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燧ケ岳〜尾瀬ヶ原
  
山行日
    2005年10月6日  曇り後晴れ   単独

コース 詳細はこちら
    大清水→尾瀬沼→長蔵小屋→(長英新道)→燧ケ岳→見晴十字路→竜宮小屋→山ノ鼻→鳩待
           【燧ケ岳山行】                     【尾瀬ヶ原散策】
    (帰路:鳩待⇒戸倉⇒大清水は、バスを乗り継ぎ戻った)

 今年の山行日程は、天気を選んでいるせいか、なかなか思うようにいかない。10月に入ったら天気も安定するだろう、と思っていましたが、秋雨前線が横たわったまま。時々晴れても長続きしない、今回も一日だけと考え、比較的北に面して高気圧に近い尾瀬を目指した。コースも柔軟に、晴れたら、曇ったら、雨になったら、と3つほどコースを考えて出かけたが、結果は上のコースを歩けたので、まあまあ満足している。目的は、紅葉見物と燧ケ岳の眺望を楽しむことにあった。燧ケ岳山頂の遠望は残念ながら、ガスがかかり期待はずれであったが、紅葉は全体を通して満喫できるものであった。以下前半を燧ケ岳山行、後半を尾瀬ヶ原散策に分け綴りました。山行時間は合計11時間弱、早発ち必須、中味はそれなりに濃く期待も大きい。



燧ケ岳山行(大清水〜三平峠→三平下[尾瀬沼山荘]→長蔵小屋→浅湖湿原→ミノブチ岳→俎ー→柴安ー→見晴十字路)
 小雨降る赤城の北側を抜け、大清水の駐車場で仮眠、3時起床、星も沢山輝き、これはイタダキとばかり3:18出発する。前橋の日の出時刻が5:43、なので三平下で時間調整、晴れていたら前回のコースを歩き尾瀬沼の日の出をと考えていた。沢の音と熊よけのチンチロリンを聞きながら、真っ暗な林道を歩く。時々天を仰ぐと星の数が少なくなったり、見えなくなったりしていた。4:05一ノ瀬休憩所着、周辺は少しガスがまいている感じ、星見えず、山靴に履き替え、梨を食して山間に備える。

 ここを出て橋を渡り、間もなく登山道に入る。板の階段と石畳が続く、濡れているせいかヘッドランプが乱反射して見難い、仕方なく手に持ちかえる。足元との距離も半分ほどになり、見やすくなった。沢の音はいつしか消え、コツコツ板を叩く靴とストックの音だけとなった、30,40分歩くと勾配は緩くなり、ほどなく三平峠到着、5:10。上空は明るくなってきたが、足元はまだ暗い、曇っているのか星は見えず、ポツンポツンとあたる滴が雨かな?と思ってしまう。
  
 大清水登山口ゲート、林道を一ノ瀬休憩所まで     まだ暗い三平峠

 三平峠から緩やかに5分ほど歩く、足元も明るくなり、ランプを消す。徐々に勾配を増す、濡れた木道は、スリップ止めの桟の打ってあるところはいいが、よく滑る、慎重に下る。尾瀬沼山荘の灯りが見え、先方の自動計測に目線が移動したその瞬間、スリップ転倒して尻モチ、イテッ! またやっちゃった。5:25、三平下着、小休止、多少痛いが、歩くのには支障ないようだ。天候は曇り、沼は霞み、どんよりしているが雨の心配(心配しても仕方ないが)はないようだ。時計回りはやめて、長蔵小屋経由で長英新道を歩き燧ケ岳に向う、5:35。

 明るさを増す尾瀬沼を見ながら、20分ほどで静まりかえった長蔵小屋に到着。小屋の方が一輪車を転がし、片付けごとをしているようだった。沼山峠への道を分け、橋を渡った所でカメラを構えた男性に会う。この日この時しか撮れない被写体にカメラを向けて奮闘中のようであった、私も失敬してその横で1枚。林間を歩き6:13、長英新道分岐点着、浅湖湿原を見渡す。垂れこめた雲に対岸の森、湖面が細く横に走り、紅葉した湿原には茶、黄、黄緑、緑と層を成していた。山側のクサモミジは、濡れていることもあり、光沢のある赤茶色に染まっていた、燧ケ岳が背景にあれば最高だったが・・・・。
  
 早朝の尾瀬沼周辺を歩く                  静かな尾瀬沼、長蔵小屋付近

  
 クサモミジとミネザクラの紅葉、左が長蔵小屋      浅湖湿原(長英新道分岐付近)

