★気ままな男の山歩きHOME 山行記録(日付順 ) 山行記録(山域別) 走れ!“忠治”★ sub3-44 南アルプス(聖岳、兎岳、中盛丸山、大沢岳、赤石岳) |
山行日 2002/6/28〜30 単独 1日目薄曇り、2日目薄曇りから雨、3日目晴れ後曇り コース 1日目:聖岳登山口(聖沢付近)→聖沢吊橋→滝見台→聖平小屋(泊) 2日目:聖平小屋→聖平→小聖岳→聖岳→奥聖岳→聖岳→兎岳→中盛丸山→大沢岳→百間洞山の家(泊) 3日目:百間洞山の家→百間平→赤石岳→椹島分岐→富士見平→赤石小屋→椹島 このコースの南アルプス花編はこちら 1日目 薄日もようの天気の中、赤石ダムの上流、聖沢橋を越えて間もなく聖岳登山口が本日のスタートである。聖岳は、前回1998年10月に西側の登山口である便ガ島から入り、聖岳から光岳まで歩いているので聖岳は2回目、赤石岳も1998年8月に椹島から入り荒川3山と赤石岳を周遊しているので2回目である。今回は聖岳と赤石岳の間の兎岳、中盛丸山、大沢岳を経由して一周する計画である。梅雨期であるが、それなりの自然とのふれあいを求めて9:24林道を後にする。 樹林帯の中に作られたジグザグの道を30分ほど歩き一汗かくと、水場のある小屋跡にでる。2日の小屋泊まりなので荷物は11kg弱で、テントがない分だけらくだ。それと当コースには水場が多いし梅雨時、気温も予想では18〜4度と出ていたので、水をあまり消費しないので、500っcボトル1本である。水はなんといっても、南アルプス天然水がおいしい。ただ、このコースの案内書によるとしばらくの間で、マムシ要注意である。蛇を特別嫌うわけではないが、万が一があったら大変だ。湿り気たっぷりの落ち葉の道、ストックでこまめにかき分けて進む。10:35最初の吊り橋にでる、橋の上で小休止。 ここから1時間ほどが一番でそうな所とか、実は今日第一畑薙ダムで山の中の迂回路(道路補修中)を歩いてきた人に会った。この人にマムシは鎌首を持ち上げて逃げなかったそうだ、またダム付近で大きなアオダイショウを見ている。そんなこともあり、つい足早となる。でも30分も歩くと、朝食が早かったせいか腹の虫がなく、安全を確認して昼食をとる。コメツガの樹林帯でうっそうとしている、ついキョロキョロしてしまう。 まだしばらく急坂が続き、11:47小屋跡に出てマムシよサラバ一安心。ここから幾分緩やかになって、上りつめると周辺には落葉樹も目立つようになり、林床にはイチヨウラン、イワカガミが点々と咲いていた。道は緩やかにトラバースして周辺が開け、ガスがかかっていてわからないが、谷を介して滝と聖岳だろうか目に入る。二つ目の吊り橋を渡ると間もなく滝見台に出る、14:06。聖平小屋1時間20分の道標があり、谷を介して2本の大きな滝が見える、抜群の迫力だ。右手のものは、斜めに落ちているがトータル落差は200,300mありそうな感じ。 ここからちょっと登って少し下ると、ニリンソウのちょっとした群落を左手に見た。2300mの高さで見たのは初めてだ、低山に自生するものだとばかり思っていたので新しい発見だった。やがて沢に沿って低い針葉樹の間を緩やかに登り聖平小屋へ15:00に着いた、人影が全くない。 最初の吊り橋 二つ目の吊り橋 右手の滝 左手の滝 2日目 東の空が真っ赤に染まっているのに気付き飛び起きる、予想に反して好天である。夜中に雨音を聞き、夢うつつに雨対策を考えていた。乾燥食で腹ごしらえして、水500ccを入れ、清掃し一礼をして5:18小屋を出発。天空は薄曇りであるが視界は上々である。聖平5:23、1998年のこの場を思い浮かべる、様相は変わっていないようだ。植生の交代期なのだろうか、立ち枯れした木々の間には幼木が元気に育ち勢いを感じる、ここも人が手を加えなかったらおそらく何十年後には、森林と化していくだろう。南に上河内岳、北に聖岳の見える今の景観も保存したいが、全て自然任せにしたいものだ。 聖平より上河内岳 聖平より聖岳(奥) 少し登ると、高山植物が間もなく咲き乱れそうな斜面に出る、ミツバオーレン、、ニリンソウ、チシマザクラが満開に近い、ハクサンチドリ、シナノキンバイが咲き始めている。5:44西沢渡の道を分け、高度を上げていく。