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太平山・晃石山・馬不入山・岩舟山

山行日
    2003年3月21日   晴れ   単独

コース
    太平沢駐車場→太平山神社→太平山→晃石山→桜峠→馬不入山→高勝寺→岩舟山→岩舟駅前→
    太平下駅前→太平沢駐車場

     コース詳細 国土地理院1/50000地形図 古河、栃木に赤色で示した。
    

 先日同じ職場にいた女性の結婚式に招待され、同席していたTyさんを式場から佐野駅まで送ろうとしたが、道を間違え岩舟駅まで送った。その時、6,7年前に桜の花を見ながら石段を登り、太平山神社から尾根づたいに歩いて、岩舟駅でゴールした時のことを思い出し、急に歩きたくなった。天気も良く、暖かくなる予報なので、夜明けの50号線を走り、太平山神社下の太平沢駐車場から6:28スタートする。

 車道を歩いて、謙信平へ早朝の関東平野を展望する、春霞で遠望はきかないが、陸松島とか言われている眺望は、なかなかの絶景であった。ちょっと先の山本有三の文学碑に立ち寄る、“たったひとりしかない自分を、たった一度しかない一生を、ほんとうに生かさなかったら、人間、うまれてきたかいが、ないじゃないか。 路傍の石”、と石碑に刻まれていた。考えさせられる言葉である、『自分の一生を、ほんとうに生かす』ということは、端的でわかりやすいが、キチンとした自分の生き方を持つこと、そして信念を貫き通すこと、これに悩み続けて老いてしまうのではないだろうか、そんな気がする私である。

 茶店の所から鳥居をくぐり、石段を上がって太平山神社へ、6:46着。早朝にもかかわらず、参拝する年輩者をちらほら見かける。案内板にそって、富士浅間神社、晃石山への登山道に入る。杉森の眼下に栃木市の街並みを見ながら進むと車道を横断して間もなく、道標があり、富士浅間神社0.1km、晃石山1.5km、太平山神社0.6kmと書かれていた。真っ直ぐ進み、6:57太平山山頂346m着、広葉樹に囲まれた真中に富士浅間神社が祀られていた。木の間から日光方面の山が若干眺望はできたが、樹林帯の中である。南に少し下りちょっと進むと、ぐみの木峠へ出て大中寺への下山道を分ける、7:10、晃石山へはあと1.1kmである。
  
  山本有三の文学碑                           太平山神社

  
  太平山神社                              男体山、女峰山

 ここから丸太の階段を登る、左側は桜、クヌギなどの落葉樹、右側は檜の人工林、ところどころにサカキ、カシの常緑広葉樹が混ざる明るい林間の散歩道である。小さいピークを越えたところで東側が開け、筑波山が朝もやの中に薄っすらと映し出されていた。間もなく西側が落葉樹となって小枝の間から日光の山々を展望できた。一登りして、419.1m一等三角点のある晃石山(てるいし)山頂に着いた、7:31。ここも木立の中のピークであった。

 ここから、小さいピークを幾つか越え、木製の手すりのついた急坂を下りきると、桜峠に着く、7:54。峠には桜峠の言い伝えが書かれていた、“桜峠は、晃石山と馬不入山の間にある峠であり、表東山道と裏東山道との連絡路で山桜があるところからこの名がついています。” さらに、“民話では、皆川城が上杉勢に攻められ、落城した際、一人の武士が荷物を、桜峠の繁みに埋めました。その後、里人の間では、『桜峠に金の鹿の置物が埋められた』と言われていました。また、山に雪が積もった時、一番早く融けた所に埋められているとも言われています。”、と書かれ、後の世の人々が金塊探しに押し寄せた、とは書いてなかった。いずれにしても、昔は岩舟と葛生方面を結ぶ大切な道だったのだろう。今では、アズマヤも建てられ、ハイカーのお休み場となっている。
  
