気ままな男の山歩きHOME  山行記録(日付順 )  山行記録(山域別)  走れ!“忠治”
sub3-119
北八ヶ岳(茶臼山・縞枯山・横岳)
  
山行日
    2003年11月7日    晴れ    単独

コース    コース詳細はこちら
    麦草峠(茶臼山登山口)→大石峠→中小場→茶臼山→展望台→茶臼山→展望台分岐(展望台往復)
    →縞枯山→雨池分岐→雨池山→三ツ岳→坪庭分岐→横岳→坪庭分岐→ロープウエイ山頂駅→五辻
    →出逢ノ辻→大石峠→麦草峠

 八ヶ岳を歩こうと地図を広げる、赤岳は9月に歩いたし、と目を追っていくと麦草峠で止まった。北横岳と麦草峠の間の足跡が切れている、この間を除けば、望月町の春日から小淵沢町の観音平まで歩いている。予報は晴天、良い機会だ、早朝のR299号線を走る、麦草峠2127mを通過して、間もなく茶臼山登山口(地形図ではここが麦草峠2120m)着く。この季節にしては暖かい、霜も降りてないようだ、6:27登山道に入る。

 右手に小さな沼がある、茶水池というらしい、右手に雨池方面の木道を分ける。道が意外にぬかっている、スパッツを着けてこなかったので、多少濡れるのは仕方ない、道をひろいながら歩く。10分ちょっとで大石峠へ着く、ここで帰りの予定コースオトギリ平・出逢ノ辻方面への道を分ける。一帯はシラビソの樹林帯で視界はない、ごろごろした石ころの道をしばらく歩くと突然視界が開け、何と読むのだろう、中小場という道標があった6:53着。地図上では2232mの無名峰である。振向けば逆光を通して、樹海の上に丸山、中山そして東西天狗岳が頭を出していた。その右手には南アルプス、中央アルプスの山々そして御嶽山が雲海に浮んでいた、その右にこれから向かう茶臼山が緑に包まれた半月状をしていた。
  
 茶臼山、中小場から                       東西天狗岳、西天狗の右が赤岳、茶臼山東斜面から

 立ち枯れの目立つ平坦な道を少し歩くと、再びシラビソの樹林帯の斜面に入る、根元の直径は10cm前後で密生している。林床は朽ちた大きな株が転々としていて一面に苔生している。親木は自然に交代したものか、人手により伐採されたのかわからない。所々に落葉樹のダケカンバの小木も見られる。しばらく進むと、樹林帯の切れ目があった、丸山・中山の向こうに、東西天狗岳、その奥になだらかに見える横岳、赤岳と阿弥陀岳がボコボコと見えた。また樹林帯に入り平坦な道となり茶臼山山頂2383mに着いた、7:24。

 眺望はない、道標を見ると展望台と書いてあった、横には3分と書き加えられていた。じめじめした道を少し進むと岩場に出た、あっと驚くパノラマが展開する、八ヶ岳の南部と蓼科山の間の雲海に浮ぶ南、中央アルプス、御岳山、乗鞍岳、北アルプスの山並み、そして東方向には奥秩父の山々を遠望する。一つひとつ見入る、鳳凰三山、北岳、甲斐駒ケ岳、仙丈ケ岳・・・・・・・・・・・・・・槍ガ岳、立山・・・、重ならず横にずらっと並んでいる、すばらしい。7:37、縞枯山に向かう。
  
 南アルプス遠望                            中央アルプスと御嶽山遠望

  
 乗鞍岳、北アルプス遠望                    手前から縞枯山、横岳、蓼科山、北八ヶ岳の山

  
 南八ヶ岳の山                           奥秩父の山

 茶臼山を100mほど下り登り返すと右手に展望台があった、ここの岩場でもぐるっと一回り大展望である。特に、樹間から見た浅間山が綺麗だった。そこから少し進むと、樹林帯に横に枯れ木の帯が何本か走る、いわゆる縞枯の現象を見た。シラビソの縞枯れは北八ヶ岳に広く見られるようであるが、山名がついているところからここが象徴的なのでしょう。ふとその時、ガッサガッサと物音が、見ると大きな濃灰色の日本カモシカ、木の間で立ち止まり耳を立ててじっと私を見ている。大きな目、ほとんど黒に近い色、顎から腹部にかけて白い長い毛が目立つ。3分ほどして私が動いたら、カモシカもゆっくりと下っていった。縞枯山山頂2403mは、枯れ木の林立する真っ只中にあった、8:24着。
  
 茶臼山、岩場の展望台から                  南アルプス遠望、岩場の展望台から

  
  樹間に浅間山、岩場の展望台から            縞枯山、岩場の展望台から

  
 若木で被われつつある                    縞枯の状態、森林再生の幼木が林立している。

  
 濃灰色の日本カモシカ                     縞枯山山頂

  山頂を出て、急坂を一直線に200mほど下る、この間は樹林帯で鞍部まで眺望はない、鞍部8;43着。ここが雨池峠で、直進すると雨池山、右は雨池方向、左はロープウエイ方向に分かれる。ロープウエイ山頂駅も見えている、その背後には雲海の上に中央アルプスと御嶽山が遠望できた。直線距離にしたら1kmというところであるが、今日は、雨池山、三ツ岳をぐるっと回り込んで行く。雨池山の東側には左右バランスの取れた形の浅間山が、雲海の上にあった。振向くと縞枯山から下ってきた道が一直線に樹林帯に延びていた。
  
