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小地蔵岳・長七郎山・地蔵岳(赤城山)

山行日
    2006年3月11日   晴れ   単独

コース 概略コースはこちら
    利平茶屋森林公園→鳥居峠→(地図の破線)→小地蔵岳→長七郎山→(地図の破線)→小沼尻→八丁峠→地蔵岳→
    (新坂平に向い途中から地図の破線)→句碑めぐり遊歩道入り口→大沼氷上→大洞駐車場→覚満淵→鳥居峠
    →利平茶屋

 ネットを開くと、低山ではフクジュソウ、ザゼンソウ、セツブンソウが咲き、庭先ではロウバイからサンシュユ、ジンチョウゲへと、更新記録が賑わっている。見ていると、自然に山へと身も心も向かってしまう、こんな季節になってきました。望む赤城山の雪も日増しに少なくなり、利平茶屋のコースもそろそろ大丈夫かな、と確かめるべく車を走らせた。昨年の豪雨の爪あとは残るものの、利平茶屋森林公園まで入れた。山陰には残雪が少し見えるが、駐車場や見渡す範囲では雪がない。

 今日の予報は早朝曇り、日中晴れ、気温は4月の陽気だとか。7:48、利平茶屋森林公園駐車場を出発する。スパッツは付けたが、上はベスト、軍手といつも書く夏山スタイル。公園内の道路を歩き、登山道入り口にさしかかるとトラロープが張られていた。多分昨年の豪雨の復旧が遅れているのだろう。深い落ち葉を踏みしめ、落葉樹の森の中を進む。最初の橋(路肩軟弱箇所)を渡ると登山道に雪が現れた、靴跡があるではないか、それも複数である。昨年の崩落場所を過ぎ、残雪は増す。

 心配したケーブルカーの軌条跡に到着8:28、下から見渡せる範囲は階段が出ていたが、鳥居峠30、40mほど手前で階段は雪の下となり、荷役用の軌道につかまり上がって行くが、最後の10mほどはつかまるものがなく、一歩一歩踏みしめながら慎重に通過する、鳥居峠着8:47、小休止。
  
雪がすっかり消えた利平茶屋森林公園管理棟付近   登山道入り口、これから先は自己責任で・・・・

  
  落ち葉を踏みしめながら・・・                最初の橋を渡ると雪が点々と

  
 昨年の崩落場所、上も下もキズ跡深し          二つ目の橋を渡ると登山道の雪が連続してきます

  
 ケーブルカーの軌条跡、鳥居峠30、40mほど手前、慎重に通過する(アイゼン装着が面倒だった)

 ここまで来ると、道路意外ほとんど雪に覆われている。軽アイゼンを付け小地蔵岳北面の急登に備える。残雪は、50,60cmあるだろうか、しかし雪は締まっていて、歩きやすいグングン高度を上げ、眺望を急速に変えていく。振り返ると駒ケ岳が山頂部をのぞかせていた。東方向には袈裟丸連峰が遠望でき、更に皇海山が、日光白根山が見えてきて、山頂に近づくと駒ケ岳は黒桧山に張りっ付いてしまった。
  
鳥居峠から覚満淵、大沼、鍬柄山方向          同じく、地蔵岳

  
  鳥居峠から直登して15分ほどの所から駒ケ岳    同じく、袈裟丸連峰遠望

  
  平坦に見えますが、勾配はなかなか・・・  背後に黒桧山が頭を出し駒ケ岳は重なる、右手に日光白根山、皇海山遠望

  
 ここまで来ると山頂はすぐそこ              振り向けば我輩のトレース


  ここから見る黒桧山は雄大、左手に、大沼と五輪尾根、遠方に朝日岳と上州武尊山

小地蔵岳着9:31−9:37。スナックと茶で、道標に腰を下ろし小休止。山頂の桜とズミの芽は硬かった。平坦な山頂部は、スノーシューと山靴の跡で踏み固められていた、ここまでは沢山の人が入っているようだ。一面に生えている笹は雪の下、一気に下り、雪庇を眺めながら登り返す。低木帯を抜け周辺が開けると、長七郎の山頂である、9:52。
  
 樹林の中に小地蔵岳                     鞍部から地蔵岳

   
  長七郎山直下の雪庇                   振り向けば小地蔵岳と黒桧山

 山頂からは、荒山、地蔵岳、黒桧山の峰、上信越の山々、上州武尊山を遠望する。春霞で鮮明さはないが、赤城と上越の山、雪解けの差が大きく表れるのもこの時期である。ここで、登山道から離れ、小沼尻目指して斜めに、枝間に小沼と地蔵岳を見ながら、長七郎の西斜面を下る。斜面の雪も20,30cm、幹の周りも解けて春の兆しをうかがわせていた。勾配が緩やかになると沼は近い、雪は深くなるが足をとられることはなかった、10:08小沼尻着。
  
  長七郎山山頂から地蔵岳                 同、大沼&五輪尾根、上州武尊と上越の山遠望

  
 同、黒桧山                          小地蔵岳(手前)と黒桧山


  同、荒山、地蔵岳、黒桧山

  
 枝間に小沼、地蔵岳                    斜面の雪も20,30cm幹の周りも解けて春近し

  
 小沼に近くなると残雪は増す、静かな森、真っ白のキャンバスに映す樹木の影

 小沼を横断して渡りたいところだが、端の方が若干解けているのか水溜りができているので、道を歩くことにした。道端に残ったタニウツギの種をはたいた殻が湖と北側の黒桧山を背景に、私の好きな構図を魅せる。湖畔に祀られた祠を過ぎると例年なら深い吹溜りの出来る場所であるが、今年は大したことなくスイスイ歩ける、八丁峠着10:23。
  
