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爺ガ岳・鹿島槍ガ岳・五竜岳
  
山行日
    2004年9月1,2日   1日目晴れ、2日目雨    単独

コース
    扇沢→種池山荘→爺ガ岳→冷池山荘→鹿島槍ガ岳→八峰キレット小屋→五竜岳→五竜山荘
    →(大遠見尾根)→アルプス平駅

1日目(扇沢〜八峰キレット小屋)
 立山と後立山、選択に迷った結果、3泊4日で扇沢〜鹿島槍ガ岳〜五竜岳〜唐松岳〜白馬岳〜猿倉とした。天候は1日,2日、3日は概ねもちそうだ、4日目は降られるかも知れない。問題と思われるルートの生情報も頂き、勇気100倍、月の明りに照らされて扇沢の駐車場を4:35出発する。舗装道路を10分ほど歩いて鹿島槍ガ岳登山口に着く。扇沢の音を左に聞きながら緩やかに登る、直に右に曲って稜線目指してジグザグの急登が待ち受ける、薄暗い山道は必要以上に気をつかう。20分ほど樹林帯の中の道を歩くと、明るさを増し木々の間から針ノ木岳の山頂部を見る。隣りのスバリ岳は黒い雲をかぶっていた。満月に近い月は、日の出時刻が近いようだが、まだ煌々と輝いていた。登山道は東側にまわり、茜色の雲を映す、低いたなびく雲に遮られて太陽は顔を見せない。やがて、樹林帯は、ナラ、カエデ、オオカメノキなどの潅木に変わる。西側にまわると下に扇沢のターミナル、上には岩小屋沢岳が朝日をあびて赤く染まる。

 再び樹林帯に入り、直に抜けると、蓮華岳、針ノ木岳の稜線が見えて、ケルンと書かれた場所に出る、5:38。ここにはケルンはないが、扇沢1.7km、種池×.×kmのプレートが埋め込んであった。間もなく、ちょっと回り込んで、稜線上に種池山荘が見えてくる。6:12、一枚岩と書かれた所で朝食をしていると、同年輩ほどの男性が足どりも軽く通り過ぎていった、今日は八峰キレット泊まりとか、私と同じコースである。6:42、水平道と書かれた所で斜面をトラバース気味に進み若干勾配も緩やかになる。間もなくガレ場と書かれた所を通り、流れのある沢を渡ると種池山荘は目と鼻の先、石畳を踏んで7:20着。
  
 針ノ木岳と有明の月                   朝日をあびて紅に輝く岩小屋沢岳

  
 石畳を踏んで種池山荘へ                正面に爺ガ岳南峰、こころなしか弱い秋の日差し

  
 振向けば種池小屋と針ノ木岳に続く山並み      槍ヶ岳遠望、直に雲に覆われて、こんにちは、さようなら


  蓮華岳(左)、針ノ木岳(中央)、その右がスバリ岳、赤沢岳、鳴沢岳、一番手前が岩小屋沢岳

 先ほどの早いお方は休憩中、隣りに失礼して二言三言、深田久弥の日本百名山の日本アルプスの部を今回の山行で、鹿島槍ガ岳と五竜岳を踏み終わる、とか。私の今回の山行は、一つには白馬岳まで繋げたい、もう一つは鹿島槍ガ岳はYさんと、五竜岳は単独行で歩いたが、両座とも大雨の中往復し足元ばかり見ていた山行であった。遠方の頂きから山並を見て、“もう一度”の欲求が足をかりたてたのかも知れない。ハイマツの間を緩やかに登る、高度とともに、歩数とともに変えていく山容を眺めながら、爺ガ岳南峰へ、7:57着。

 立山は既に雲が払われ、剱岳、向かう鹿島槍ガ岳は、もう少し時間がかかるだろう。しかし、薄い雲は天空に点々とあり、紺碧の青空は期待できそうもない。先客が五人、昔中部山岳を隈なく歩き回ったらしく、山頂から見えるピークを指差しては山名を発していた、その数には脱帽だった。南峰から北東に少し下り登り返すと三角点のあるピーク中峰2670mである、8:24着。
  
 蓮華岳、針ノ木岳、針ノ木岳右後に薬師岳     立山遠望

  
 剱岳、山頂部の雲はわずか             爺ガ岳、手前中峰、奥北峰

  
 爺ガ岳中峰2670m、背景は鹿島槍ガ岳      ウラシマツツジは紅葉がはじまっているのだろうか

  
 鹿島槍ガ岳、左が南峰、右が北峰          振向いて、爺ガ岳南峰


 爺ガ岳中峰より立山連峰、剱岳もやっと雲がとれた

 主稜線に戻り、北峰の西側の山頂直下を巻き、途中赤岩尾根の道を分け、250mほど下降する、樹林帯の中を少し登り返すと冷池山荘に着く、9:23。ここから布引岳直下まで、お花畑が左右斜面に広がる。ちょと遅い感じはするが、結構楽しめた、ハクサンフウロ、トリカブト、ヤマハハコ、アザミ、ミヤマコウゾリナ、シラネニンジンなどなど。
  
爺ガ岳北峰(中央)の西側を巻く、背景が鹿島槍ガ岳  トウヤクリンドウの残り花

  
 爺ガ岳北峰巻道から鹿島槍ガ岳、稜線の白が冷池山荘  剱岳もくっきりと

  
 爺ガ岳全容                        鹿島槍ガ岳、手前のピークは布引岳2683m

  
  冷池山荘から爺ガ岳全容              冷池山荘付近から立山全容

  
 ミヤマコウゾリナ                     ヤマハハコ

  
 オヤマリンドウ                        ○○アザミ、背景は鹿島槍ガ岳

 お花畑を過ぎて、布引平へ9:56、一汗かくと、鹿島槍ガ岳の手前のピーク、布引岳2683mに着く、10:30。ここの展望は素晴らしい、360度の大パノラマが展開する。じっと、見入る光景に時間は止まってくれない。

