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石割山・富士五湖めぐり
  
山行日
    2003年4月13、14日  晴れ(1日目)、曇り(2日目)    単独

コース
   1日目
    忍野八海→二十曲峠→石割山→石割神社→山中湖→(山中湖北岸)→(旧鎌倉往還)→河口湖→河口湖美術館前
   2日目
    河口湖美術館前→(河口湖北岸)→西湖→(西湖北岸)→精進湖→(精進湖北岸)→本栖湖

 “4月は3日と晴れる日なし”、と天気予報を見ていたらアナウンサーが言っていた。2日間で良いからもってくれ、そんな気持で“忍野八海+石割山+富士五湖”をめぐるウオーキングを計画、忍野村の忍野八海入口バス停から5:00スタートした。

 忍野八海の湧水は、同村のHPによると、“富士山に降り積もる雪解け水が、地下の不透水槽という溶岩の間で、約80年の歳月をかけてろ過された澄みきった水。美しく神秘的であり、移り変わる四季に彩られた富士を水面に映し込んだ姿は、訪れた人々に、水本来の姿と護るべき美しさをそっと訴えているようにも感じられます。水質・水量・保全状況・景観の良さから、昭和60年に、全国名水百選に選定されています。また、新富岳百景選定地でもあり、国の天然記念物にも指定されています”、
とある。

 悠久の時を経て沸き出る水へのロマンを求めて、というとオーバーかも知れないが早朝の一面に立ちこめた霧の中、順路に従って立ち並ぶ店の間を、案内板を見ながら歩く。湧き口をこの目で確かめたかったが、店は開店前で入れなかった(店の中を通るコースである)。グルグル廻っているうちに、視界の悪いこともあって、すっかり方向感覚を失った、出たところがお宮橋であった。観光客に役場の方向を尋ね、再度地元の方に尋ね二十曲峠まで地図に記載してもらった。役場前通過する頃、霧は薄くなって周辺の山並が見えてきた、暫く歩くと雲の中で太陽も丸く輝き始めた。6:06内野の三叉路着、二十曲峠への道への方向を確認する。

  
  二十曲峠への標識                 霧が切れて富士山がくっきりと

 人里を離れて田圃の間の道を歩くと、消えたガスの間に真っ白い富士山が姿を現した。大きい、実に大きい、これだけ近くで眺めるのは久しぶりのことである。6:23道標に沿って右折する、二十曲峠まで3.4kmとあった。すっかり晴れて、行く手の峠らしき所もはっきり見える、山間の工場を過ぎると、林間の道となり、研修施設やら別荘が点在する。ここを抜けると、曲がりくねった坂道が連続する。やがて、パッと明るくなったかと思うと、もう峠のわずか手前であった、二十曲峠着7:05。

 カメラのマニアが2名、刻々と変わる光を捉えてシャッターを切っていた。富士山を惣菜に朝食をしている夫婦、さぞかし美味しかろう。汗ばんできたのでジャケットを脱いで、小休止。この峠には古い石碑が沢山有り、お参りが往時の人たちの生活の一部だったことを想像できる、石割山山頂まであと1.1km。
  
 二十曲峠から見る富士山                    二十曲峠から見る富士山

 富士山を右手に見ながら、広葉樹の道を抜ける、植生の保護のため金網で仕切られた、急坂を一直線に登る。高圧線の鉄塔に出て左に少し曲がり、左の尾根と合流すると、眼下の山中湖が視界に入り、間もなく山頂に着く、7:39山頂(1413m)着。うっすらと雲がかかった状態であるが、まあまあの眺望である、日本一の富士の山である。山中湖から登ってきた7,8人の先客あり、無線で交信する人、絶景に見入る人、食する人。持ち合わせのカメラではとても裾野まで入らない、相当の広角がいる。手前の低い大平山(1295.5m)が、もう少し右にずれていると、山中湖も開けて変化がつくのだが残念。
  
 石割山山頂                              山頂から富士山と山中湖

  
  山頂から山中湖                           山頂から忍野方面

 山頂から急坂を10分ほど下ると、石割神社に出る。大きなしめ縄で結ばれた真っ二つに裂けた、御神体の巨岩があり、由来が一目でわかる。この割れ目を3回時計方向に回ると幸運が開ける、と説明書きしてあったが、ザックをとって横になってやっと通れるほどだった、8:05出発。
  
