(¥1720)、タクシーを乗り継いで(¥5050)出発点の猿倉へ戻る。天気もまあまあ、多くの花々に会えて、この上なし、上々。


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