  
 浅湖湿原の山側                       浅湖湿原の沼側


 長英新道に入り、コメツガの森をしばらく緩やかに登る。水溜りがあちこちにあり、グシャグシャな道を拾いながら進む、倒木も点々と。1800m付近から勾配を増し、広葉樹が混生してくる、紅葉を見ながらの山道歩きとなる。でも、足元は泥濘あり、凸凹あり、ドッコイショと大股を上げるところあり。ナナカマド、カエデに混ざり、ミネザクラの赤が綺麗、散り残った葉の美しいこと。視界はあまり良くないが、色づいた木々に気持ちは晴れ晴れ、急登も何のその、止まるポイント数知れず、210m付近からゆるやかな登りとなり、紅葉も真っ盛りとなった。ダケカンバの複雑に曲がった樹形と白い枝、先端に残った黄色い葉、薄くかかった霧、小生のお気に入りの一コマである、脳裏に深くメモっておこう。ハイマツ帯に入るとすぐ、石積のあるミノブチ岳にでる、8:24着。
       
 長英新道分岐、奥が浅湖(アサミ)湿原         朽ちた栂を飾るツタウルシ、深い森の中で紅一点

  
          森林の中のグシャグシャした道を抜け粘土質の登山道となる

  
            カエデ類の紅葉、赤、黄

  
          つつじ類の紅葉、これも赤、黄

  
  ナナカマドの紅葉、これは真っ赤(逆光で黒ずんでいる)   ナナカマドの実も熟れて

  
                   樹床では鮮やかな緑の苔と散り落ちたブナの葉が

  
                 ミネザクラの紅葉、これも真っ赤っか

  
             ダケカンバの紅葉、白い樹形と黄緑の紅葉、赤色はナナカマド

  
 このハイマツを抜けるとミノブチ岳             ハイマツ、ダケカンバ、キリ、この光景、大好きなんだなあ

 ヤッケを着て、石積にタオルを敷いて腰を下ろし、朝食をとる。灰色の天空を見上げ、天気を読む(勘)。その時、薄日が差し、燧ケ岳の東稜線が薄っすら見えてきた。劇的な展開がはじまろうとしているではないか、次の瞬間赤ナグレ岳が雲の中にボヤッと姿を現す。それ、急げ、出発だ! 天気は小生の到着を待ち受けたように、急速に回復傾向にあった。ナデッ窪からの道と合流点では、俎ーの山頂もほぼ現れ、ミネザクラの紅葉した小枝越しに美しい山体を見た。早くも下山してきた人に会う、「あっ、山頂が見えてきた、随分待っていたのだが・・・・」、と言っていた、ナデッ窪分岐8:47着。

 前を見ては俎ーを、左を向いては霧のかかった柴安ーを、後方を向いては紅葉真っ盛りのミノブチ岳を撮りながら、足早に山頂直下の岩場を登る。どうやら、先ほど見えた山頂にいた人は下ったようだ、誰もいない山頂に着いた、9:05。見渡すが、東側から北側は雲が厚く、南側のミノブチ岳、御池岳方向は時々スッキリした光景を現す、そして雲間から尾瀬沼と沼周辺のクサモミジがチラッと覗ける。西側は柴安ーを境に霧が巻き上がり、全容は見えない。霧が流れて雲間に広がる紅葉真っ盛りのミノブチ岳周辺の紅葉を眼下に見て、西峰、柴安ーへ向う。
  
 ナデッ窪ルートの合流点から俎ー             ガスが消えて、一瞬クッキリと

  
  もう少しで山頂だ                      柴安ーもうっすらと

  
 振向けば紅葉真っ盛りのミノブチ岳が、湿原も雲間に   真中の火口もはっきり、隣の御池岳


  三角点のある燧ケ岳山頂、俎ー(マナイタグラ)からミノブチ岳と御池岳

  
 三角点のある俎ー山頂、2346m               半分霧のとれた柴安ー山頂部

 山頂を西側に下り、登り返すと燧ケ岳最高点2356m、柴安ー(シバヤスグラ)山頂に出る、9:26。燧ケ岳は総称で、双耳峰として知られている俎ー(マナイタグラ)と最高点2356mの柴安ー(シバヤスグラ)、更に歩いて来たミノブチ岳、赤ナグレ岳、そして火口の見えた御池岳の5峰からなる火山である。ちなみに、尾瀬沼が生まれたのは、8000年前赤ナグレ岳の溶岩流によってせき止められた、と聞いている。もう一つ、御池岳は500年前に出来た溶岩ドームで、目に見える燧ケ岳の火山活動では一番新しいようです、9:35山頂をあとにする。
  