 小沼湖畔から地蔵岳                    同、黒桧山、右は小地蔵岳

  
 同、黒桧山、右は小地蔵岳                小沼南側の林道

  
 八丁峠のアメダス観測点、後ろは地蔵岳        八丁峠から黒桧山と駒ケ岳

 峠には2台の車、地蔵岳のスノーハイクか、この先赤城温泉方面は当期閉鎖の遮断機。そうだ、集中豪雨で通行止めとなり、そのまま冬期閉鎖になったような記憶がある、この春は通れるだろうか。地蔵岳の雪も減っているが、木道はほとんど表面に出てない。トレースは真っ直ぐ一番左のアンテナに向いていた。良く見ると下りのトレースのようだ、登りは夏道を歩いているようだ。ここの勾配は真っ直ぐ歩いても、小地蔵岳に比べたら楽なものだ。低木と草原の東斜面、時々振り向きながら周辺の景色を堪能する。若干地表の出た地蔵岳山頂着、10:50。
  
 真っ直ぐ雪の上に山頂へのトレースが          振り向くと小沼はまだ足元に

  
  トレースは一番左ののアンテナ方向に向かい          少しトラバースして山頂へ

 今日、ここへ来たのはロープウエイの撤去跡がどうなっているのかな、ということである。“風雪にさらされてこのまま朽ちるのであろうか”、と昨年9月20日に歩いた時の山行録に書いた。解体はそのあと間もなく始まったようだ。すっかり跡形もなく取り壊され、自然に帰るのもそう遠くはないだろう。赤城の歴史として、ケーブルカー、ロープウエイ、国民宿舎etcは伝えられるだろう。ハイヒールで山頂へは、かなわなくなったが、山靴に代えて自然志向、健康志向で歩きたいものである。お陰様といって良いのだろうか、眺望は素晴らしくなった、何の建造物も視界を遮ることなく、山々と湖の大展望が広がる。多くの人々がそれに感動することだろう、赤城の新たな歴史の1ページが始まる、11:05山頂をあとにする。
  
 山頂は目の前                         地蔵岳山頂から黒桧山

  
 ロープウエイが撤去され眺望抜群             ロープウエイ撤去跡


 雰囲気が変わった地蔵岳山頂から、黒桧山と上越の山々遠望

 山頂から西側に回りこんで新坂平方向の尾根を下る。1600m付近から大沼湖畔を目指し山腹を下る。ここにも美しい落葉樹の森が広がっていた。大きな楢の木、風雪に耐えて屈曲を繰り返した木々、真っ白い斜面に映す大枝小枝のハーフトーンの文様に惹かれ、しばし立ち止まる。若干トラバースしながら下り、句碑めぐり遊歩道入り口付近に出る、11:32。道路に一番近い相葉有流の句碑に、“生きて芽吹きを 風倒の楢 霧まみれ”、なる句あり。横の解説によると、“台風で倒れたまま厳しい風雪にうたれていた枯れ木が、今日ふと見ると一望の春霧の中で思いがけず小さな芽を吹き出しているではないか・・・生きていたのだ! 楢だ! 人知れず世のかげに息づく、いのちのたくましさ、あわれさに思わず目をみはってたたずんでいた”、句は難しかったが、解説を読んで共感した次第、納得。
  
 少し西に回れば鈴ケ岳がズドーン             新坂平方向の尾根へ

  
 大沼目指し右寄りに樹林帯を下る             大きな楢の木が沢山あり

  
  道路に一番近い相葉有流の句碑              句碑めぐり遊歩道入り口に出る

 道路を横断し、シラカバの森を抜け、結氷の大沼に立つ11:38。白一色、一瞬反射光に目がくらむ、次の瞬間眼前に広がる絶景。見渡す山並みも、湖上から見ると、一味違う。ザクザクとアイゼンのリズムが足元から伝わってくる、ピッチが上がる、ワカサギ釣りをちらっと見て大洞着11:55。覚満淵を抜け、ショートカットして鳥居峠着、12:15−12:30、小休止。
  
 シラカバと黒桧山                      大沼湖畔、後ろは五輪尾根

  
   氷結した大沼と黒桧山、湖に張り出した楢の大木   氷上から小鳥島と黒桧山


       氷上から西〜東方向のパノラマ、ちょっと傾いちゃってるね

  
   ワカサギ釣れたかな?                 今日は暖かいのでデンデンはいらないね

  
         地表を現した覚満淵と地蔵岳        木道を歩いている人がいました、1人

 往路、往生した階段の雪上も無事通過、階段下で12:42、ここから少し進んだ地点で、男性に会う、仕度からすると、どこまで行くのだろう? やはり様子を見に来たのかな、小生と同類の人間がかなりいるのだろうか。13:10、利平茶屋森林公園駐車場着、本日の山行を終えた。総所要時間は、5時間22であった。利平茶屋からのルートは、鳥居峠の直下の雪もあと1週間もすれば安全に通れるだろう。大沼の氷上ウオークはワカサギ釣りをやっているうちは可能なのだろうか、歩いてみると亀裂のようなものが幾本も走っていたが、氷るときに出来たものだろうか、歩くときは自己責任でお願いします。春の近づいた森林に喜びを感じた山行であった。


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