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剱御前
 
山行日
    2004年10月14、15日 初日晴れ、曇り、雪   二日目晴れ   単独

コース 詳細図はこちら        扇沢〜室堂の写真集へ
    室堂→別山乗越(剣御前小屋)→剱御前→別山乗越(剣御前小屋)→剱沢(テント泊)→別山乗越(剣御前小屋)→室堂

 14日から、一日目剱御前、二日目剱岳、三日目大日岳、山行の予定で出発したが、結果は雪のため2日目以降の予定を中止してしまったレポートです。今回の山行は、日本標高ベスト100の70番目、剱御前を第一目標に、剱岳と大日岳を歩こうと計画した。大幅に崩れることはないという、天気予報を信じ、扇沢朝一番7:30のトロリーバス、ケーブルなどを乗り継いで室堂に降り立った。

 快晴の室堂は、最後の秋を楽しもうとする大勢の人たちで賑わっていた、9:28ターミナルを出発する。直に、目指す剱岳を別山乗越の左手に見る、雲が周辺にあるものの、その雄姿は青空に突き刺さるようであった。ミクリガ池の脇を通り、ガスの噴出する地獄谷の遊歩道を下る。大日岳には雲がかかり、剱岳も雲の中に消えつつあった、雷鳥平へ9:58着。ターミナルから120mほど下って、最低部の沢を渡ると大日岳への道を分ける、10:04。ここから別山乗越まで、標高差450m強の急な登りとなる。総重量17kgが肩に食い込む、道は明瞭、石に標された黄色のペイントに沿って、高度を上げていく。見下ろす地獄谷と室堂、取り囲む浄土山、雄山、大日岳の雄大な景色を振り返りながら汗を拭う。
  
 室堂から眺める剱岳、左奥               室堂から、別山、富士の折立〜雄山を眺める

  
 地獄谷から大日岳方面を見る             地獄谷から剱岳方面を見る

  
  地獄谷、噴出するガス                  荒涼とした大地、草紅葉と緑のコケは鮮やかだった

  
                大日岳方面は雲に覆われ、姿を現したかと思うとまた隠れる

 乗越の手前で下山者に会う、「冷えてきましたね、・・・・・・」、「ハイ、・・・・」、と言ったが、その感覚はここではなかった。間もなく、勾配が緩やかになり別山乗越(剣御前小屋)着、11:37。地獄谷で見た様子から今日は剱岳は見えないだろうと思っていたら、なんと丸ごと見えるではないか。吹き抜ける風は冷たく、ヤッケを着ける、ここで先ほどの会話を思い起こす。雲の動きは早く、剱御前方面は雲に覆われていた。
  
 別山乗越(剣御前小屋)から剱岳を北方向に見る    山頂部のアップ

  
 別山乗越から別山方面                 別山乗越から剱御前への取り付き、山頂は奥に

 ザックを岩陰にデボし、剱御前に向かう。乗越の取り付きの所に、“剱御前三角点から黒百合のコル方面は、荒廃につき通行禁止”、の案内板があった。登山道は、途中に小さいピークが3つほどあるが、巻き道もあり明瞭である、12:03剱御前山頂2777m着。剱岳の絶好のビューポイントと思うが、山頂に着いた時には、視界が100mもなく、三角点を写真に収めて、少々待ったが回復せず下山する、別山乗越12:25着、剱沢テント場13:00着。赤いテントが一張、その後一張り、計三張りに増えた。雲間の景色を見てはカメラに、しかし、4時頃から雪に変わり、強い風がテントを直撃した。強風、叩きつける霰まじりの雪、雷光?に、うたた寝程度で朝をむかえた。
  
