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荒山(赤城山)

山行日
    2003年3月10日   晴れ    単独

コース 詳細はこちら
    赤城神社→(一部ヤブコキ)→櫃石→(一部ヤブコキ)→上の避難小屋→荒山→荒山高原→下の避難小屋→
    荒山登山口(駐車場)→大穴のブナ→(一部ヤブコキ)→櫃石→(一部ヤブコキ)→三夜沢のブナ→赤城神社

 赤城神社本宮(宮城村三夜沢)から荒山へ歩き、帰路大穴のブナ、三夜沢のブナを見て一周しようという計画をした。実は先週やってきましたが、大風と横殴りに降るみぞれに中止して、今日は出直しである。6:51赤城神社の駐車場を出発する、雨具のズボン、スパッツというスタイルである。社殿東側から、立ち並ぶ祠の前を通り真っ直ぐ上に向かう。いきなり杉森の急登で始まり、20分ほど多少蛇行しながら歩く。篠竹が生い茂る藪を抜け、標高750m附近で正規のルートに飛び出た。道はきれいに払われ、3mほどありタイヤの跡があった、7:20。緩やかな道は、間もなくY字に分岐し、木柱に櫃石は左500mと書かれていた。残雪には靴跡がはっきりと残っていた、昨日歩いた人のものだろうか。右にカーブして200mほど進むと、赤松と黒松の混生林の中に金網に囲まれた大きな石、櫃石(ひついし)があった、7:43。昭和38年9月群馬県の史跡として指定されている。

ぐんま県埋蔵文化財調査事業団のHPによると、『長径4.7m、短径2.7m、高さ2.8m、周囲12.2m程の、南北に長い自然の石で、まわりにもいくつか石がありますが、ひときわ大きくて目立ちます。この石のまわりから、小さな手づくねの土器や、滑石で作られた玉や剣形の飾りなど古墳時代のまつりに使われた品物がたくさん見つかる、ということが江戸時代から知られていました。なかには、7cm以上もある大きなヒスイの勾玉もありました。山や、大きな石に神様が降りてくる、という信仰があったことを示す代表的な遺跡であります』、と書かれています。

 ここから、すぐ北にある三角点を踏んで殿林へ抜ける登山道まで櫃石の西側をトラバースする、地図で櫃石からのルートを確認して7:52出発。三角点は稜線の延長線上約60mのところにあった、稜線づたいに踏み跡があるようだ。比較的なだらかな斜面を、つつじの低木をかき分けて、高度を保ちながら進む、8:14、標高890m附近で登山道に出た。若干予定より上方である。帰りのため3ケ所目印のテープを付けた。
  
           櫃石                            櫃石の先の三角点

 登山道には雪が10cmほどあるが、一段低くなっており、迷い込むことはない。標高1000m附近で分岐点に出る、道標もなく、地図上で荒山へ向かう東側のルートなのか赤城温泉に下るルートなのかはっきりしない。西側の予定のルートで進む、小さな沢を渡りはみ出した尾根を巻くように進む。小さな沢筋に出る、これを渡り右岸を登って沢の上部で右にトラバースして再び登山道に出て(正規ルートはこの沢を渡らない)8:52、少し進んで9:01稜線に出て、緩やかな登りがしばらく続く。標高1200m附近に道標があって、左赤城大洞バス停8.5km、通ってきた方は赤城温泉となっていて、登山道は西側に回り込むようにカーブしていた。1カ所南に面した所が開け、富士山が枝の間に姿を現していたので写真を撮った。
  
赤城大洞バス停8.5km、手前赤城温泉の道標           木々の間に富士山が現れる

 そのままちょっと進み小さい沢を渡って、道は左避難小屋(下)1.1km、右荒山山頂1.3km、手前赤城温泉2.5kmに分岐した、9:11。登山道はすっかり雪の下となっており、つつじの間の道らしきところを探して進んだ。吹き抜ける風が強く雪が舞い上がり、時々視界を遮られる、下の固い雪と新雪に層があり、スリップして歩きにくかったが、アイゼンを装着せず避難小屋までたどり着いた、10:11。アイゼンを付け、駄菓子を食し、とりあえず空腹を満たす、横向きに置いたピッケルが10分たらずで凍り付いてしまった、10:21避難小屋を出る。
  
左避難小屋(下)1.1km、右荒山山頂1.3km          ツルウメモドキの咲きガラ

 あと山頂まで標高差で150mそこそこである、雪の量が急激に増している。相変わらずの強風に悩まされる。吹きだまりは低木の間を枝をかき分けくぐり抜ける、眺望の利く岩場も今日はパスしてもくもくと歩く、大きな岩の隙間もありドキッとする。山頂近くになると樹木に着氷が見られ、美しさに立ち止まる、荒山山頂着10:59。

 山頂には大きな吹きだまりがあり、いつもと様相を変えていた。黒檜山は雲に包まれていたが、その奥の袈裟丸山はぼんやりと山体を映していた。風が弱まる瞬間を狙って、周辺をカメラにおさめる。鈴ケ岳、地蔵岳、長七郎山がやっと、というところである、11:08下山開始。
  