   朝もやの中に筑波山                         一等三角点のある晃石山

  
  桜峠の山桜                                南から晃石山を見る

 ここから、南南西にアップダウンを繰り返しながら、所々で日光の山々を木々の間から見ながら、樹林帯の中を進み、一登りすると345.2m馬不入山(うまいらずさんと1/50000地形図には仮名がふってある)に8:22着く。ここには三等三角点がある、ベンチも2つあり、どちらから来ても絶好の休憩ポイントである。ここに書かれている説明文によると、“この辺の尾根道は、古くから峠越えの道として利用され、ここは太平山系の山の中でもひときわ高く、当事の交通の足として使われていた馬も通りにくい難所であった”、つまり難所の意味で、馬が越えられない、ではない。桜峠まで1.3km、晃石神社2.5km、岩舟駅3.3kmの道標有り、道はここから大きく曲がり南東方向へ下る、8:29。
  
   樹間に日光の山                          樹間に日光の山

  
   岩舟駅3.3kmの道標                        尾根道

  
  晃石山                                  樹間に日光の山

 急坂を下って小さい登りにかかる、振り返ると馬不入山の堂々たる雄姿に立ち止まって見入る。2つほど小さいピークを越え、高圧線の鉄塔がせまるころには、山際を走る車の音がしきりに聞こえてくる。最後に丸太の階段を下り道路に出る、8:54。登山道は道路に沿って10mほど北に寄ったところから、不法に投棄されたゴミ?の間を抜けて、温水溜池に出て、じめじめした道をちょっと進むと、二つ目の溜池を右に見て、再び狭い道路に出る。道路を3分ほど歩き、岩舟山登山口という小さな立て札に沿って9:07右折し、人家の前を抜け山際の小道を歩き、駅方向から通じる高勝寺への道に出る。
  
振り向けば馬不入山                          シュンラン真っ盛り

  
   一つ目(一番上)の溜池                       2つ目の溜池、岩舟山の北面を見る

 参道は切り崩された断崖の直下を進み、石仏の出迎えを受け、山門に到着する、9:21。露天の商いが出て、大勢の参拝者も見える、本堂から流れてくる御詠歌が哀愁を誘う。参道へ出た時に“本日は進入禁止”の標識もあった、今日は彼岸の中日なのである。たちこめる線香の煙の中を本堂に進み手を合せ、石段から山頂の西隅へ、9:28。ここからは障害物もなく日光連山を西に見て、眼下に開ける関東平野をゆっくりと眺める。真正面の三毳山(みかもやま)が臥牛のようにゆったりとした情景を作り出していた、モーウ!、カタクリも見頃だろうな、9:38下山にかかる。

 栃木県の重要文化財3重の塔の横をかすめて、石段を南に下る。大勢の参拝者が駅方向から向かってくる、老若男女、お年寄りにはこの石段は、きつそうだ。でも信仰心で乗越えられるだろう、下りきるちょっと手前で「もうすぐかね?」、と尋ねられて答えようがなかった、「まだあるけど、頑張ってね」、と一言、9:52駅の少し西に出る。
  
    高勝寺境内で                          岩舟山から日光連山を見る

  
   山頂より三毳山                         山頂より眼下に広がる関東平野

  
   栃木県の重要文化財3重の塔                    高勝寺に向かう人々

 両毛線沿いのうららかな田んぼ道を歩く、歩いて来た山並みを見、川面に群れるウグイと遊び、土手のヨモギが空腹を感じさせる。太平下駅前を10:53通過し、張り出た尾根の登山道を太平沢駐車場へと入る11:06。きれいに整備された石段を上がって茶店の脇へ、筑波山に見入るバイクの男性がひとり、ここから見る紫峰筑波も雄大である、つられて眺める。道路を横切り再び石段を歩くと、間もなく謙信平の手前で今朝の道に出た。駐車場は目と鼻の先、11:27太平沢駐車場着。合計4時間59分、陽春の太平山系一周は終わった。
  
   荒船山、線路沿いから                     馬不入山方面、線路沿いから

  
晃石山方面、線路沿いから                     菜の花の向こうに太平山系が広がる

 山桜からヤマツツジの咲く頃が、一番太平山系が映え楽しめるのだろうか、それともアジサイの咲く頃、周辺の歴史を尋ねて歩くのもまた楽しいだろうな。関東平野を一望できる位置にある太平山系の山歩きは、高度こそないが、コースは自由に組めるし、眺望を満喫するには絶好の場と思う、もう少し調べてまた歩こう。


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