布引岳山頂から蓮華岳、針ノ木岳、その右がスバリ岳、岩小屋沢岳、薬師岳、立山、剱岳

  
 同じく、剱岳                         同じく、爺ガ岳全容

  
 同じく、間じかに迫った鹿島槍ガ岳、左が南峰、右が北峰   山頂部のアップ

 布引岳からチョコッと下って、200mほど登る、下ってくる人たちが口々に感動を自分の言葉で発する、お国なまりあり、はやり言葉あり、超現実的で面白い。ここが全国区の山であることを実感できる。砂礫は砂地から徐々大きくなり、岩の間に山靴を運ぶころには、6年ぶり鹿島槍ガ岳南峰、2889mに着く、11:16。一番先に見たものは、何と言っても特長あるピークをもつ白馬岳だった。続いて、左の昨秋歩いた旭岳、右の小蓮華山、そして明日向かう五竜岳と続く峰々である。いずれも鹿島槍ガ岳の北側に位置し、隠れていた山々である。山頂を点々として景観を満喫する中で、ここに立っていることの素晴らしさに毛穴が立つほどだった。欲はかけないが、やはり山は晴れた日が良い、強風はごめんだ、寒さもほどほどが良い。

 ひとまわり見終わる頃には、急激に雲が湧き出し、静的な山容を動的に変えた、特に長野県側が。さて、これから進むルートに見入る。直下に八峰キレット小屋、険しそう、急激に下りそう、北峰へのルートも単純ではなさそうだ。不思議なもので、岩場をじっと見ているうちに、闘争心(オーバーかもね)が出てくる。ストックをしまい、いざ、北峰へ! 11:43出発。
  
 鹿島槍ガ岳南峰2889m山頂             山頂から立山&剱岳

  
         奥中央が白馬岳、左旭岳、右小蓮華山、白馬の手前が白馬鑓岳そして五竜岳

  
 爺ガ岳と続く稜線                     牙剥き出しの剱岳

  
 鹿島槍ガ岳北峰                      八峰キレット&小屋


         鹿島槍ガ岳南峰から立山連峰

 湧き立つ山の煙、久々の岩場に全身で向かう、ルートのマーキングと足場の確保に集中、10分もすると手足の緊張感は和らいでくる。しかし、情景の変化に、目はついていく余裕がない。もし、濡れていたら緊張しっぱなしかな、と考えてしまう、12:06北峰分岐点着。ガスに包まれた山頂を踏んで12:22分岐点に戻る。鹿島槍ガ岳南峰とキレット小屋の標高差はおよそ440m、鎖場と梯子のオンパレードに緊張は続く。遠望も利かず、ただ岩肌との奇妙なコミュニケーションがあるのみ。本日最後の梯子を下り、13:17八峰キレット小屋着、ホットどっこいしょ。
  
 北峰分岐点                        北峰山頂、2842m

  
 岩峰のトラバース                      連なる岩峰、五竜方向

  
  鎖                            梯子

  
   鎖                            梯子

  
 八峰キレット小屋から剣岳                同、夕焼け、直線状に赤くなびいていた

2日目(八峰キレット小屋〜五竜岳〜アルプス平駅
 夕べの予報が的中?してか時々強い雨が窓辺に吹きつけていた。本日は一日中雨という予報なので、五竜山荘の先から遠見尾根を下り、以北のルートは中止する。

 5:48、2日目のスタート。雨具、スパッツ、薄手の皮手袋をつけ気合を入れて朝一の鎖場に取り付く、感触良好。雨風は弱いし、幸い富山県側の視界が良好で、濡れた岩場に気をつければ、時間の問題で通過できよう。6:38、最低鞍部の口の沢のコル、2416m着、赤いペイントでテント禁止の表示あり。もしかしたら、風の通り道ではないだろうか。7:00、五竜岳山頂? よく見ると北尾根の頭、2560mであった、山頂はまだ、まだ。視界は悪化し霧に中、7:54、G5と書かれた岩場を巻く、もくもくとペイントマークに沿って、進むのみ、鎖を掴み梯子を越えて。8:33、登りつめたところで、五竜山荘方向の道標を見る、やっと山頂だ、8:37五竜岳2814m山頂着。
  
 八峰キレット小屋                      こんな岩場の連続

  
 長野県側は大きく落ち込んでいると思うが、キリのベールで幻想的空間というところ

  
 ここら辺にG5のペイントマークがあった?       五竜岳山頂、視界悪し

 山頂には、70前後の年輩者が一人、これから八峰キレットに向かうと言っていた、「ゆっくり、気をつけてね、無理しちゃ駄目だよ」、とだけ言った。分岐点に戻り、岩場を下り、20分ほどで安全地帯に出た。これで一安心、ストックを出して通常の雨降りスタイルに、9:25五竜山荘着。雨の止む気配はなく、小屋に居合わせた人たちにもルート変更する者がいた。
  
 大遠見                            中遠見

  
 明日の晴れを信じて夫婦は山に向かった     振向けば、遠見の尾根は霧の中、雨は降る降るシトシトと

 西遠見10:20、中遠見11:08、小遠見11:26、アルプス平駅着12:12、で2日目の山行を終えた。一日目は8時間42分、2日目は6時間24分、総合計15時間6分であった。本年度3回目の頓挫であるが、1日目は雄大な自然景観に接し、2日間に渡る念願のキレット越え、大満足、自分史に留めておこう。未達のルートは、また機会をつくって、楽しもう。


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