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sub3-209
石狩岳(北海道の山)
山行日
    2005年7月15日  晴れ   単独

コース 詳細はこちら
    石狩岳登山口(二十一ノ沢出合、駐車場)→(シュナイダーコース)→シュナイダーコース分岐→石狩岳→
    シュナイダーコース分岐→(シュナイダーコース)→石狩岳登山口

 ニペソツ山登山口から林道を6kmほど戻り、左手音更川沿いに6kmほど進むとユニ石狩岳登山口がある。予定では、1日目ここからテントを背負って入り、ブヨ沢で泊まり、2日目に石狩岳を踏み、シュナイダーコースを下って、林道を2kmほど戻るコースだった。しかし、奥まで林道が通じているようなので(手元の資料は古く、1981年の洪水で壊れたまま・・・)、シュナイダーコースをピストンすることにした。予定のコースは、累積標高差1730m、コースタイム約14時間であった。変更コースでは、累積標高差1160m、コースタイム約10時間である。

 石狩岳は、石狩川の源流で、十勝と石狩の分水嶺をなす石狩連峰の主峰である、が故に一度歩きたいという願望があった。夜明けの早い北海道、目指す石狩の稜線は朝日を浴びまぶしいくらい、ヒグマに出あわないよう祈りつつ、4:46静まり返った山間に踏み入る。実は、石狩岳もニペソツ山と並び、大勢登山者がいるかな、と思い同行者を探したが、ここでテントを張っている人は全てニペソツ山を目指す人達であった、ということで、覚悟を決めての単独行となった。カウベルとクマ笛、効果があるものやら時々吹きながら、クマザサの生い茂る二十一ノ沢に沿ってガサゴソ早足で歩いた。30分ほど歩き、沢に下りた、渡渉するのかな? 半分脱ぐことを覚悟して見渡すと、倒木と思っていたものが木組みの橋であった。全く止めてないのだが、足場と手すりらしき構造に感心した。5:15。
  
 シュライダーコース登山口                 木組みの橋

 右岸に渡って10分ほど歩くとシュナイダーコースの道標があり、近くに開削25周年1986.9.15の足寄山友会のプレートがあった。計算すると、ざっと45年前に造られたことになる、歴史だね。ここから一気に急登となり、尾根の方向にジグザグ切って進んだ。薄暗い針葉樹の森、足元にはギンリョウソウの花が点々と、もう少しで咲きそうだった。奮闘すること30分、5:46どうやら尾根に取り付いたようだ。迎えてくれたのは、淡いピンクの残るハクサンシャクナゲ、ほっと、一休み。
  
 シュライダーコース道標                  ハクサンシャクナゲ

 昨年の台風の影響だろうか、倒木が多い、またぎ、くぐって、崩落した箇所をヒヤヒヤしながら巻き、狭い尾根道の急坂にあえぐ。ほどなく、岩場に出ると、青空の下、雪の点々と残る稜線が見え、また一休さん。このコースの平均斜度はいくらなんだろう、参考資料を引っ張り出すと、2kmで850m上がる、とある、大した角度だ。6:23、左手の谷を隔てて、昨日歩いたニペソツ山の山頂部が顔を出す、ヤッタ! 振向けば、西クマネシリ岳1635m(右)とピリベツ岳1602m(左)、昨日も見た山だ。急峻な尾根道、ちょっと上がればまるっきり違う景色が広がる、それがキツイけれど楽しい。
  
  石狩連峰稜線                       石狩連峰稜線

  
 西クマネシリ岳1635m(右)とピリベツ岳1602m(左)   ニペソツ山が顔を出す

  
 そして、全体を現す                      ムラサキヤシオツツジ

  
西クマネシリ岳1635m(右)とピリベツ岳1602m(左)     ホシガラス

 変化してゆく、ニペソツの山を枝間に見ながら、足元を確保しつつ、高度を稼ぐ。7:18、“かくれんぼ岩”なるプレートを過ぎると、石狩の稜線は手にとるよう、しかし、石狩岳の山頂はどれだか検討がつかない。あれが音更山かな? あれは石狩岳山頂かな? 幾分緩やかになって、20分ほど歩くと、
あれがあれで、こっちが石狩岳だ、と思ったら直にシュライダーコースの分岐点に飛び出した、7:56。
  