東の空には富士山が眠そうな顔を覗かせている。そこを過ぎ、ダケカンバの樹林帯に入る、まだ芽吹いたばかりで、小枝の間から南の稜線がはっきり見える、好きな光景である。やがて森林限界だろうか、ハイマツ帯に入り、低木となって、ニリンソウとも別れ、ミヤマダイコンソウ、ハクサンコザクラの咲き出した高山植物帯となり、登りつめた所が、小聖岳2662mであった6:34。 西沢渡分岐点 富士山が東の空に 芽吹きのダケカンバの向こうに上河内岳 同じく茶臼岳 小聖岳山頂から聖岳 同じく東方の富士山 同じく上河内岳 その南は早くも雲が流れ始めた 小休止して、コイワカガミ、チシマアマナ、ウメハタザオ、タカネシオガマ、ハクサンイチゲイワウメ、オヤマノエンドウの咲く岩場の尾根筋を進み、雷鳥の迎えに会い、ガレキの斜面をあえぎながら登ると標高3013mの聖岳山頂であった、7:46。曇り空であるが、絶景かな絶景というところである。早速、ザックをおろし、眺望を満喫する。 北に赤石岳の巨体がそびえ、仙丈岳から伸びる稜線が、これから向かう中盛丸山・大沢岳の背後の塩見岳へと伸び、、更にその背後中央アルプス、御嶽山が雲海の上に連なっている。西に名前に反してなかなか男性的な兎岳へは幾重にもピークが見え隠れし、標高差と断崖が待ち受けている感じである。南は上河内岳、茶臼岳から光岳、東は目と鼻の先に奥聖岳、その向こうに笊岳、青薙岳が、そして富士山が雲海の上に静かな姿をのぞかせていた。 稜線を散策しながら奥聖岳に向かう、キバナシャクナゲが目に飛び込んでくる。地に這うように枝を伸ばし、大きな淡い黄色の花は、高山植物の10華に入るだろう。8:05奥聖岳着、道標はないが岩場に大きくルートが示されていた。 雷鳥のメス 聖岳山頂から富士山、その手前は笊岳 北に赤石岳 西に中盛丸山・大沢岳、塩見岳、更に中央アルプス 奥聖岳からの下山が赤いペンキで 奥聖岳から聖岳 奥聖岳から赤石岳 キバナシャクナゲと上河内岳 聖岳山頂からから赤石岳 同じく兎岳 同じく小兎岳から大沢岳 本日2回目の雷鳥との出会い(オス) 8:25、聖岳山頂に戻り、地図でルートを確認する。単純には、標高差で400m下り、200m登り返すと兎岳となるが、どう見ても5つ以上アップダウンがあるように見える。あまり考えても仕方ないので、腰を上げる。急激に降下し、雪渓も渡りアップダウンやら、巻き道やら繰り返しながら最低鞍部と思われる所へ9:24着。別に危険を感じるところはなく、次々と顔を見せる高山植物にデジカメから手が離せず、ゆっくりと岩場を楽しめた、というところである。 ムラサキ色をしたギザのある葉にすみれに似たような紫色の花を付けた植物を見つけたが名前がわからなかった。これまで見てきた高山植物に加えてミヤマオダマキ(もう少しで咲きそう)、ツガザクラ、クロユリ、サンカヨウ、ナナカマド、とウラジロヨウラクに似た花を見た(これも?)。 最低鞍部より兎岳 同じく聖岳 兎岳避難小屋10:18着、兎岳山頂2818m10:29着。兎岳山頂からの眺望もこれもまた絶景である、残念ながら雲がわき上がってきて遠望は出来なかった。小休止して10:40北に向かう。天気は急速に悪化してきた。 兎岳山頂から聖岳 同じく赤石岳 小兎岳付近から中盛丸山 大沢岳かと思いきやしらびそ峠分岐点所のピーク 小兎岳着11:23、北は見えているが周辺は雲に覆われ、すでに兎岳にはガスがかかってきている。中盛丸山山頂に12:19着、もう一面ガスに覆われ、雨の降るのが迫ってきているのを感じた。でも、あわてても仕方ない、昼食をして12:35大沢岳に向かう。ガスの中12:50分岐点に到着、ここは大沢岳を巻いて百間洞山の家を結ぶルートの分岐である。予定通り大沢岳に向かう、間もなく次の分岐に12:55着、ここはしらびそ峠への分岐である。霧の中、大沢岳のピークと一瞬勘違いしたピークの脇を通りルートは続いた。山頂らしき霞んだピークが目に入り、なんとカモシカが出迎えてくれた。近づいても逃げようとせず、視界15m位の中5mぐらいまで接近して記念写真にした。三角点に立つ大きなオスのカモシカで冬毛が抜けつつあり、あまり格好良くなかったが、この山の主のような気がした、山頂着13:12。 