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筑波山北部縦走
 御嶽山・雨引山・燕山・加波山・足尾山・筑波山

山行日
    2003年3月29日    曇り   単独

コース 詳細図はこちら
    岩瀬駅→御嶽山神社→雨引山→燕山→加波山神社→加波山→一本杉峠→足尾山→きのこ山→上曽峠→湯袋峠
    →筑波山山頂直下→筑波山(女体山)→茶店→筑波山神社→筑波駅

  真壁町から北に長く連なった筑波山を見て、一度歩いてみたいと思っていたが、山道はあるのだろうか、道路を歩くだけではつまらないだろう、と考えてみた。ネットで調べ2,3例を参考にして、日帰りで岩瀬駅から筑波山経由で筑波駅まで歩くことにした。筑波駅からの帰りのバスが、15:30と17:30(土日)いずれかに決めた、所要時間を10時間〜12時間を想定した。

 岩瀬駅付近に車を止め、5:27駅前の御嶽山への道標を見て出発する、600mほど東に線路に沿って進み、踏切を渡って車1台がやっと通れる舗装道路を進む。左手は沢に沿って田圃が開け、徐々に左右の山の間隔を縮めていく、近くでキジが鳴く、ウグイスの囀りがあちこちから聞こえる、澄みきった良い声である。5:47御嶽山入口へ、先ほど抜いていった車が止まっていた、御嶽山はここから0.5kmと書いてあった。沢沿いの登山道は、うっそうとした檜の人工林に作られた丸太の階段を登っていく。少し歩くと四阿屋があり、沢の水を懸樋に引いたしゃれた感じのお休み所がある。そこから方向を変えて稜線に出て、間もなく御嶽山神社に着く、5:59。社務所らしき所に人が集まっていた、先ほど会った人は、スコップを持っていて、イノシシがどうのこうの話していたが、これから何やら始まるのだろうか。年輩の男性が一人、行き先を訪ねてきた、行程を話すと、山の名前を言い出して「こりゃたいへんだ、気をつけて・・・」、「ありがとう」と一言。

 御嶽山からは、緩やかな登りではじまり、5分もすると少し下る、間もなく前方右手にアンテナが視界に入り、左手は金網が敷設してあり採石場の上であることが書かれていた。6:10右折して急坂を下りはじめると、メスキジが足元からガタガタガッと飛び立つ、下りきったところで小さな橋を渡り登り返す。今度は藪の方向からコジュケイの声がする、チョットコイ-ィ、チョットコイ-ィ、野鳥にとっては平和な山のようだ。傾斜が増して杉林に入る、手入れが行き届き小さいけれど美林という感じがする、樹床はシダにおおわれ緑色をしている。ここを抜けて赤松の森に入る、といっても赤松はことごとく立ち枯れし無残な姿である。

 回り込んだせいか、アンテナを今度は左手に見て、また檜の人工林に入る、ここはうっそうとしていて手入れがされてない、相変わらず樹林帯の中の登山道を歩く。やっと変化を感じた、左手下に林道らしきものを発見、すぐに接近してまた離れた。ここから5分も歩くと大きな鉄塔に出た、どうやら携帯電話の中継アンテナらしい。下の林道はここで終わっていた、道はアンテナの管理用なのでしょう。ここには、雨引山0.4km、御嶽山1.9km、岩瀬駅3.7kmの道標があった。アンテナの脇を6:29通過して間もなく、一直線に丸太の階段が山頂へと伸びていた、雨引山山頂着、6:39。

 たれこめた雲に残念ながら409.3mの山頂の眺望はイマイチ、向かう筑波山の輪郭がやっと見える程度、手前の燕山が意外に堂々とした姿で鎮座し、これから先かなりのダウン&アップを感じさせた。燕山の近くにもアンテナが見え、右手には別のピークがわずか顔を覗かせていた。眼下にはのどかな田園風景が広がり、道沿いの街並みが周辺を取り巻く防波堤のように映し出されていた。晴れていれば、すばらしい眺望の楽しめる所でしょう。
  
