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富良野岳(ふらのだけ)1912.2m
  
山行日
    2003年7月29日  晴れ  単独

コース
    十勝岳温泉→上ホロ分岐→富良野岳稜線分岐→富良野岳→富良野岳稜線分岐→三峰山→上富良野岳→
    上ホロカメットク山→上富良野岳→上ホロ分岐→十勝岳温泉

 今回の北海道の山旅の最後を飾るべく、富良野岳へやってきた。これには確たる理由はない、何となく向いてしまったというところ。初めから計画にあったなら、芦別岳の前後で登っていただろう。この山は過去に2回歩いたが、雨で山並みを見てない。黒岳まで縦走した時に、上ホロ(上ホロカメットク山)の避難小屋まで行ったらカラッと晴れて、トムラウシまでは良い天気だった。今日は天気もいいらしいので、富良野岳、三峰山、上富良野岳、上ホロカメットク山を堪能する予定である。

 4:15十勝岳温泉の駐車場を出発する、薄い雲がところどころにあるが、現在のところまあ良い天気である。安政火口の入口まで、ヌッカクシ富良野川に沿って整備された広い道を歩く。すごいなー、切り立った噴気のあがる安政火口を見ながら、深い谷を渡って対岸に出る。ハイマツの道を緩やかに登る、マルバシモツケ、イワブクロが苔むした岩場にひっそりと咲いている、朝日をあびた富良野岳が右前方に見える。

 間もなく、4:55、上ホロの分岐点を過ぎたところで、エゾコザクラ、ウコンウツギ、サンカヨウの花を見る、サンカヨウは雪解けを待つようにして咲く花なので、ごく最近まで残雪に被われていたのだろう。ここから少し回り込んで三峰山沢付近にさしかかると、お花畑が広がる、エゾコザクラ、アオノツガザクラ、チングルマの群落である、エゾノツガザクラの可愛いピンクの花も点々と見える。付近にはまだ雪渓も残り、チングルマとエゾコザクラが仲良く岩にしがみついて、体に似合わない大きな鮮やかな花をつけていた、そのいじらしい姿にしばし見入る。

 お花畑は緩やかな斜面に沿って続く、早咲きのチングルマは渡るそよ風に、もう薄茶の毛をなびかせていた。エゾノツガザクラとアオノツガザクラ、紅白競演の舞台である、チングルマが取り囲んで囃し立て、ウサギギク、シナノキンバイが応援歌を歌う。短い夏の花たちの舞台は、果てしなく時間を忘れさせてくれる、ありがとう北海道の大自然、、6:14主稜線に出る。
  
 安政火口を望む                             朝焼けの富良野岳

  
 ウコンウツギ                              サンカヨウ

  
 アオノツガザクラ                            チングルマ

  
 エゾコザクラ                               エゾコザクラ

  
 エゾノツガザクラ                            シナノキンバイ

  
 チングルマ、後ろは富良野岳                  エゾノツガザクラ、鞍部が上ホロと富良野岳の分岐点

  
 チシマフウロ                              シナノキンバイ

 ここは、富良野岳と三峰山(サンポウザン)の分岐点で、富良野岳の肩のようなところである。大勢の人たちが腰を下ろした跡でしょうか、広場という感じになっている。一昔前、はじめてAさんと歩いた時は、登山道をはさんでこんもりとしたイワヒゲが連続していた記憶がある。今はそれらしきものはなく、精根尽きたハイマツの根本に、イワギキョウが縄張りを主張するかのように咲いていた。東方向には三峰山、そして十勝岳が薄っすらと見えていた、6:24富良野岳山頂へ向かう。

 鮮やかな紅紫色のエゾツツジのお出ましである、綺麗だ。この花をはじめて見たのは北海道ではなく岩手山である。勿論、花については図鑑を見て知っていたが、一瞬目を疑った、何故岩手山に? 咲いていたのはたった一輪だったが感動したね、金縛りにあったようだった。それから幾度となく会っているが、これこそ樹形に似合わない大きな花をつけ、コメツツジと対照的である。ウサギギク、ウメバチソウ、トリカブト、ヨツバシオガマ、イワギキョウ、ミヤマオグルマ、チシマフウロ、と高山植物のオンパレードが続く、足元に気を取られっ放しで6:59山頂着。
  