  山頂近くの木々                           同登山道

  
  荒山山頂、中央が祠                          山頂より地蔵岳

  
  同じく鈴ケ岳                                同じく袈裟丸山

 荒山高原への下山は岩場のゴツゴツした急斜面ではじまる、積雪は膝を超えているが、程良く締まりアイゼンも利いてスイスイと足を運ぶ。直ぐになだらかな吹きだまりの尾根になる、2m前後ありそうだ。仕方なく北側の樹林帯の中を巻く、それでも腰まではあった。こんな吹きだまりが10ケ所ぐらいあった、その度に上を巻き下を巻き小幅にルートを修正しながら進む。景色を眺める限りでは、それはすばらしいの一言につきるが、これが登りであったならとっくに引き返していただろう。箕輪への分岐にかかるところで、引き返した真新しい靴跡を発見、この跡を迷わず荒山高原まで下る、11:52。
  
  吹きだまり、荒山西面                      吹きだまり、荒山西面

  
  吹きだまり、荒山西面                       吹きだまり、荒山西面

  
  吹きだまり、荒山西面                      吹きだまり、荒山西面

  
  鍋割山、荒山高原付近から                   鍋割山附近、荒山高原から

 ここまで下ると積雪も平均して30,40cmと急激に減った。下の避難小屋まで、つつじの間をゆるやかに道は進む。新雪がアイゼンに貼り付き団子状になり、ピッケルで時々叩きながら歩く。小屋への半分道中の所で荒山を引き返した方に会う、勿論今日初めて会う方だ。鍋割山登山口から入り、荒山をまわって荒山登山口に下り林道を車まで戻る予定だったそうだ。あきらめるのも勇気がいる、この方の判断はすばらしい、12:05下の避難小屋着。ここと荒山高原の標高はほとんど変わらない、積雪も同じようであるが、雪質はベタッとした感じでアイゼンが邪魔になり、思い切ってはずす。下るにつれて、雪の量は減りさっきの吹きだまりが嘘のよう、荒山登山口着12:32。簡単に昼食をすませここからのルートを確認して、12:39通行止めの林道に入る。

 落石防止の工事場を左に見て、道路は大きくカーブし、ヘアピンの先端で大穴川の橋を渡る。すると左手に“宮城村 天然記念物 大穴のブナ”の木柱あり12:55着、でも方向と距離が書いてない。当HPの掲示板に投稿された内容で、100mほど入る、とありましたので迷わずブッシュに入り込む。すると眼前に、それは堂々とした大樹が真っ青な大空に枝を広げているではないか。荒山の主のようだ、そばの大きな岩の上に祠が祀られていた。案内板には“樹齢300年、周囲4m、樹高25m、・・・赤城山は比較的新しい火山であるため、赤城カルデラの大沼付近の一部を除き、ブナの生育は少なく、・・・・ミズナラ林が発達している。そのため赤城南麓地域ではブナの巨木は希で、巨樹に成長したこのブナは貴重なものと言える”、と記されていた。過去にはブナにおおわれていた時代もあった、ということを書物で読んだことがあるが、鈴ケ岳北面では大木はないが数的には結構見られるし、尾根筋を歩いていても点々と見られる、ところからいずれが事実なのだろうか。いずれにしても、この巨樹はすばらしい、13:10林道に戻る。
  
  落石防止の工事現場                        落石防止の工事現場

  
  大穴のブナ案内板                           枝の分かれた部分

  
      幹回り、西側から                      わきには祠が祀られている

  
    巨樹、大穴のブナ全景                      大空に広がる枝

 林道を更に進むと、林道大穴線の分岐の所が、鍋割相吉線の東側の通行止めとなっていた、13:16。ここから林道大穴線を500mほど進むとコナラのモデル林の看板の所に13:29出た。工事用の林道に入り、しばらく進むと少し下って沢を渡り、30mほど先で道は終点となっていた、13:41。ここから今朝櫃石からヤブコキして登山道に出たポイントを目指して、トラバースする。ところが斜面が急でどうしても下降気味になる、イバラを避け、崖を巻き、やっと登山道に出たが残雪の上には靴跡はなく上へ向かう。すると50mも歩かないうち目印を発見、一安心する、13:59。また櫃石までのヤブコキが始まる、ここは起伏が小さく歩きやすい、多少大きな木と茂みを避ける程度である、下りすぎないように少し稜線の上を目指して歩く。稜線に出るとうっすらと道らしきものが南北に続いている、多分これを行っても荒山へ行けるのだろう、自分で妙な納得をする、14:20櫃石着。
  
  鍋割相吉線にある道標                       鍋割相吉線の東側の通行止め

 櫃石からは登山道を下り、今朝ヤブコキして出た地点を通過する、左右の地形を見ながら標高700m附近からヤブコキして急斜面を下り、宮城村の天然記念物三夜沢のブナに、14:50出る。こちらもなかなか見事である、山中でなくほぼ平坦地、まして人工林の中にポツンと良く残ったものだ。ここにも祠があるところから、大樹を自然の神として祀ったのだろうか、そして巨樹がこの世まで生き延びたのだろうか。そんなことを考えながら、赤城神社の境内へ入る。今朝は気がつかなかったが直径1mもある大きな杉の木が風で倒れていた、その根元にも祠があった・・・・・。
  
 三夜沢のブナ、大穴のブナより一周り小さい             横に張り出した大きな枝

  
  幹周りも健康色                           無惨、寿命か、大きな杉の木倒れる

 赤城神社駐車場着15:00、ざっと標高差1000mの荒山山行は無事終わった。合計所要時間8時間09分、平地ではサンシュユが咲き、池の金魚も水面を泳いでいるが、山はまだ冬、ここへきて昨年とは大分様相の違いを赤城山に感じる。



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