   雨引山から筑波山                          同じく燕山

 ここから少し下り、6:48雨引観音への分岐点である、道標には1.7kmと書かれていた。ザックが1つ置かれていたが、先ほど山頂付近で会った4人のグループのものかな、と勝手に想像する。雨引観音往復もチラッと考えたが、今日は先の読めない長丁場であり、先に進むことにする。更に下り、どうやら東のピークを巻いているようだった、静かな登山道脇では咲き始めたキブシの花が唯一目を止めた。広々とした広葉樹の中を、緩やかな登り、左に大きく曲がった、そこには雨引山1.4km、燕山3.7km、加波山5.1kmの道標があった、7:04。

 単調なアップダウンを繰り返し、樹林の変化のみが興味を引く。一帯は山桜の大木が多く、大きいものでは直径60cmぐらいなものから、1本が30cmほどある5本も株立ちしているものがある、咲いたら見事でしょう。道はまた大きく左へ曲がる、ピークをつなぐ境界に沿って登山道が整備されているようだ。キジバトの鳴声を耳にする、テテポッポー、ポッポー、テテポッポー、ポッポーを繰り返す、平和な山中である。

 今度は右へ90°ターンする、間もなく東飯田バス停と書かれた札が木に下がっているのを見た、7:38。ここまで来てはじめて葉をつけた赤松に気づく、数えたら直径30,40cmものが7本あった、でもやっと生きているようで、やがて立ち枯れする運命にあるようだ。前方を見ると、大きく山が伐採され地肌を見せ重機の爪痕が無残だった、よく見ると50cmほどの檜が植林されていた。伐採地点の終わる所に道標がり、雨引山4km、燕山1.1km、加波山2.5kmと書かれていた。振り向けば雨引山が、3,4つ重なった尾根の向こうに存在感を呈していた。
  
  東飯田バス停への分岐付近から雨引山            同じく燕山1.1kmの道標

 手すりの設けた丸太の階段を30mほど登り、ブナの幼木を発見、広葉落葉樹の稜線を進む、アオダモ、リョウブ、サクラ、低木のヤマツツジ。針葉樹の赤松も葉を付けたものが目立ってきた、低木のサカキも、いま時は樹林の中で目立つ存在だ。突然、10mほど前方からヤマドリが、ガタ、ガタ、ガカと、羽音をたてて飛び立ち下っていった、長い尾からオスである。もうそろそろ繁殖期に入る頃である、多分メスはじっとこちらを見張り動かないのだろうな、と思いながら静かにその場は通り過ぎた。

 あと燕山まで0.5kmだ、また時計を見る、8:01。ここの登山道は、頻繁に道標がでてくる、道標を目障りという人もいるが、あと一歩、あと一歩、で歩いている人にとっては勇気がでると思うし、安心する面も多々ある。そんなことを思いながら燕山山頂、標高701mを踏む、8:12着。ここは樹林帯の中で、眺望は枝間に見る真壁町ぐらいである。でも、ヤマツツジの咲く頃は、ほのぼのとする光景を堪能できるのではないだろうか。小休止して8:22出発する、ここまででざっと全コースの1/3の行程を3時間弱で歩いたようで、ほぼ順調である。

 山頂から少し下ると、正面の2つのアンテナが見える、林道も見えてくる、7,8分で休憩所につく。手前のアンテナはNHKのようである、休憩所からは北に小高い燕山と歩いて来た登山道が一直線に続いていた。案内板には、筑波山縦走路の説明があり、“コースは北に燕山から雨引山へと続く稜線の途中から、坂東24番札所の雨引観音へ、南に加波山からきのこ山を経て、浅野家ゆかりの伝正寺へと向かいます。・・・・・”、と書かれていた。加波山まではあと1.2kmのようである、舗装された道を歩いて、もう一つのアンテナ、建設(国土交通)省加波山無線中継所の下を通り、再び山中へ入る。
  
