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御坂山塊縦走(2日目 鍵掛峠〜天下茶屋)    1日目(本栖湖〜鍵掛峠)はこちら

  
山行日
    2004年4月11日   薄曇り後晴れ    単独

コース  詳細はこちら
    鍵掛峠→鬼ケ岳→金山→節刀ケ岳→大石峠→中藤山→新道峠→破風山→すずらん峠→黒岳→御坂峠→
    御坂山→天下茶屋

 どんよりとした雲に、いずれ晴れてくると思うが拍子抜け、テントを撤収して5:35鍵掛峠を出発する。峠の分岐点はテントを張った直上にあって、根場民宿村へのルートが延びている。雲の切れ間もでき、稜線の所々で富士山と南アルプスを眺望できた、写真はイマイチで残念。またアップダウンの連続、狭い岩場も各所にあり、ガードのついた所もあるが、でかいザックと足を慎重に運んだ。標高差で200m近く鍵掛峠から登ったようだ、6:42鬼ケ岳1738m山頂着。

 ここの眺望はいい、西の岩場からは見れば、南アルプスの3000m級の稜線が西の方向に一直線に連なる。東の岩場からは西湖と富士山、これもなかなかいい感じ。ここからも根場民宿村へのルートがある。雪頭ケ岳、鬼ケ岳を周るコースも景色も良いし短くていいね。眺望を堪能しながらのヤセオネ歩きが少々続く、左斜面はシラビソの二次林か、間隔と太さがそろっている、ほどなく平坦な金山山頂1686mに着く、7:12。
  
 鍵掛峠・鬼ケ岳間より富士山                  同じく、南アルプス白根三山

  
 鬼ケ岳山頂                       鬼ケ岳山頂から富士山


 鬼ケ岳山頂、南アルプス3000mの尾根一望(ちょっと右上がりになったかな?)

 金山山頂は樹林帯の中にあるが、お富士さんの方向だけは木が払われている。道標に寄れば、十ニケ岳への道が南方向に分岐している。付近はシラビソとカラマツ、つつじ、桜といった広葉樹の森である。ここからは北方向に、足をとられながらぬかるんだ道を下り、ちょっと登り返して節刀ケ岳の分岐点にさしかかる、7:31。節刀ケ岳へは目と鼻の先なので、ザックを置いて往復する。
  
 金山山頂                             金山山頂から富士山

 3分ほどで山頂に着くと、これは素晴らしい展望が待ち受ける。峰峰を重ねた低い山塊の彼方に南アルプスが走る、霞む秩父連峰、逆光に輝く河口湖、眼下の十ニケ岳・毛無山の背後に鎮座する霊峰富士の雄姿、まるで王様のようだ。大分晴れてきて、まあまあの視界だ。一旦腰を降ろしたら、立ち上がれない、そんな眺望だ、7:45分岐点に戻る。。
  
 節刀ケ岳分岐                         節刀ケ岳山頂、バックは南アルプス、赤石岳と悪沢岳

  
 南アルプス、白根三山(農鳥岳、間ノ岳、北岳)       南アルプス、聖岳、赤石岳と悪沢岳


 節刀ケ岳山頂付近から富士山をワイドで、一番右手に南アルプス南部(聖岳、赤石岳と悪沢岳)

 ここから道は東の方向に曲がる、泥濘の樹林帯を下り、カラマツの間を抜けた小さいピークで節刀ケ岳を樹間に見る。小さい丘のようで、これからはあの眺望は想像もつかない。木々の間を緩やかな道が続き、前方がパッと開ける。河口湖が眼下に開け、これから向かう山並みが一望できる、最奥に尖った三ツ峠山、あのスロープの下が明日のゴールだ、自分に言い聞かせ前進する。

 ブナ、コナラ、サクラといった広葉樹の尾根を小さくアップダウンする、背中が軽かったら快適なハイキングだろうが、いささか疲労気味。頻繁にエンストする、まるでオンボロ自動車のようだ。立ち上がり暫らく歩くと、凸凹した十ニケ岳の低い峰が富士山の正面真下に立ちふさがる、面白い光景だ。緩い下りにかかる、正面に次のピークがあぐらをかいている、はて不逢山かな?、とすると大石峠は直下だ、8:40大石峠着。

 全体に平坦で芝生みたいな所だ、テントもこういう所ならベストだ、柵があり植物保護のため入るな、と書いてあった。ここから右に下ると河口湖半の大石、左下ると芦川村へ通じている。
  
 カラマツの樹林帯から節刀ケ岳山頂を振向く         これから向かう山並み、一番奥が三ツ峠山

  
 河口湖も大分近づいた                     大石峠、富士山の手前の山並みが毛無山、十ニケ岳

 峠を出ると先ほど見えた不逢(あわず)山に10分ほどで着く、若干霞みがかかってきたようだ。左に見える裾野のあちこちから煙が立ち上がる、野焼きが始まったのだろうか、やがて煙は富士山にかかった。中藤(なかとう)山に向かって、9:30本日はじめて人に会った、見える景色もイマイチ、もくもくと歩くのみ。中籐山へ着くころには乳白色の煙に裾野が包まれ、雲と相まって、お富士さんも化粧がくずれて醜い姿と化していった、中籐山着9:52。

