気ままな男の山歩きHOME  山行記録(日付順 )  山行記録(山域別)  走れ!“忠治”
sub3-145
谷急山(妙義山塊)

山行日
    2004年5月7日    晴れ    単独

コース
    国民宿舎→三方境→谷急山→三方境→国民宿舎

 妙義山塊の谷急山(やきゅうさん)は1162mであるが山塊の最高峰である。この最高峰という言葉に、裏妙義を歩き三方境で幾度となく気持ちを駆立てられた。しかし、熟達者の入る山で尾根ハイクの延長線上では考えられない、という感覚を持っていた。現在では、市中に出回っている、一般向けの案内書でも取上げられているところをみると、大丈夫だ、となってきて5月初旬に歩こうか、となった。山頂は素晴らしい眺望が待っている、これも刺激する文言だ、早く天気になーれ!

 4:50国民宿舎裏妙義に車を止めて、林道を歩く。7,8分で三方境の入口に着く。中木川を渡り、杉の人工林に入る、三方境までは、複雑に張出した小さな尾根を巻きながら進むので、無数の沢と尾根を横断する、標高差は370mあまり、新緑に萌えるこの時期とはいえ、同じ様な光景の連続にうんざりもしてくるが、時々奥深く差し込める光に若葉の輝きを見ると、すがすがしさを取り戻す、6:07三方境着。

 ここは、北は烏帽子・赤岩から丁須の頭に向かう、西は並木沢を下ってR18に出る。東方向は今来た国民宿舎である、南方向が本日目指す谷急山へ通じる道である。冬の間に落ち葉がすっかり払われて、登山道が明瞭になっているのは幸いだ、朝食をとって6:17谷急山へ向かう。
  
 三方境の入口                        中木川を渡る、丸太の橋あり

  
 三方境の矢印方向に杉林へ入る           こんな沢を連続して横断する、晩秋は紅葉の谷となる

  
 この大きな岩は登山道の少し奥           道は明瞭、枝尾根は白紐でクローズ、ペイントの矢印も目立つ

 緩やかに登り、少し下ると左手へ延びる尾根がある、ここが大遠見峠である、6:23。大遠見峠を印ものはなく、三方境・谷急山の標識は大小2つあった。枝尾根方向には、“女道”を示す小さい標示があり、はっきりした踏み跡もついていた。広葉落葉樹の道を進む、この辺の秋の紅葉は素晴らしいだろうな、要所には登山道の標示があり、迷い込む心配はない。若葉の間から、妙義の山が、霞みの中にシルエットを映す。潅木に掴まり急登すると、樹林帯の中にP984と思われるピークの脇にでた、そこにも道標があり、北に小さい尾根が延びていた、6:34。

 ここから急に、尾根筋の道は痩せ、岩場が目立ってくる。前方に、突き出た前衛峰と呼ばれるピークが枝間に見えてきた。ピークに近づくにつれて斜度を増し、潅木と根っ子に助けられる、小体型の私にはいささかハンデが大きい。ストックが邪魔になる、バランスを崩して踏み外したら、ドングリころころではすまない。岩峰直下を右に巻いて、よじ登ると前衛峰に到着する、7:10。
  
 約800mの三方境、峠で登山道が十字に交差する     周辺の妙義の山々は朝霧に霞む

  
 細い急坂の道                          表妙義のシルエットが枝越しに

  
 振向けば枝間に裏妙義、左の突起が烏帽子岩1117m   行く手に前衛峰

  
 ミョウギイワザクラ                       同、アップ

 ここの展望は素晴らしく、新緑の尾根筋の向こうに、妙義の山並みのシルエットを春霞みの中に映していた。緑一色の谷急山もすぐそこに見えていた。南の大烏帽子の向こうに荒船山、その向こうにはきっと霞みがなければ、八ヶ岳が見えているんだろうな・・・・・・、と。
 前衛峰からも妙義山塊パノラマ加工写真
  