  石割神社                               御神体の巨岩

 ここから尾根に沿って南に下ると、最後は長いコンクリートの階段が待ち受ける、大勢登りの人に会ったがきつそうだった。登山口に8:22、舗装道路を1kmほど歩いて、国道143号線に出て、間もなく三叉路にぶつかる8:44、国道は左に曲り御殿場方面へ、右は富士吉田方面である。家並みを抜けると山中湖の東側の湾のような所に出る、真っ白な富士山が湖面にモザイクを作る。湖に沿って歩道が整備され、富士山を眺めながら、少しずつ変えていく山容に陶酔する、シルエットに写る釣り人、水面に浮かぶ川鵜とカモがアクセントをつける、のんびりと歩く。ほぼ中間地点のベンチで小休止9:30〜9:40。

 進むにつれて南岸の建物、国道を走る車がはっきりと見えてくる、点在する道標に勇気づけられているようだ。10:16,“明神前”交差点着、富士吉田まで9kmの標識を見る、今日の全行程の半分は過ぎたはずだ。国道138号線に入ってから、頻繁に通る赤キップ予備軍の大型車に悩まされる、いささか息苦しい感じである。“山中湖西”交差点を過ぎ、富士吉田まで8km地点で10:29,7kmの所で10:41,自衛隊の北富士演習場付近を通過する頃には、富士山は薄いベールに包まれ輪郭がかすれていた。
  
  平野の三叉路附近                          みさきと富士山

  
  木に隠れた富士山                         漁師の生活の場と富士山

  
    カモが遊ぶ山中湖                         山頂が霞んできた、富士演習場入口付近で

 富士吉田まで5km地点で11:05、忍野を出発して6時間が経過した、疲れた、10分ほど休んで再スタート。間もなく、昨夕車で入った“忍野入口”交差点を通過すると、少しずつ下る。右手方向が開け、富士見公園前に出る、北方向の三ツ峠山が目に止まる、10本ほどアンテナが見える。11:40富士見バイパスへの道を分けると、道路標識は河口湖に変わる。昼時に近く交通量はピーク、若干渋滞気味、走る車は全国区、さすが一級観光地である、歩く人我独りなり。

 丁度12:00、富士浅間神社に到着、大きな銅葺きの鳥居をくぐって、大きな杉木立の中の参道を歩く。両脇に立つ無数の石灯籠から歴史を感じる。灯籠の終わったところに御影の台座があり、案内板に『神仏混淆の時代 五重塔・鐘楼・仁王門など仏教色の濃い壮麗な堂塔があり 美事な調和を見せていた。明治初年「神仏分離令」施行の際撤去されたが、礎石は難を逃れ往古のままに現存して昔日の面影をしのばせている・・・・』と説明されていた。本殿の両脇には檜・杉の大樹があり、最奥には“冨士北口登山本道”なる石柱がある。吉田口からの登山は、ここ北口本宮冨士浅間神社を起点として、2合目の御室浅間神社を通り、山頂の浅間大社奥宮へ至るコースを六根清浄を唱えながら歩いたそうである。
  
 ほぼ最高地点を通過                        富士見公園附近から三ツ峠山

  
   富士浅間神社                           冨士北口登山本道の石柱

  
  本殿                                   本殿脇にある冨士夫婦檜

 12:27酷道(国道)を逃れて、境内から西に抜けると、ビジターセンターへ通じる脇道があった、人家の間を抜けていく狭い道である。東海自然道の道標を見ながら歩いたが、突き当たり、左“市営住宅”の方向だけしか案内がなく、住宅地に迷い込んでしまった。山の中に入りこみ上がったり下がったりして広い道に出た、河口湖への道を尋ねると「真っ直ぐ下って国道へ出て・・・」、と教えてくれた。結局13:05国道へ出ると“昭和大学入口”の信号で、1.5kmを38分かけて歩いたことになる、“骨折り損のくたびれもうけ”であった。

