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黒尾谷岳・南月山・茶臼岳

山行日
    2004年5月25日   晴れたり曇ったり     単独

コース 詳細はこちら
    那須ハイランド駐車場(あけぼの平バス停約350m東)→登山道入口→黒尾谷岳→南月山→日の出平→牛ケ首→
    殺生石分岐→A→B→茶臼岳山頂→B→A→殺生石分岐→殺生石→(道路)→駐車場

 那須ハイランドから入り、新甲子温泉まで、黒尾谷岳・南月山・茶臼岳・朝日岳・三本槍岳・甲子山、うまくいったら旭岳と那須岳縦走を目指して歩き出したものの、強風のため頓挫、黒尾谷岳・南月山・茶臼岳の日帰り花見山行となってしまった。

 一軒茶屋の交差点から2,7kmほど板室温泉方向に進むと、大きなカーブで橋を渡る、橋から400mほどの所にチエーン着脱用の駐車場がある、1:00着仮眠。昨晩からの雨が3時頃まで時々降っていた、上空は晴れ、吹き始めた風を気にしつつ、4:15駐車場を出発する。300mほど進むと管理事務所のある十字路に出る、あけぼの平バス停はここからちょっと進んだ左手にある。登山口は、那須ハイランドリゾートの最奥(北)にあり、あけぼの平、モミノ木台を、ここから右手に曲がって、道路を歩いて抜ける。最後の所がわかりにくいが、舗装道路を右手に進むと左手に管理用の施設に行く塩ビのハシゴが斜面にある、更に進むと写真の案内板が左手にあり、道路は行止りとなる、そこの所が登山口となっている。一歩踏み込むと写真の道標があり、確認できる。行ったり来たりしたので、5:15登山口着

  
 リゾートの最奥(北)にある案内板           一歩入った所に道標あり

 薄暗い入口付近の人口林は直に抜け、明るい広葉樹林の道を急登する、シラカバ、カラマツ、ナラ、クヌギが目立つ。早くもシロヤシオが出てきた、雨と強い風のせいか、花びらが泥まみれになって地面に叩きつけられている。間もなく新緑の中に満開のシロヤシオの花を発見、陽光を受けた明るい林の中では一見地味である。高度が上げるにつれ、見頃の花となり、個体数を増す。独特の松のような樹肌をしたシロヤシオ、風雪に耐えてか、捩れ曲がり凸凹した樹皮から厳しさが窺える。赤く縁取ったような5枚(6枚もかなりの確率である)の輪生する若葉は、白い花と相まって、気品に満ちている。
  
 明るい落葉広葉樹の道                    満開のシロヤシオ

  
  シロヤシオ、若葉の中では意外に目立ちにくい        シロヤシオ

  
  シロヤシオ                        シロヤシオ、背景は南月山の東へ延びる尾根

  
 シロヤシオ                             シロヤシオ

 更に高度を上げていくと、シロヤシオは蕾混じりとなり、満開のトウゴクミツバツツジに変わった。この地点でシロヤシオにかわり、アズマシャクナゲの群落へとつながった。那須岳のアズマシャクナゲは、風雪の影響だろうか、樹高が低い、特に尾根筋で。花は赤系から白いものまで、開花が進むにつれて変化しているようだ、綺麗な花である。どこで逢っても、大歓迎の“こんにちは”だ。急坂をあがり平坦になると、そこは黒尾谷岳(くろおやだけ)1589mの山頂であった、6:34着。
  
 トウゴクミツバツツジ、背景は黒尾谷岳           アズマシャクナゲ

  
 アズマシャクナゲ、背景は南月山                 南月山を樹間に望む 

  
  アズマシャクナゲ                       アズマシャクナゲ

  
 アズマシャクナゲ                         黒尾谷岳山頂

 山頂は、落葉低木に囲まれているが、南に面しているところからは、小枝のスキマから晴天下の街並が見えた。そして見渡す山々と空は青く大海原を見ているような錯覚をもった。北側は、樹間から見た限りでは、雲だ多く、荒れもようであった。風は時間とともに、高度とともに、強さを増している、ズボンから刺し込む風の冷たさに、間違って脱ぐのを忘れたベストとステテコに幸運を感じた。これから先のルートを考え、ウインドヤッケを着ける。