下山して間もなく、今度は雷鳥の一家に出会った、かえったばかりのひよこ位の大きさのひなが6羽ほどいて、親鳥が見張っていた。近づくと親鳥がひなを避難させ、羽を広げて威嚇してくる、人間社会では親子の関係が難しいようだが、動物の世界は子を捨て身で守ろうとしている、のには感心させられる。 雷鳥と別れて間もなく、いよいよポツポツと雨がやってきた、雲の状況からすると一旦降り出したら、止まないだろう。雨具を付けている内に、本格的な降りとなった。ごろごろした岩の道を、コケないように慎重に下る、40,50分雨の中を歩き低木をくぐって、小屋への分岐に着いた。小屋の方向は道標でわかるが、全く見えない、地図ではそれほど距離がないのだが? と思いながらテン場を沢に沿って下り、発電機の音で小屋の近いことに気付いた。小屋は夏山に備えて準備が始まっていた、百間洞山の家着14:14。 大沢岳山頂で大きなカモシカが迎えてくれた 大沢岳直下のハイマツ帯の夫婦子連れの雷鳥に会う 3日目 3:00起床、食事をして雨具を付け戸を開けると、何と月が出ているではないか、快晴である。沢の音で雨が止んでいたことに全然気づかなかったのである、雨具をしまって、一声かけて4:33小屋を後にする。4:42分岐点へ、昨日は小屋の位置がわからず往生したが、ほんの目と鼻の先の距離である。朝日はすでに上がり、昨日歩いてきた兎岳からの尾根筋が輝いて見える。遠望もまずまずだ。変化していく山容をカメラで追う、中央アルプスの遠方に白山、御岳が並び、その北寄りに北アルプスが連なっている、先端の尖った宝剣、槍ヶ岳は特に目立つ存在だ、5:33百間平着。 ここは、台地のような地形で周辺の景色は勿論抜群、足元の高山植物も間もなく開花し更に訪れる人を楽しませてくれるだろう。ゆっくり景観を堪能し、赤石岳西斜面の石ころの道を斜めに大きく登り、6:33避難小屋まで30分と書かれた道標の所に出た。一休みして最後の登に着く。 百間平付近から中央アルプス 同じく北アルプス遠望 同じく荒川岳 同じく聖岳 同じく赤石岳 同じく聖岳 赤石岳西斜面から百間平、兎〜大沢岳 赤石岳西斜面更に上から百間平、兎〜大沢岳 一登りして山頂部に出た頃、雲が周辺の山から急激に立ち上がり始めた、雲が稜線を這って形を変えながら流れていく。わき上がる雲の向こうに朝日を浴びた富士山が輝く、赤石岳山頂着7:10。雲の流れは速く、周辺の山は覆われてはまた雲間に姿を現す、その変化にすっかり見入ってしまった。足元に咲くオヤマノエンドウをカメラにおさめる。赤石東斜面には大きなセッピが張り出し、残雪の多さを感じる、雲間にルートを確認し7:35下山にかかる。 赤石岳山頂付近から富士山 赤石岳山頂付近から荒川岳 赤石岳山頂から小赤石岳 赤石岳山頂から富士山、手前は笊ガ岳 7:44小赤石岳との鞍部、ここから椹島までのコースは、標高差2000mを下りっぱなしとなる。急激に下るルートのあちこちにかなりの残雪があり、ストック1本で慎重に下り9:37富士見平に到着。天のなす技は今回は味方する、一旦ガスに覆われた山々が再び顔を出したのである。富士見平は絶好のビューポイントである、残念ながら富士山は見られなかったが、名残の赤石岳、荒川岳を見て10:00出発。ここからは25+5=30で椹島まで歩く、これは長距離の下山路で25分歩き5分休む、時間のカウントも分かり易い。10:25赤石小屋を通り、憂そうとした針葉樹の急斜面を下り13:15予定通り椹島ロッヂに到着、3日間に渡る南アルプス独り旅は累計23時間04分であった。 富士見平付近から赤石岳 富士見平付近から新緑の尾根 富士見平付近から赤石岳 富士見平付近から荒川岳 予想に反して天候に恵まれ、1時間弱の雨具着用で済み、眺望も花も満足できる山歩きだったが、ひとにこのままお薦め出来るかというと、はっきり言って7/16以降の本格的夏山のオープンまで待った方が良い。理由は、梅雨も明け天候が安定してくるだろうし、雪解けも更に進み、高山植物も競って咲くでしょうから。 このコースの南アルプス花編はこちら |
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