 13:14河口湖町に入る、丁度富士急ハイランドのジェットコースターの脇である。きんきらきんのコースターが垂直?に落ちてくる、路上の車とコースターのゴーゴーという音だけで、キュヤーキュヤーした雄叫び?は聞こえてこなかった。道なりに進み“東恋路”交差点で右折、河口湖大橋料金所の手前を右に曲がって、やっと河口湖の湖畔に出た14:08。湖畔の人混みと車で渋滞する道を歩き、15:14河口湖美術館駐車場着。第1日目を終了した。
  
 富士山に雲がかかった、14:34浅川バス停付近から     17:30美術館附近から

 2日目
夜も明けきれぬ河口湖湖畔、美術館前を5:00スタート。昨夕見た地点から富士山は全く見えない、それどころか周辺の山はどんよりとした雲が立ち込め、時々小粒の雨があたる。通り過ぎる車もライトを点灯し通り過ぎて行く。キジのケーン、ケーンという鳴き声が響きわたる、徐々に明るさを増す。大石小学校の脇を通過する頃にはすっかり明るくなって、富士山の東側の裾野がちらっと覗く、雨も心配なくなったらしい。うの島という小さな島があるが、その方向から犬の鳴く声のようなものが伝わってくる。水面では鵜が弧をなして泳ぐ、黒い陰が島沿いに点々としている、多分、川鵜だろう。

 6:00、悲恋の伝説「留守ケ岩」の横を通りかかると、対岸からすばらしい鐘が聞こえてきた、静寂の湖に響き渡る音色は何とも表現しようがない。間もなく日本渚百選と書かれた湾状の所に出る、アヒルより一回り小さいガンを2羽見かけて写真に、どうやら犬声の主はこの鳥らしい。なぜ今の時期ガンがいるのだろうか? 

 ここまでは湖畔を歩いてきたが、富士山は見えないし、道筋も水辺もゴミだらけだし、冗談にも「綺麗だな」は発せられなかった。しかし、ここからはゴミが全く見えないのである、疑問の2だる。6:21小さいトンエルを抜けて足和田村に入る。地図で見るとこの辺の地形は、同じような湾状な所が4ヶ所あり、4つの岬を形成している、どうやら2つぐらいをトンネルで結ぶ工事が進められているようである。6:41河口湖から西湖への道へ合流する。
  
 断崖に建つ別荘、・・なあ                      ガン(カナダガンが住みついているらしい

  
  同じくガン                               河口湖の西湖畔の集落

 道はここから先程来見えている、山並みの一番低いところのトンネルに向かうようである、道路を一部旧道を歩いて斜面の畑を横切って、トンネルの手前で道に出た。ここからこの尾根筋にある足和田山、毛無山へのハイキングコースがある、丁度これから向かう人達に会う、「天気が・・・」と言っていたが、誰も同じ事を考え、言う、6:57。

 文化洞トンネルを抜けたところで西湖を眼下に見る丁度7:00、道は西湖の両岸へ分岐していた。ウイークデーで通る車もなく、静かな湖畔である。この道は河口湖と上九一色村を結ぶ山梨県の県道である、別名を湖北ビューラインというらしい。しばらく歩いたところで、西湖の水が綺麗なことに気付く、気のせいではないだろう、太陽光の関係でもない、上から見る透明度がまるっきり違う、青さが違う、疑問の3ということにして先へ急ごう。

 西湖のほぼ中間地点で家に電話する、「生きてるで・・・・・」。7:55西の端に出たところで、滋賀県から来た夫婦に会う、話題は同じ、「高気圧におおわれてと言っていた、なのに・・・・」、「雨が降らないだけいいさ・・・。気を付けて・・・」で別れる。8:00丁度、歌碑の前に立つ、どうやら歌のようである、“ああ西湖よ”というのだが社会勉強がたりない、8:05対岸の道と合流して青木ヶ原樹海へと進む。
  
