★気ままな男の山歩きHOME 山行記録(日付順 ) 山行記録(山域別) 走れ!“忠治”★ sub3-208 ニペソツ山(北海道の山) |
山行日 2005年7月14日 晴れ 単独 コース 詳細はこちら 杉沢出合登山口→天狗のコル→前天狗→ニペソツ山→前天狗→天狗のコル→杉沢出合登山口着 ニペソツ山は、ウペペサンケ山と石狩岳の間にある、東大雪の最高峰である。初めて室蘭のAさん達と旭岳を歩いた時、「あれがニペソツ山で、鋭い岩峰が魅力的な山で、見て良し、登って良しの山だ」、と聞いた。でも、ニペソツ山を歩くとは夢にも思わなかったので、「ハァー、良い山ですね」、とその山行は終わった。あれから約15年、十勝連峰、大雪山系のあちこちを歩き、段々、目から脳に、そしてついに行動の機会となった。調べれば調べるほど、ウキウキしてくるから不思議だ。13日苫小牧で下船、鵡川、日高、十勝清水、然別湖を通り夕刻登山口である杉沢出合に19:00に着いた。後から来た北海道の方と、明朝5:00発を申合せた。他に秋田1台、土浦1台も駐車していた。 空は青空、身支度をしていたら3台12人がやってきて、山に入っていった。先発が大勢入ったし、北海道の若い方と一緒だと気持ちが楽だ、彼は2度目というが、山頂は踏んでないといっていた。適当について行く、ということで、4:45登山口を出発する。十六ノ沢にかかる太い丸木の橋を渡り、いきなり急斜面を這い上がる。20分ほど歩き、先発の調布から来たという12人のグループの前に出る。針葉樹の深い森、汗を拭いながら黙々と歩き続ける。 ほどなく、ハイマツ帯となり、ハクサンシャクナゲ、エゾイソツツジの点々と咲く、緩やかな道に変わる。再び急斜面が待ち受ける、時々樹林帯から東、南方向の山並がちらつく。東に双耳峰のように見える西クマネシリ岳1635m(右)とピリベツ岳1602m(左)、通称オッパイ山と彼は説明してくれた。南にはウペペサンケ山のなだらかに見える山頂部が、そして前天狗の山頂部も顔を出す。写真に夢中になっていると、調布のグループに抜かれてしまった、年輩者のグループのようであるが、なかなか健脚ぞろいのようだ。 ハクサンシャクナゲ エゾイソツツジ 前天狗の山頂部 ウペペサンケ山遠望 西クマネシリ岳1635m(右)とピリベツ岳1602m(左) 西クマネシリ岳1635m(右)とピリベツ岳1602m(左) 道は小天狗1681mの南側を巻き、岩場に出て、また一緒になる。さて、この岩場、右に巻こうか左に巻こうか、標しがない。結果的には私は右上の岩場から、彼は左下を巻いて通過した。岩場を過ぎ、緩やかに下って、天狗のコルという鞍部に出て、エゾコザクラ、チングルマ、キバナシャクナゲ、ウコンウツギの咲く湿地帯を通過する。この辺が残雪期、テント場に利用されるとか、6:35着。 小天狗の岩場、上へ上がり岩の間を抜ける 下を巻いても通れる 前天狗に近づいてきた、天狗のコルから エゾコザクラ チングルマ 北海道にも生える、コヨウラクツツジ お花畑を抜けると、ダケカンバ、ミヤマハンノキの茂みの中を通り、ハイマツの広がる岩場にさしかかる。左にトムラウシ山〜忠別岳付近、右に石狩連峰が大きく鎮座する。もう、足が動かない、素晴らしい展望だ。高度を上げていくにつれ、変化して行く十勝連峰、大雪山系、石狩連峰を見ながら、緩やかに上ると幌加温泉からの道を合わせ、お花畑と雪の残る十勝・大雪の山並、大展望が開ける、7:40。北海道の相棒は大きなカメラを覗いて、動こうとしない。どうやら、調布のグループは、ニペソツ、天狗の山頂を目指すメンバーに分かれるようだ。ここから、しばらく、調布の年輩の男女と歩いていた。 トムラウシ山〜忠別岳付近まで遠望 石狩連峰 パノラマ加工、オプタテシケ山〜白雲岳?