  鞍部から柴安ー                    同じく、俎ー

  
 柴安ー山頂、燧ケ岳最高点2356m           山頂から尾瀬ヶ原方向を撮る

  
           ツツジの紅葉、この色は真っ赤っか、柴安ー直下

  
  赤ナグレ沢の紅葉                     樹間に尾瀬ヶ原が見えてきた

  
    時間の経過とともに霧が晴れ見える範囲が広がっていく     見晴の小屋も眼下に

  
  ハリブキ                           ウルシ

  
                      ブナの森のちょっと早い紅葉

  
  コシアブラ?の紅葉                   沼尻(ヌシリ)-見晴間の遊歩道へ合流

 下り始めると真っ赤なツツジの紅葉に会う、背の低いツツジで葉はサラサドウダンに似ていたが、ウラジロヨウラクかも知れない。一人、二人と続々燧ケ岳詣でにやってくる年輩者に会う、「昨日至仏山に登って・・・・・」と話す、急登に立ち向かうおばさんたち。紅葉もいいけれど、元気な人たちに会いお互いに励ましあう一言の会話、何にも変えがたい勇気を与えてくれるものである、11:11沼尻-見晴間の遊歩道に出る。尾瀬沼方面からやってくる人たちの横で、間食、山靴を脱いでウオーキングシューズに履き替える、見晴十字路着11:27。


尾瀬ヶ原散策(見晴十字路→竜宮小屋→山ノ鼻→鳩待峠)   このページのTOPへ戻る
 早目の昼食だろうか、小屋の周辺は大勢の人たちで賑わっていた。いきなり、真正面に至仏山が飛び込んできた、山頂部は雲に包まれていたが、もう少しで雲が払われるようであった。パッとクサモミジの尾瀬ヶ原が開け、木道を行き交う人たちがチラホラ、これだけで絵になりそうな光景だ。振向けば燧ケ岳がくっきりと現れていた。青い空、白い雲、赤い紅葉の目立つ山腹、麓の森とカラフルな小屋、真中を走る複線の木道はクサモミジを左右に分ける。クサモミジの濃淡、茶系ではあるが単純な茶色ではない、音楽に脳を刺激し活性化させる効果があるように、この色合いにも似たような効果がありそうだ(森林浴も同じかな?)。周囲を山に囲まれた尾瀬ヶ原、貫く木道、満足そうに見入る男1人、天空の雲も取り巻く草木、皆友達って感じ。
  
 見晴十字路から至仏山                   振向けば燧ケ岳

  
                握りこぶしが2つ、静かに佇む景鶴山、

  
 流れる雲がクサモミジにアクセントをつける        ボッカさんが通る道、燧ケ岳一直線

  
 白樺の林が尾瀬ヶ原を分断しているように見えるところ、 ミネザクラとナナカマドの紅葉、いずれも背景は至仏山 

  
   マユミの紅葉、真っ赤な実をつけてます        ミネザクラの紅葉

  
 トチノキの葉の紅葉                       ヒツジグサの紅葉

  
 池塘に映る景鶴山                       一休さんがいっぱい

  
 池塘に映す秋の雲、ヒツジグサ、クサモミジ         葉を落としたヤチヤナギ

  
                      至仏山を背景に尾瀬ヶ原の中心部

  
                      池塘とヒツジグサ、クサモミジとシラカバ

  
    景鶴山を背景にシラカバの紅葉のはじまり      遠のく燧ケ岳、シラカバ

 全体として今が見頃といえば見頃、霜が降りて、雪で白く染まるまで、尾瀬ヶ原ファンには常駐したい日々が続くことでしょう。本日はウイークデー、沢山の人たちに会い、色とりどりの紅葉をこの目で見、爽やかな秋の風を肌で感じ、いうことなし、12:58山ノ鼻着、小休止。

 山ノ鼻を出て、浅い紅葉の林間を進む。熱心にファインダーを覗き込む女性、見るとツリバナの熟れて落ちかかった種子を撮っていた。一緒に見させてもらったが、5片に分かれた赤い皮の中から、5つの赤い実がぶら下がっている、自然は不思議な実の付け方させたものだ。川上川の橋のたもとに真っ赤に熟れたマユミの実、つき方が半端でない、尾瀬ヶ原で先ほど見たものは、マバラだったが、この株はスゴイ、実だらけって感じ、来年もなるのかな。
  
 ツリバナの赤い実                      マユミの実、川上川の橋のたもと

  
  トチノキの紅葉                       カエデの紅葉

  
  カエデの紅葉                        ツタウルシの紅葉

 鳩待から山ノ鼻に向う人たちに大勢行き会う、鳩待に向う早足の人とユックリズムの人、稀に一緒になる。お互いゆずりあって快く交わす。車社会もこうならないのだろうか、ハミダシ禁止っていう規制だけで縛らないでモラルの向上を図り、難しいかな、余計なこと言っちゃった。空き缶を背負ったボッカさんと鳩待峠へ同時ゴール13:55、本日の山行は、これまで。

 総所要時間は、10時間37分であった。尾瀬沼のご来光、燧ケ岳からの遠望は見られなかったが、見頃を迎えつつある紅葉は、全コース(大清水-三平下は暗くて判りませんでした)で楽しめ、いい山行であった。コースとしてはちょっと長いけれど、尾瀬を一日で堪能できるのですから、得したよう。大清水駐車料金¥500、鳩待峠-戸倉バス料金¥900、戸倉-大清水バス料金¥590、あとは家からの車往復180km、4時間半、を付加えて書いておこう。
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