 枝間からニペソツ山                     ついにニペソツ山の全容を見る

  
 石狩岳山頂部、稜線近し                  稜線、シュライダーコース分岐点、正面石狩岳

 ここの眺望は素晴らしい、石狩岳を南方向に、左にウペペサンケ山とニペソツ山、右が大雪山(表大雪)、そして北側に音更山、足元にはコマクサの可憐な花。コマクサと大雪山、一緒に入る写真を、と地面に寝そべってシャッターを切る。ピントを花に、遠景に、無い知恵は数で、と撮りまくる。誰もいない石狩の峠道、独り占めするのはもったいない。山頂まであと1時間はかかるまい、瞼にしっかり定着させて、8:10山頂へ向う。

 分岐点のパノラマ、ウペペサンケ山とニペソツ山(左)、真中が石狩岳、右が大雪山(表大雪)


  大雪山(表大雪)の右(稜線北側)に音更山

  
 コマクサと大雪山                      分岐点からニペソツ山とウペペサンケ山がチョコッと

  
 分岐点から石狩岳                      稜線から音更山

 ぬけるような青空の下、稜線歩きは楽しい、花に眺望に、見入る我が身を滑稽と感じる。小さい植物が大きな花をつけ、精一杯誇らしげな姿を見せ、虫達を引き付け、そして実をつける、人もその美しさ、可憐さに心を癒され、感動する。短い夏、厳しい環境、その中で自然の摂理、とは良くしたものよ、地球に喝采! 9:00、石狩岳1996m山頂着。
  
 エゾツツジ                          同、アップ(大きい葉っぱは、ウラシマツツジ)

  
  山頂近し、エゾキンバイソウ                エゾキンバイソウと石狩岳&ニペソツ山

  
  イワヒゲ                           エゾノツガザクラとアオノツガザクラ

  
  チングルマ                          エゾノハクサンイチゲの群落

  
 石狩岳山頂直下                       直下の岩場でエゾツツジ

 山頂での眺望は稜線で見た景色のいわば集大成のようなものだ、360度これは見事、岩峰ニペソツ山は槍の穂先のように厳しく、音更山、石狩岳は緑に包まれた女性的な感じがする。遠望する、十勝連峰、大雪山系、2000年に歩いた、端から端まで、山頂を一つ一つ、指差しながら確認する、富良野岳、三峰山、上ホロカメットク山、十勝岳、美瑛岳、美瑛富士、オプタテシケ山、トムラウシ山、ここまで十勝連峰。そして、化雲岳、五色岳、これは平坦に見えるところかな、忠別岳、白雲岳、旭岳、黒岳、黒岳は見えているのかな。

 南の小石狩岳まで往復する、岩間に寄り添うように密生するミネズオウ、イワウメ、イワヒゲ、ウラシマツツジ、エゾツツジ、彼女等にも人間社会のように勝ち負けがあるのだろうか、いや、高嶺の花は、ゆずりあって支えあって、風雪に耐える知恵の塊だろう、そう思いたい、そうだろう、9:50山頂をあとにする。
  
 石狩岳山頂、背景は表大雪                   山頂より北側、音更山


 山頂から、十勝連峰、大雪山系全容

  
 大雪山系旭岳方面                     トムラウシ山〜忠別岳

  
 十勝連峰、富良野〜トムラウシ山             トムラウシ山アップ

  
  すぐ南の小石狩岳とニペソツ山、ウペペサンケ山     小石狩岳から石狩岳



  
 イワヒゲ                            イワウメ

  
 エゾイソツツジ                         エゾノハクサンイチゲ

  
 エゾコザクラ                         コマクサ

  
  ハクサンシャクナゲ                     さらば、ニペソツ&石狩の山

 復路は、シュライダーコース分岐10:20、かくれんぼ岩10:50、11:50尾根と分かれてジグザグに下り、沢を渡って12:13、そして12:41登山口に着いて、誰もいない石狩岳の山行を終えた。好天に恵まれ、たった独りの石狩岳、見る景色、逢う花々、皆新鮮、この上ない満足感に浸った山行だった。見た小動物、シマリス2匹、鳥ではホシガラス、見た花数知れず、眺望抜群、皆脳裏に整理してしまっておこう。これだけのチャンスも少ないだろうな、今日は最高だね、北海道バンザーイ。


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