 雨池峠、後ろは雨池山                    西方向にロープウエイ山頂駅、中央アルプス、御岳山遠望

 峠から100mほど登ると樹林帯の中に雨池山頂2325mの道標があった、9:02。一帯は平坦な地形で、木々に囲まれているせいか、山頂という感じはない。ここから緩やかに下る、たっぷり含んだ笹の葉の露を払いながら進む、でも膝から下はぐっしょりだ。鞍部を越えると大きな岩の急登となり、露からは開放されたが、濡れたズボンが引っかかって足をあげるのに往生する。樹木は何時の間にか、シラビソからコメツガに変わっていた、コメツガの中に点々とオオシラビソが枝を東の方向にだけ伸ばし、風雪の厳しさを見せ付けていた。急登を登りつめると平坦な岩場に出る、三つのうちの一番東のピークのようだ、ここも360度絶景だ。南真下に溶岩台地のような坪庭が広がっている。地形からすると、ここが溶岩ドームで、流れ出た溶岩が坪庭を造ったのだろう、と想像をする。

 山頂へ移動は、ゴツゴツした大きな岩の上を慎重に渡りながら歩く、あまりの景観に見惚れて踏み外すと大いに危険なところである。山頂とは書いてなかったが、道標のあるピーク着9:54、岩の上を渡り歩くのは大変だったが、目の前に広がるパノラマは大変さを超えていた。蓼科山のすぐ左に槍ガ岳、青空に映える真っ黒な岩肌と緑、パラダイスとはこういうところをいうのだろうか、早い昼食を広げる。
  
 雨池山、樹林帯の中                       大きな岩の間を直登

  
 三ツ岳山頂付近                            三ツ岳山頂付近

  
 三ツ岳山頂付近から浅間山                     三ツ岳山頂付近から蓼科山

  
 三ツ岳山頂から南アルプス遠望                  三ツ岳山頂から北横岳

 三ツ岳からは大きな岩の間を巻きながら緩やかに登山道はアップダウンする。好き好んで岩上に根をおろしたわけではなかろう木や草、風雪に耐え力強く根を張り葉を伸ばし生きているさま、動物界を君臨する現代の人間どもに何をか訴えているような気がする、植物の生命力に感服、感服。風にのって聞こえてくる人声に気づくと、ロープウエイから横岳に向かう登山道の合流点だった、10:35。

 ここから北横岳ヒュッテまでは目と鼻の先、10:40着、小休止。若い夫婦が休憩中だった、山頂で見た景色にいささか興奮気味、話す言葉は単純明快、「すばらしい、いいですよ」、の連発、と聞くと、疲れなんか何のその、もう立ち上がっていた。小屋からの登りは所々に丸太の階段があり、距離は短いが結構な急登である、樹林を抜けると横岳南峰2473mである。ここもすばらしいポイントだ、私の先に着いた年輩の夫婦が写真を撮って帰りかけていた、「山頂はあっちですよ」、余計なことだが一言、「あっ、そうですか、あっちですか」、低木で見落としたようだ。

 横岳山頂2480m、10:52着。イヤッ、すばらしい眺めだ、この瞬間を文人なら何と形容するのだろう、私には言葉がない。北は志賀高原の山塊から浅間の山並み、背後には薄っすらと上越国境の山々が連なり、東に秩父の連峰、南に八ヶ岳の南部と南アルプスが横たわり、西に御嶽山、乗鞍岳の山塊、北アルプスの南部の山並みが燕岳の辺まで連なり、目の前の蓼科山がズシンと構え寸断する。蓼科山の右手に立山が白く顔を出し、後立山連峰、頚城山塊が北の方向に尾をひいて見える。今の時期、白馬岳が一際白く、存在をアピールしている。ざっと、ここまで展望できる、見えないのは富士山ぐらいでしょう、これほど展望の利く所はそれほどないだろう。南から西にかけて雲海が取れ、低山の紅葉が茶色く、湖が、街が眼下に広がる。縦走中の若者の集団、やっとたどり着いた年輩者、美しいものを見る目は老若男女心は一つ、自然を堪能することのみ。 頬を吹ける風に心地よさを感じながら、パノラマに幾度も全身で見入る。
  
  北横岳山頂、後ろは蓼科山、北アルプス遠望      北横岳山頂から根子岳、四阿山、浅間山方面遠望

  
 北横岳山頂から八ヶ岳南部の峰               北横岳山頂から南アルプス遠望、正面は縞枯山

  
 北横岳山頂から中央アルプス                北横岳山頂から御嶽山、乗鞍岳遠望

 横岳山頂をあとに、北横ヒュッテ11:14、三ツ岳分岐11:19、坪庭を見下ろしながら緩やかに下る。坪庭から見上げる横岳、三ツ岳、縞枯山、自然への感動は余韻を残す、足元の高山植物も冬の眠りについたよう、静けさが漂う初冬の坪庭である、ロープウエイ山頂駅前11:54。遊歩道の片隅にあった道標を見る、五辻1.7km、麦草峠4.1kmの標示あり。縞枯山、茶臼山の南斜面の緩やかな道を辿りながら、五辻12:26、出逢ノ辻12:49、若干登りながら今朝通った大石峠へ13:14、麦草峠13:25着、一周を終えた。
  
  島枯山と坪庭                          坪庭から三ツ岳

  
  坪庭から横岳                             坪庭の散策コース

  
 笹平より北アルプス槍・穂の尾根                同じく、北横岳

  
 同じく、中央アルプス、御岳山                 同じく、縞枯山

  
 出逢ノ辻付近から茶臼山                     大石峠付近から茶臼山

 総所要時間6時間58分であった。参考までに記述すると、登山書の所要時間を累計すると6時間30分である。見所も沢山あり、遠望良し、景観良し、樹林帯も良い、標高差も比較的小さくお薦め出来るコースである。三ツ岳の山頂部の岩場の渡り歩きだけは慎重に。高山植物の咲く時期がベストでしょうね。


気ままな男の山歩きHOME  山行記録(日付順 )  山行記録(山域別)  走れ!“忠治”