 山頂からは緩やかに下り小さいピークを一つ越え、しばらく平坦なシャクナゲの道を歩く。木々の間からは時折、黒尾谷岳と左前方に南月山を見る。見頃を迎えたオオカメノキの純白の花も、シャクナゲの花と競うように山間を彩る。木々の芽吹きの勢いを肌で感じられるような尾根道だ。やがて勾配を増し、小さいジグザグを繰り返し、黒尾谷岳南面直下から見えた稜線にたどり着く。そこをちょっと回り込んで、東側の大きく落ち込んだ岩場に出ると素晴らしい展望が待ち受ける。噴煙を大きくなびかせるマル裸の茶臼岳と緑豊かな周辺の山々のスケールの大きい光景である。己と比較の出来ない大自然の姿である、その道際に咲く一株のタチツボスミレ、これも同じ生物、46億年の地球の歴史の産物だ。
  
 鞍部から黒尾谷岳                        シャクナゲの道

  
  アズマシャクナゲ                        一段と鮮やかさを増すアズマシャクナゲ

  
 白いオブジェ(ダケカンバ)の背景に南月山         オオカメノキと南月山の西の尾根

  
 黒尾谷岳は下の方へ                      ミネザクラと黒尾谷岳

  
 ミネザクラも満開                      アズマシャクナゲ、背景は茶臼岳、切れた雲間から

  
 道脇に咲くタチツボスミレ                     アズマシャクナゲ

  
 茶臼岳、南月山直下より               アズマシャクナゲの見納め、南月山直下より、下方に黒尾谷岳

 この岩場から一登りすると南月山山頂、1776mである、7:44着。山頂には祠が祀られ、一般的な山岳信仰なのか、茶臼岳の自然の脅威を鎮めるべく祀ったものだろうか、私の知る限りでない。大展望、プラス満開を迎えようとしているミネザクラの美しさである。ミネザクラは元来落葉小高木で3から8mにもなるとか。しかし、ここでは2m前後で、しっかりと横に無数の小枝を伸ばし地について、風雪と戦ってきた姿がある。赤味を帯びた新緑と淡いピンクの花、遠くからは目立つのだが、フルオートのカメラだと露光不足になってしまう、要注意の花である。相変わらずの強風、高木は10cmぐらいの枝が揺れていた、瞬間風速は20m/s以上ありそうだ。揺れるミネザクラと私の戦いは果てしない、結果はデジカメの中に。
  
 南月山山頂                           茶臼岳、南月山山頂から

  
 ミネザクラ、南月山山頂                    ミネザクラ、南月山山頂

 ここから原始の世界、黒と赤の火山礫の道となる、正面に噴煙を激しく上げる茶臼岳を見ながら緩やかにちょっと下り、ほぼ平坦に進む。間もなくミネザクラの案内板のある日の出平に着く、8:13。一帯はミネザクラの群落だ、独特の樹形と淡いピンクの花に、またも釘付け。なだらかな南月山を背景に、ガスを噴出する茶臼岳を背景に、強風の中でシャッターを押しまくる。
  
 ミネザクラと南月山                     ミネザクラと茶臼岳、全く感じが出てないね

  
ミネザクラと茶臼岳、これは説明しないとわからないね   ミネザクラの群落

  
 ミネザクラの群落                     ミネザクラと茶臼岳、

 日の出平から少し下ると、稜線に人影を見る。近づくとミネザクラを真ん前に、大きな三脚と一眼レフをセットして、茶臼岳と戦っているマニアのカメラマンだった。いい所に陣取ったものだ、横から失敬してワンショット。峰の茶屋から茶臼岳の西斜面をはって来たとか、思わず「ご苦労様です」、って言っちゃった。「誰かいました?」、「誰もいなかった」、「そうだよな」、その時牛ケ首に一人、二人目を見た。それにしても風が強い、吹き抜ける所では真っ直ぐ歩けない、時々砂礫も舞い上がる、8:36牛ケ首着。
  
