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佐武流山  

山行日
    2002年10月12日   晴れ      2名

コース
    林道ゲート前→登山口→物思平→ワルサ峰→ナラズ山分岐→坊主平→佐武流山
    →坊主平→ナラズ山分岐→ワルサ峰→物思平→登山口→林道ゲート前

 1997年、3回目の白砂山山行の時山頂で会った一人の方が、これからヤブコキで佐武流山に向かうと話していた。私には特長のある苗場山だけが写り、中間は目に入らなかった。またその人の発音が“サブレ”と聞こえて横文字っぽい面白い山名だなと思った。苗場山と白砂山の途中に有り、ヤブコキしなければ行けない2000m超の山ということはその時知った。帰宅後早速調べ、魅力ある山と思いつつもテントをかつぎヤブをこいでまで歩くことまで考えなかった。佐武流は“サブリュウ”または“サブル”と山の参考資料にはカナをふっている。

 昨年夏、中央アルプスの三ノ沢岳で出会ったKさんに尾瀬の景鶴山、白砂山と佐武流山に同行を頼まれた。昨年の紅葉シーズンの終わる頃、最新の情報をインターネットで調べたら、長野県の北信地方、栄村秋山郷の山好き仲間の集団「前進倶楽部」が主体となり、ボランティアの人達たちも加わって修復作業を終え、通れるとのことであった。尾瀬の景鶴山は5月に、そして今回はこのルートを辿って、林道ゲートから往復することにした。

 鳥甲山の山頂が赤く染まりかけた、5:48ゲートをくぐり林道を進む。間もなく左斜面に大きな桂の木を発見、15本ほどに根元で別れて株立している、どうしてこのような生育となったのか不思議である。林道はヘアピンカーブを繰り返しながら、徐々に高度をあげていく、1km、2km、6:32林道が二股に分かれ更に進む。次第に檜俣沢との巾を小さくしていく、6:39ゲートから4km地点を通過、登山口が気になる。約5km進んだところで登山道入口の道標が目に入った、6:58。天気は上々である、見上げるとシラカバの紅葉が月夜立岩に映えていた。

 丸太の急な階段を下り、いよいよ登山開始である。蛇行しながら120mほど下り檜俣沢に下りる、渡渉である。丈夫そうなザイルで対岸とガッチリ結ばれていた。ザイルを頼りにストックで調子をとりながら、石の上をポンポン、ポンで5秒たらず、同行のKさんは靴をぬいで丁寧に川底を歩いて渡った、7:14渡渉を終わる。対岸にはテントが1張あり、この方は時間的にみて既に上の方まで登っている頃と思えた。木洩れ日のさすカラマツの樹林帯を抜けると石と根っこの露出した急斜面の登りとなる。樹間から時々対岸の大岩山と月夜立岩が顔を覗かせていた、立ち止まっては出る汗を拭う。勾配が若干緩んだころ、小休止7:43〜7:50、間もなく地図上の1574m地点に近いところと思うが、1mもあるコメツガの枯れた大木に“物思平”と表示板が打ち付けてあた、8:02、その板にはワルサ峰へ60分と書かれていた。
  
   桂の株立(帰路写す)                                月夜立岩

  
   登山口、ここより檜俣沢へ                      檜俣沢渡渉

  
   物思平                                  頚城山塊遠望

 ここからしばらく急登が続き、8:18視界が開け稜線は明るくなった。沢を介して大岩山と月夜立岩、左に鳥甲山、遠く頚城山塊も青い山体を映していた。樹林帯はコメツガからシラビソにかわり、ブナ、ダケカンバの混生林となる。稜線はヤセて木の根をよけながら高度を上げて行く。小さいピークで小休止8:31〜8:40、ここから30mばかり下って登り返すとワルサ峰1870mであった。ここからの眺望はみごとなもの、近くは苗場山が手にとるように、遠くは白馬岳の白っぽい山肌まで晴天の秋空に映し出されていた9:00〜9:08。
  
     ワルサ峰1870m                           ワルサ峰から苗場山

  
   ワルサ峰から岩菅山                      ワルサ峰、佐武流側から写す、左鳥甲山

また40、50m下って登り返す、シャクナゲと根曲がり竹の切り株で歩きにくいところだ。ひと登りすると急登は終わり、緩やかにトラバースしてナラズ山の分岐にさしかかる9:42。西赤沢源頭、左苗場山、赤倉山、右佐武流山、白砂山と書かれた表示板がシラビソの木に付けられていた。ここから苗場山までのルートも文頭に示した人たちによって切り開かれあと400mを残すだけとなった、と聞いている。9:50山頂を目指し最後の登りにかかる、山頂部はここからは見えないが標高差で250mほどだ。シラビソがマバラに生え、所々に泥濘のできる地形を緩やかにアップダウンを繰り返すと、間もなく坊主平に着く10:00、切り株を並べた、お休み所となっている。ここを過ぎて稜線上に出ると左手にピークが顔を出した。

 ここから15、20分登りつめると佐武流山山頂であった、10:35着。同行したKさんも喜びに小じわを抑えてカメラにおさまった、2192m佐武流山の感動だ。前方には白砂山へのはっきりした踏み跡がついていた、でもどこまではっきりしているのだろうか、樹林帯の中に消えている。東方向には遠く足尾山塊からはじまり、真中に一際目立つ皇海山、日光白根山、尾瀬の山並が続き燧ケ岳へ、そして上越の山が更に左に越後三山へと山々が眺望できる。北方向には特徴的な苗場山、手前に赤沢山の山体がずっしりと横たわっていた。我々のこの喜びは地元の人たちの尽力によるもので、感謝感謝である。山頂に居合わせたテントの主、我々の後に着いた人達で佐武流山あれこれの談義が始まる。
  
   ナラズ山分岐                              山頂がやっと見えた

  
   山頂より苗場山                               山頂の道標

 11:12下山にかかる、11:40坊主平、11:47ナラズ分岐、12:17〜12:47ワルサ峰、13:06〜13:11物思平、13:42〜51渡渉して小休止、14:02林道へ、15:14林道ゲートへ戻り佐武流山山行を終えた。

 所要時間総計9時間26分であった。70近い同行のK女史も、天候にめぐまれたことと沢の水かさが少なく川底が見えていたので全く不安はあかった。ただ、急坂の下りはいささかこたえていたようだった。


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