、そして手前に石狩連峰 パノラマ加工、十勝岳〜忠別岳付近まで眺望 幌加温泉からの道を合わせる 真正面に目指すニペソツ山の山頂部が顔を出す キバナシャクナゲ コマクサ ハクサンチドリ アオノツガザクラ エゾノツガザクラ イワブクロ エゾノウサギギク マルバシモチケ 前天狗から天狗岳までは、岩峰の点在する変化に富んだ登山道が通じている。岩間には高山植物が、へばりついて、短い夏の到来を遅しとばかり、形にしては大きな花をつけ、行き交う人間どもに精一杯飾ろうとしているのが愛らしい。抜きつぬかれつ、天狗の岩稜と遠望する山々を背景に、山頂へとはやる気持ちと足元の花への気持ちが交差する、鞍部8:40、最後の登りにかかる。 天狗の岩峰を巻いて登山道は延びている 十勝連峰も気持ち近くに感じる 名も知れぬ岩峰とトムラウシ山 鞍部は、もう少し 離れて行く天狗の山頂部 鞍部付近から天狗山頂を望む 近づいて行くニペソツの山頂部 ラスト、西側の岩場を巻いて 標高差300mあまり、一気に登れば30分というところだろう。しかし、折角のニペソツ山行、ちょっと歩いては腰を降ろして花に語りかけ、遠のく雲に形良い雲になって山頂近くで舞ってくれ、と願う。ハイマツ、ミヤマハンノキの低木に支えられ、一歩一歩終着に向けて山靴を運ぶ。西側は大きく落ち込んでいる、見下ろす斜面では、エゾキンバイソウ、エゾノハクサンイチゲが黄色と白、大きな群落をつくっている。足のとの岩には、イワヒゲ、イワウメ、コケモモ、チシマギキョウが可憐に咲いて、山頂へと導いているようだ、9:28ニペソツ山2012.7m山頂着。 ニペソツ山2012.7m山頂、一足先に着いた秋田の人 山頂の岩場に咲くミヤマオダマキ エゾルリソウ ミヤマアズマギク ミヤマオダマキとミヤマアズマギク、山頂直下を撮る エゾキンバイソウ エゾイソツツジ イワウメ イワヒゲ ミヤマキンバイ 秋田、調布、群馬、そして地元北海道の顔が一同にそろった、「バンザーイ」も聞こえた。「生きたーい」、という声も聞こえた。あれ?、と思ったら、その方は心臓の大手術の跡を見せ、説明を付加えた。五体満足な人たちに混じって、大病を患い山を求める根性に感服、遠望する風景は勿論、足元に咲く高山植物の可憐な花も感動を覚えるが、この山頂で自然に発した『生きたーい』、に熱くなるものを感じた。 岩場では、エゾルリソウ、ミヤマオダマキ、ミヤマアズマギクが咲き乱れ、十勝・大雪の山々を背景に、この山の山頂に立つ喜びに、遠き道もかいた汗も今は何も考えない、薄い雲のかかった山並みを目で追いながら、2000年夏を思い浮かべる。10:15、あの方の手を堅く握り、「また、どこかの頂上で、会いましょうね」、と山頂をあとにする。 復路は、花々に引き止りつつ、来た道を戻る。今朝の顔と今の顔、短時間で姿を変える、生物の持つ不思議な姿を往復歩くとはっきりと読み取れる。草木も人を見ているだろうか、人が花を見るように、「そんなに急いで、何処へ行くの」、って。小天狗巻き道の岩場12:43、登山口13:46着で遥かなるニペソツ山の山行を終わった。総所要時間は、9時間01分であった。 北海道の山というと、ヒグマの出没を心配するが、大勢の人たちが群れて歩くと気分的に安心できる。今回の場合、その痕跡は全くなかった、ルートは明瞭だし、天気も良かったし、花も最高。しかし、ガスったら、要注意箇所は2,3あった。天狗・ニペソツの稜線は、中部山岳の稜線歩きを思い出させるようなところがありました、イイ山ですね。深田久弥が、日本百名山に、登ってなかった故に選べなかった山だとか。 |
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