 ミネザクラと茶臼岳、                       ミネザクラと茶臼岳、これはまあまあかな

 早々に南へ回り込む、ロープウエイから降りて来た人達が続々とこちらに向かってくる、「・・・動いているの」、「動いているよ」、の一言に驚いた。南に回りこむと風が弱くなった、止んだのかな、雲の流れは変わらない、流れる雲が瞬間移動しているアニメのようだ。ロープウエイ駅と牛ケ首の中間地点付近(詳細図A点)で、ロープウエイ族の山頂に向かう隊列を見た。ここから大きな岩(八間石、詳細図B点)を目指してショートカットしよう、また病気がでたようだ。ガンコウランと浮石に気を使いながら、斜めに進む、しばらくして振向くと、交わしてきた体格のいい夫婦が後からついてくる。「ここは道じゃないよ、あっち・・・」、「ん・・・・・」、と聞こえたらしいが、こちらへ向かっているので仕方なく待つ。

 八間石に出た所で山頂まであと0.5kmの標示、また強風に悩まされる、スゴイ飛ばされそう、大きな岩に掴まりながら腰を落として前進する。下山してきた人が、「ぜんぜん歩けない、恐かった、これから上には3,4人しかいない」、という。先ほど見えた人たちもいない、峰の茶屋へ下ったのか。ロープウエイのアナウンスが流れる、「聞こえる範囲に・・・・・」、「・・・・で運休となる」、という内容だ。やっと、祠の祀られている山頂へ着いた、9:25。とても真っ直ぐ歩ける状態ではないし、これから向かう山並みは全く見えない、朝日岳の山頂部が雲間に顔を見せるだけ。状況から、予定を変更することにした、このまま峰の茶屋までは行けるだろう、しかしその先に不安がある。中止して少し戻って、殺生石へ下り道路を歩いて車をとり、本日中の帰宅とした。
  
 牛ケ首付近から山頂部                     ミネズオウ、周辺の緑はガンコウラン

  
 ミネズオウを少々拡大                   茶臼岳山頂、一面雲と流れてくるガス?に被われていた

 先ほどの巨岩から下った所から斜めにショートカットして登山道へ、10:12殺生石分岐点に到着。腹ごしらえをして、風と冷気の心配はないので余計なものは脱いで、10:25スタートする。砂礫から、石のごろごろした川底を歩いているような道になる、緑を少しずつ増し、ムラサキヤシオを見る。振向けば、一面緑の中に南面のゴツゴツした真っ黒い溶岩塊が、静かに眼下の人間どもを見張っているように見えた。
  
 殺生石分岐点                           ムラサキヤシオ

  
 イワカガミ(赤)                           イワカガミ(白)

  
 コヨウラクツツジ                          シロヤシオ

  
 森の4人囃子、テンナンショウ                 ヤマツツジ

  
 サラサドウダン                           殺生石

  
石仏群                        殺生石道路の橋の上から茶臼岳、見た目は晴れてきたが?

 12:29殺生石着、道路12:35、道路を歩いて13:50駐車場着、で本日の山行は終了した。総所要時間は、9時間35分であった。自然は時にやさしく、また時には脅威となる。その判断基準をどこにおくか、それは個人の技量と経験、コンディション等で決めること。山行は100%安全が見通せた上で実施しても、自然が与えるものは予測不可能な部分がある。デアイにも色々ある、出合い、出会い、出逢い、出遭い、感動するデアイを期待したい。楽しくなければ、山行にあらず、である。


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