  剱御前を間近に                     厚い雲の間から剱岳の八ツ峰を見る

  
 剱御前山頂付近から剱沢を見る              剱御前山頂部

  
  剱御前山頂                        剱沢テント場から剱御前方面

  
 剱沢テント場からやっと見えた剱岳           剱沢テント場から剱岳の八ツ峰を見る

 明るくなると小降りになり、赤いテントさんに声をかけると下るという、もう一人もしばらくして下るという。7:00、雪は殆どやみ、赤いテントさんより一足先に出発する。しかし、目印らしいものが見えない。昨日のなさけない記憶のもと、別山乗越(剣御前小屋)目指して、右を左を探しながら登る。深いところは70,80cmほど、平均で40cmというところ。記憶にある目印は、比較的テント場に近いところに、小さな橋があった、あとは岩石に標したもので雪の下。50mほど登り過ぎたところで、右手下方に橋を発見、軌道修正を行なう。下から見上げていた赤いテントさんがしきりに手を振って修正方向を指す。視界も大分よくなり、100mはありそう。橋を渡って一安心、あとは剱沢に張り出した小さな尾根を登りつめれば、別山からの北西斜面に取り付くはずだ。
  
 一面雪に覆われた剱沢テント場、同泊のテント     剣沢小屋(冬季閉鎖中)

  
 別山側斜面、雲間に青空が                同じく、日が指してきたような感じ

 急斜面の吹き溜まりはきつい、コンパスが足りない、あえぎながら直登する。すると“ゲーゲーゲー”、と低い鳴声、主は雷鳥であった。早速一休み、警戒もせず、写真の出来はわからないが、ポーズをとって写真におさまる、正面から、右向き、左向き。すると、覆っていた北の厚い雲が一気に払われ、真っ白い剱岳が、ニョキッと現れた。一晩かけて、衣替えした雄姿である。雲は急速に流れ、あっという間に剱沢全体の雪景色が浮かび上がった、感動の一瞬である。
  
                       ハイマツの斜面に雷鳥を見る

  
                 急速に回復する天気、剱岳が化粧直しして登場


          剱御前も顔を出す

  
  ついに、剱岳全体が浮かび上がる          後立山連峰も雲海の上に整列する


  左剱御前、右別山側、中央正面に剱岳(パノラマ加工)


        剱岳&後立山連峰、この絶景に立ちすくむ(パノラマ加工)

  
  剱岳全貌                            後立山連峰アップ

  
 別山方面からの強風に流される雪が顔を殴る       純白の御前様です

 数箇所、足場の悪い所も無事通過、なんと2時間半ちかくかかって、9:23別山乗越(剣御前小屋)到着。吹き抜ける強い風と吹き溜まりに、剱岳を見納めして乗越を下る。ここからは、ルートがはっきりしていると思いきや、雪に埋もれて立ち止まった。山並みを眺め、道を見極め一気に下った。下りは、楽だ、新雪を蹴散らかし、軽快にくだる。朝一で下る者の特権だ。でも、時々立ち止まり、眺望を脳裏に焼付ける、二度と見られないこの一瞬。大日岳分岐点少し手前で、これから向かう若者に出会う、踏み跡に安心した様子だった。「気をつけて行ってらっしゃい」、に笑みで応えていた、10:22大日岳分岐着。
  
 別山乗越から浄土山方面                 別山乗越から大日岳方面

  
 竜王岳、浄土山、薬師岳                  薬師岳をアップ

  
  雄山方面                           同アップ

  
                         大日岳方面、ほぼ下りの中間地点から

 雷鳥平のテント場で、小休止、身支度を整えて10:45出発。明日、大日岳を目指すことも可能と思うが、一日繰り上げて帰宅することに迷いはなかった。この情景に、心身ともに洗われて?、大満足の結果だろう。地獄谷、ミクリガ池、と観光客が大勢雪景色を背景に写真に収まっていた。この光景に、人間社会に戻ったような気がする、11:40室堂ターミナル着。早々、混雑するターミナルを後にする。
  
                     地獄谷、化粧直しした剱岳が天を指す


   雄山〜浄土山方面(パノラマ加工)


         ミクリガ池に雄山、浄土山を映す

 総所要時間は、1日目が3時間32分、2日目が4時間40分、合計8時間12分であった。一夜にして冬山と化した北アルプスも、これで長い冬を迎えることでしょう。そして、また輝かしい新緑の季節に山よ木よ、花よ、また逢おう。

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