  燕山山頂                             NHKアンテナ脇の休憩所より燕山

 登山道は稜線に沿って、林道も平行しているようである。間もなく正面に加波山が顔を出す、林中の送電線を真中に入れて写真を1枚、山頂のお社も見える、どんな山なのか胸が弾む。8:40林道にでる、ここから岩瀬町猿田方面の林道が通じているようである、真っ直ぐ進めば加波山へ向かう。ここからちょっと入り込むと、立派なお社を構えた加波山神社に着いた、加波山神社の礼拝の作法として2拝4拍1拝とあった、作法にならって参拝する。

 加波山の参道を登ると、脇には無数の祠が祀られ、石碑が立ち並び、参道の自然石には幣束が立てられていた。五穀豊穣、土地がらなのか、たばこ神社なるものもあり、不勉強の私にはさっぱり何が何だかわからなかった、土地の方はそれぞれご利益があって、願掛けに参られるでしょうが。8:54、標高709m、加波山神社本殿に着いた。感じとしては次の社のあるピークの方が高そうであるが、振り向くとアンテナが2つ、燕山が半月状に、稜線東西の光景が広がり深山の雰囲気がただよう。
  
  加波山を正面に見る                          加波山神社

  
  参道                                   加波山神社本殿

 いくつかのお社のある小さいピークを越え、若干下がった所に、本殿がまたあった。ここは留守のようである、この脇には道標があり、一本杉峠2.1km、雨引山6.6km、燕山1.5kmと書かれていた。ここから道は南東方向に下る、加波山の山頂一帯には結構大きなブナの木がある、筑波山もそうであるが、緯度経度と標高から貴重ではないかと思う、山全体が信仰の場として開発の手が加えられなかったからだろうか。大きな石は、加波山では皆神様ということでしょうか、点々とある幣束を見ながら下って9:17林道へ飛び出す。加波山までは、道標が頻繁に設置されていたが、ここからは少なくなった。
  
  一本杉峠2.1kmの道標                       大きなブナの木

  
   アオキの実                            一本杉峠、一本杉は左、右は檜

 ここを横切って登山道は登りにかかる、40mほど登り丸山山頂576mを通り、140mほど下って一本杉峠へ出る、9:31。名の通り大きな杉の木が一本あり、土留めに石が組まれていた。ここで山道を探すが見当たらない、様子を見ながら林道を10分ほど歩き、赤い目印のテープを見つけ山の中へ、東側から回り込むようにして足尾山、標高627.5mへ出た、9:57。この山は、古くは万葉集によると「葦穂山」と書いたとか、山頂には小さい神社が祀られ、柱には使い古したゴム草履が沢山縛り付けられていた、足の病をもった人が願掛けに奉納したものだろう。小休止して10:05足尾大神に下る、崩れ落ちそうな本殿の前には、積み上げられた履物があり、なかには義足もあり、異様な光景もするが、その神にすがる気持ちもわかる。
  
  足尾山山頂                              足尾大神

 大神からすぐに林道へ出る10:12、ここから林道歩きが始まる。ここから、きのこ山までの2.3km、その先県道7号線と交差する上曽峠までの2.7km、そして次の県道150号線の湯袋峠までの3.2km、合計8.2kmである。歩き始めて3分ほどすると、人声がするハングライダーの練習場である、山の東西の見通せる比較的くびれた絶好の場所なのだろう。4,5人が後片付けをしているようだった、空を飛んでいる姿しか見ないが、意外に大きいものである。10:49展望所のある、きのこ山着、案内板には広葉樹の生い茂る一帯には秋になると沢山のきのこがとれるとか、山がきのこの形に似ていて誰となくきのこ山になったとか、書いてあった。展望所が山頂ではなく、茶店跡の裏手が山頂らしいので踏み込んでみたが、まあこの話はやめておこう。

  上曽峠まではずっと緩い下りである、ハングライダーの関係車両が沢山行き来する、その度路肩によけて避難する。この道は誰のものか、考えさせられる。上曽峠着11:24、八郷町と真壁町の境界である、標高320mほどである。県道7号線を横切って、林道北筑波稜線に入る、一応コンクリートブロックが並べてあって車両は通行止めとなっていた。ここからは80m緩やかに登り、60m緩やかに下る、県道150号線12:04出合、小休止。
  