 イワギキョウ                             上ホロと富良野岳の分岐点

  
  ダイセツトリカブト                             ヨツバシオガマ

  
  エゾツツジ                                エゾツツジ

  
 ウサギギク                                富良野岳山頂直下

 1912.2mの山頂に着いて、目を接写から望遠に切り替える。薄っすらと霞みの中に十勝連峰が墨絵を重ね合わせたように天辺を出す、青い空、たなびく白い雲。奥から、美瑛岳、十勝岳、上ホロカメットク山、上富良野岳、三峰山の陰影の峰。ここから見ると、やっぱり十勝岳は王者だ、大雪山系の山並みまでも従えて映し出している、ベーリーグッド、これだから山歩きは止められない。目を標準に切り替えると、南はふんわりした緑の笹の斜面の向こうに、原始ガ原が広がる、雄大な景色。

 遠近切替えながら眺望を堪能していると、足元にお客さんのお出ましである、シマリス君だ。愛嬌たっぷりにあっちの岩からこっちの岩へとポーズを繰り返す、背を屈めてカメラを向けていると、レンズの前までやってきた。私のデジカメは反応が遅い、リス君のこまやかな演技についていけない、せっかくだけど、ゴメンネ、7:26山頂をあとにする。
  
  富良野岳山頂                             山頂から十勝岳(一番高い山)方面

  
  山頂から大雪山系(左)と十勝連峰(右)             山頂から十勝岳(一番高い山)方面

  
  シマリス、山頂で                            シマリス、カメラの真ん前でーす

 正面に十勝の山並みを見ながら、足元の花に目をやりながら、山頂から下る、分岐点7:48。ここからは大パノラマを見ながらの稜線歩きとなる、小さいアップダウンを繰り返しながら、前良し振り向いて良し、足元見て良し。いいねー、遠ざかっていく富良野岳、くっきりと近づいてくる十勝岳切り立った人を寄せつけない断崖絶壁、立ちのぼる噴煙、湧き上がる雲、自然景観の動的・静的な光景に言葉もない。三峰山8:46、上富良野岳9:20、上ホロカメットク山9:42、小休止、上富良野岳へ10:01戻る。
  
  イワギキョウ                              三峰山付近から十勝岳

  
  三峰山付近から十勝岳                      三峰山付近から十勝岳

  
  三峰山から十勝岳                        上富良野岳から三峰山と富良野岳(奥)

  
 安政火口側の岩場                          安政火口側の岩場

  
 上富良野岳から上ホロカメットク山と十勝岳           上富良野岳から三峰山と富良野岳(奥)

  
  上ホロカメットク山から十勝岳                 上ホロカメットク山から上富良野岳、三峰山と富良野岳

 ここからは右手に安政火口の荒々しい山肌と噴気を見ながら下る。左のハイマツの斜面には、点々と高山植物が咲いていた、瑠璃色のミヤマリンドウ、純白のエゾイソツツジ、マルバシモツケ、イワヒゲが咲いていた。わずかに残った雪渓の際には、キバナシャクナゲが今を盛りと咲いていた、これも気高い高嶺の花だ、いいなー山並みにぴったりだ。急斜面に設けられた木製の階段を踏んで今朝歩いた登山道に合流する、10:45。ヌッカクシ富良野川を渡り、沢沿いに歩く、もうエゾリンドウが咲いている。富良野岳は、今の時期、春と夏と秋が同居しているようだ、それだけに中味の濃い景観を展開しているから楽しめる、11:50十勝岳温泉駐車場へ戻る。
  
  ミヤマリンドウ                             エゾイソツツジ

  
  マルバシモツケ                            イワヒゲ

  
 キバナシャクナゲ                            キバナシャクナゲ

  
上ホロと富良野岳の合流点                      エゾリンドウ

 総所要時間7時間35分、ゆっくり楽しみながら歩けた山行であった、満足度120%としておこう。また歩きたいなー、誰か誘って。凌雲閣の露天風呂から、三段山〜上ホロ〜富良野岳のパノラマを見て、感動をもう一度噛みしめる。今回の山歩きの最後に、好天に恵まれ、絶景を堪能することが出来て、いい土産ができた、満足、満足、もう一つ満足だ。


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