 前衛峰から表妙義                        同じく

  
 前衛峰から裏妙義                      同じく、右奥に丁須の頭

  
  前衛峰から大烏帽子の向こうに荒船山        前衛峰から鼻曲山・浅間隠山方面

  
前衛峰から緑に包まれた谷急山                 同じく

 このピークを過ぎると、小木の間を急降下する。パッと左側を見ると、大きく落ち込んでいる巨大な岸壁に目がいった。途端緊張が走る、そこでカメラを出して一服、数回シャッターを切ってルートを見入る。慎重に三点確保、やっとのことで鞍部に降りる。そこは40mもありそうなV字型のキレットが口をあけていた。割れ目を通して見る新緑の美しさ、岸壁にへばりついた植物、自然の力強さに喝采。足場を確保し、またカメラを取り出し、縦に連続撮影、合成したら面白い写真が出来るだろうな、恐怖感が安堵へと変わった。勿論、ここで足を踏み外したら一命の保証はない、右も左も。

 数メートルのヤセオネを渡ると、草付きの斜面が待っている、所々に小さい岩が露出して、木も根っ子も間隔が大きい、おまけにぬかっているのである、再び緊張が走る。距離にしたら僅か2,3m、じっくりと見据える、勿論下りのことも考える。小木寄りに足を運び、素手で土砂をおさえ、無事通過する。ここから2つ3つピークを巻きながら進み、左手に大黒乗越からのルートを合わせ潅木の急登を最後に谷急山山頂に着いた、7:41。
              
     大ギャップ(パノラマ加工写真)                     小ギャップ

  
 ヤセオネ                             最後の急登

 霞みに遮られ、眺望はイマイチであったが、妙義山塊の展望は手にとるように見えた。若い浅間山、鼻曲山、浅間隠山、榛名山、そして秩父の連峰が、老いた妙義の山塊、多野の山々を囲み、労わっているかのように映る。山頂にはトウゴクミツバツツジが満開で、お後にヤマツツジが控えていた。岩場に咲く、一株のミョウギイワザクラ、淡紫色の可憐な花、いつまでもこの岩陰で咲かせ続けてほしい、と思いつつ、8:05帰路につく。
  
 谷急山山頂                            山頂から表妙義

  
 山頂から裏妙義                         山頂から裏妙義、真中が烏帽子岩

  
 荒船山が霞み                          浅間山が霞む

  
  山頂のミツバツツジ                     ヤマツツジが開花寸前

 往路悩んだポイントも、慣れのせいかスムーズに進み、前衛峰で小休止、霞みのとれてきた山並みをカメラに。P984と思われる先端まで足を運ぶ。たたみ1畳ほどの平らな岩峰となっていて、谷急山の本日歩いた山並みが手にとるように見えた。浅間山は相変わらず霞み、眼下に松井田の山間集落、高速道が走る。足元にはフデリンドウが数株満開を迎えていた。
  
 P984の先端から前衛峰と谷急山              同じく霞む浅間山

  
 同じく、松井田の奥地を眼下に                 同じく、烏帽子岩

 三方境9:16、小休止して檜林に入り往路を戻り、10:17林道、10:27国民宿舎の駐車場へ戻り山行を終えた。総所要時間は、5時間37分であった。結果としては、問題ヶ所も2,3あったが、無事完了できたことが嬉しい。比較的妙義の中でも、侵食が進んでない尾根筋が多く、歩き易かった、といえる。山頂は、妙義山塊を展望するには、確かに良いポイントといえるでしょう。コースとしては、ルートは明瞭だし、お薦めですが、あくまでも慎重に。谷急山・裏妙義縦走なんて考えはお止めになった方が、良いでしょうね(時間的には可能でしょうが)。



気ままな男の山歩きHOME  山行記録(日付順 )  山行記録(山域別)  走れ!“忠治”