 ここから、しばらく単調なアップダウンが続き、重荷を背負って歩くのはいささかうんざり、我輩は徳川家康ではない。足元に花でも咲いていたならば、鳥のさえずりでも聞こえたならば、と思っていると南アルプスの山々が西の空に現れほっとする。霞む富士山も前方の景色との組合せによっては、絵になる。盆栽風の枝ぶりの木、眼下の河口湖、くっきり見えたら絶景だ、新道峠を越えて10:58破風山着。
  
 のろしが上がった(野焼きかな?)               煙たなびくお富士さん

  
 中藤(とう)山山頂                         前方に破風山

  
破風山手前で、南アルプス南部                  同じく、南アルプス北部

  
 破風山の手前で富士山                     破風山山頂、霞んできた富士山

 ここまで来れば今日の行程は目鼻がつく、すずらん峠はすぐそこだし、黒岳への標高差200mの登りを踏ん張ればゴールも近い。前方にそれらしき半月状の山、おそらく黒岳だろう、すずらん峠11:13着。富士山の情けない姿、説明しないと姿形がわからないようになってしまった。その時、上空にハングライダーの一群、これも見慣れない光景だけに、単調な山歩きから開放させてくれる。うなり音とともに大きな陰影が走る、見上げる空に鮮やかな色、大きい。上空から、バテバテのでっかい袋を背負った禿げたおっさんを見下ろす、どうだろう、面白いかな。

 いよいよ黒岳の最後の登りにかかる、泥濘に道、乾ききった道、歩幅を小さくとって一歩一歩、下山してくる人もちらほら、11:53あえぎながらやっと黒岳山頂に着いた。広い平坦な山頂部には20人ぐらいの人たちが、昼食をとっていた。200m先に展望場所ありの看板、霞んで眺望もイマイチもあり、その気力も無い。御坂峠から、河口湖から上がって来る人、下って行く人、山頂は賑わいをみせる、12:00御坂峠に向けて行動開始。

  思いのほか急坂である、露出した大きな根、泥濘、慎重に足を運ぶ、ブナとコナラの尾根である。下りは楽だ、エネルギーの消耗が何倍か違いそうだ、呼吸も乱れない、歩く速さも通常のペースと変わらない。一旦登りとなると、急ブレーキをかけたように減速、エンストまでしてしまう、12:40御坂峠着。ここにもざっと10人ほど、75歳のご老体も一人、皆ハツラツとした顔をしている、私は多分疲れきった顔をしているのかな???、昼食。


 13:05、天下茶屋に向かう5人のグループの後について出発する。距離は大きくあくと思ったが意外、写真を撮りながら歩いても姿は見えていた。御坂山山頂直下で、2本並んだ大きなブナが視界に入った、太さは1mもありそうだ、昨日から歩いてこれだけ大きいのは初めてだ。この辺の主かな、歳は?、兄弟は?、語りかけたくなる。もうすぐ芽吹きだ、その時は見事だろうな、癒しの森となりそうだ、13:37御坂山山頂着。山頂から東方向にブナの森を下る、14:17天下茶屋方面の分岐点にさしかかる、グループと分かれる。
  
 すずらん峠                             中間部が霞んでしまった

  
 黒岳山頂                              御坂峠より妙な白さの富士山

  
 大きな2本のブナの木                      御坂山山頂

  
 ブナの森を下る                           三ツ峠山も迫ってきた

  
 三ツ峠山のアンテナもはっきり見える             天下茶屋分岐

 天下茶屋への分岐を過ぎて、今宵のテン場を探しながら足を運ぶ。道は小さい起伏を繰り返し、ピークにさしかかる、樹林帯の中で視界が充分でない。地図上では東寄りに稜線が続いている、踏み跡を探すが確かでない、不安が残る。南側を探すと丸太の階段が続いていた。これかな?、いずれ方向を東に変えるだろう、と思い歩き出す。暫らく平坦に進み下降する、鞍部までかな?、まだ下がる。5分ほど歩いたろうか、どうもおかしい、もしかして天下茶屋へ下ってしまうのではないか。引き返す勇気がない、というのは天下茶屋に出てもテント、食料、水も充分あり、また明日登り返せばよい、と判断した。そして道なりに下ると、案の定天下茶屋に出た、14:55。車が数台、茶店も営業しているようだ。周辺にはテントを張れるような場所は見当たらない。バス停もある、今回はエスケープして続きは機会を見てつなごう、となってしまった。そして今回の御坂山塊全行程縦走はここで頓挫してしまった。結局バスは季節限定で無く、歩き出し、三ツ峠入口で車に拾われ、バスを乗り継いで出発点の本栖湖へ戻ったのである。

 2日目の総所要時間は9時間20分、合計2日で17時間44分であった。歩いたコース全体に渡って、富士山、南アルプス、といった周辺の山々を見られ、絶景が展望できるポイントがあり、またそれを抜きにしても充分に楽しめるだけの自然景観を有する山塊である。コースもパノラマ台、王岳、鬼ケ岳、節刀ケ岳、黒岳、御坂山といった山を中心に長短設定できるし、四季を通じて入れる山だと思う。今回歩けなかった、三ツ峠までの稜線も、いつの日か歩いて踏み跡を残したいものだ。


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