   静かな湖畔、西湖                        西の端、対岸はもう青木ヶ原の樹海

 西湖を出て左に小さくカーブすると樹海遊歩道がある、ここに青木ヶ原樹海マップが立っていた。写真があって、青木ヶ原の向こうに富士山があり、西湖に逆さまに写す、その傍らに咲く月見草である。太宰治の「富士には、月見草がよく似合う」という『富嶽百景』の中の文章は、あまりにも有名である、場所はどこ、ここ、疑問の4。
  
 サンシュユ、植えたもの?                     茅葺き家2棟、野鳥の森公園

 野鳥の森公園を過ぎると、青木ヶ原樹海の真っ直中を通っていく、樹海は今の時期は意外に明るい、道路から覗く限り、苔むした火山岩が複雑に噛み合い、僅かに形成された表土に、赤松など高木の常緑樹と落葉広葉樹からなる混生林である。箱根伊豆方面に自生するヒメシャラも多数見られる。良く話題になるが、迷い込んで方向がわからなくなる(磁石が狂う?)とかいう。見た感じであるが、起伏がかなりあって、あちこちに大きな穴が開いていて(岩石の隙間)、とても真っ直ぐ歩ける状態ではない。当然ガスっていたり、曇った日など、足元ばかりに気を取られていたら危険であろう。そんなことを考えながら、8:37上九一色村へ、国道139号線へ8:48。
  
   青木ヶ原樹海                           青木ヶ原樹海

 またまた大型車に悩まされる、東海道から中央道への抜け道なのか、でっかい車が猛スピード走っている。ここにも青木ヶ原樹海の標識あり、低木のアセビもちらほら咲き始めていた、小休止。ここから、しばらくゆるい下りが続き、9:31“赤池”信号を右折して精進湖に着いた。
  
   アセビの花                             ここにも青木ヶ原樹海の標識

 精進湖は小さいが北を回るルートは入り組んでいるので長い、ほぼ一周してまた国道に出る感じである。しばらく先ほどの信号から分かれた国道358号線を歩く、こちらも大きな車が吹っ飛んで行く、湖岸を小さくなってとぼとぼと歩く、9:52国道358号線と分かれて静かな湖畔の道へ入る。曇天下に湖面が小さく波立っていた、傍らでは小さな畑でジャガイモの植え付けをする老夫婦、絵になる風景である。

 湖の北端で、精進の大杉の案内板を見て北に目を移すと、70,80m先に大きな木がある。早速その方向へ、人家の横から柵の間を通り根元へ出る。精進諏訪神社の御神木で、目通り10m、樹高40m、樹齢1200年で現在でも樹の勢は盛んだとか、国の天然記念物指定である、見事な大樹であった、9:57〜10:09。
  
   ひっそりとした湖面                        ジャガイモの植え付け

  
  精進の大杉                              精進の大杉

 10分ほど歩くと、パノラマ台登山口にさしかかる、晴れていればここから入り、烏帽子岳を越えて本栖湖へ下る予定だったが、路上を歩くことにする。湖の西側で小さなトンネルを抜ける、まだ精進湖が続いているのかと思ったら、独立した小さな湖が2つあるのだそうだ、10:52国道に合流。
  
   精進湖の南にある分離した小さな湖                樹海を覗く

 いよいよ富士五湖巡りも最終段階に入った、緩い登りが続き尾根手前で中道往還の標識有り、峠の反対側には東海自然道の道標有り、いずれも烏帽子岳方向に向かうハイキングコースのようである。峠を越え緩やかに下る、11:23上九一色中入口、11:37本栖湖方面へ右折、本栖湖は目と鼻の先11:40本栖湖バス停着。
  
   本栖湖、バス停付近から                      歌碑

  
        本栖湖                             富士山がうっすらと南東に

 予定では、晴れていれば、湖畔をあと4kmほど歩き、¥5000札の富士山を眺めバスで河口湖へ戻るコースであった。時間的には2時間ほどあり充分であるが、湖畔を散歩して今回の計画は終了とした、散策して12:15バス停へ戻る。

 総所要時間は17時間29分であった、2日目の天候が残念だった。国道を歩くのは正直言って面白くない、景色も遮られる部分が多いし。富士山はやはり周辺の山頂」から見た方が、湖も山も綺麗かもね。でも疑問点が4つ残った、あとでゆっくり調べよう。


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