  きのこ山への道標                          キブシの花

 町境の湯袋峠までは0.4kmとあり、わずかにここから登る、地図上では峠から境界に沿って南西方向に尾根を登りつめれば筑波山の山頂である。1/5万地形図では、わずか峠に進んだ所から、道が山頂との中間地点を通る林道まで記されている。感覚的に境界には道があるだろう、と信じ込み峠に向かう、地図上の道も気になり注意する、道らしきものはあったが、沢に沿ってついていた。12:17峠まで歩いたが、コンクリートの壁があり、斜面も急で躊躇う。通過した沢沿いの道が正規のルートと判断して引き返す、12:23。

 やはり、ここが正規の道である、踏み込むとすぐ2つに別れ、白い紐が尾根の方向を目指して付けられていた。急坂を登ると峠の延長線上に出た、そこからは境界の杭が点々とあり、それを目印に進む。道は、樹林帯の中で視界はきかないが、同趣味の人か、山仕事の人がつけた、踏み跡はしっかりしていた。12:54林道へ出る、林道は状態からするとあまり利用されてないようである。山側を見ると、新しい黄色いロープがさがっている、躊躇なくロープをつたって斜面をよじ登る。

 ここから5分ほど歩くと、次の林道へ出た。そこには東筑波ハイキングコースと支柱に書かれた真新しい道標があり、筑波山つつじケ丘2.0km、国民宿舎つくばね2.4km、と真壁方面の表示があった。ここでまた考える、左に進み筑波山つつじケ丘経由で山頂を目指すか、地図にはないが山頂方向へ真っ直ぐ進むか、どちらかである。点々とついていた境界の杭も見られなくなった、時間も気になる、しかし、ここまでは地図上で間違いはない。思い切って土手を登り、伐採された急斜面を登り、広葉樹の美林をぬって、13:22真壁へ通じる登山道らしき道に出る。見渡すと30,40m下方に夫婦が歩いていた。「済みません、山頂から下って来たのでしょうか」と尋ねる、「そうです、・・・・」丁寧に説明してくれた。

 ここまで来れば、あとは時間の問題だ、15:30に間に合わなければ、17:30がある。標高は600mを越えているし、あと300m弱を登れば良い。10分ほどすると、山頂直下の鉄塔が目に入った、近くに見えた。調子は上々、何箇所か脇道もあったが、一目散、上を目指す。融け残った雪をまたいで、女体山直下に13:43飛び出た、山頂着13:45。
  
  東筑波ハイキングコース道標                   山頂直下の鉄塔が見えた

 ザックをおろし小休止、歩いて来た山々はどんよりした雲でうっすらとしか見えなかったが、入れ代わり立ち代り山頂を詣でる人たちで賑わっていた。視界も悪いし、風も冷たい、皆写真を撮って直ぐに帰っていく、平均3分ぐらいだろうか。眼下のつくばの街を見て、ちょっと早いが、しばし今日の達成感を味わう、13:53山頂をあとにする。
  
  筑波山山頂                                振り向けばうっすらと歩いた山々

  
   眼下に最終目的地が                         山頂には次から次へと大勢の人が

 つつじケ丘方面に下り茶店、14:13、筑波山神社まで2kmを見る。北面とは様相の違う南面の広葉常緑樹の多い山中を下る。筑波山の樹木も守られてここまで成長し続けている、湿気とほどよく抜ける風は心地よい気分にさせる。筑波山神社を通り、道路へ出た所で14:50、歴史を思わせる屋並を抜けて、ちらほら咲いた桜を眺め、最終目的地、筑波駅(関東鉄道つくば北営業所)着15:20。

 合計所要時間9時間53分であった。曇り空、春には一足早い時期ではあったが、大変面白い山行であった。林道歩きを覚悟して、ウオーキング用シューズを用いたが、山道は急勾配があちこちにあり、しっかりした山靴が良いと思う。距離的には全行程30km前後と思うが、舗装道路が14kmで半分近く占めていた。また標高累計ではざっと1300m〜1500mあり、それだけに達成感はあるが、意外ときつい山歩きと思います。



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