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上州武尊山

山行日
    2005年11月1日    晴れ    単独

コース
    オグナ最奥ゲレンデ直下(標高1600m付近)→前武尊→剣ケ峰(東の巻き道)→(稜線の岩場)→家ノ串→
    中ノ岳ジャンクション→上州武尊山(沖武尊)→中ノ岳ジャンクション→家ノ串→(稜線巻き道)→
    剣ケ峰(東の巻き道)→前武尊→最奥ゲレンデ直下

 先日10年ぶりに武尊山の裾野を散策し、またあの時見た霧氷をもう一度、とタイミングを狙った。しかし、そうはうまくいかない、今回雨が降ったか、否か、これは歩いて見なければわからない。まだ暗い林道を走り、最奥のゲレンデ下まで保守用の道を通してもらって、およそ標高1600m地点から5:50スタートする。歩き始めると花咲コースの道標あり、どうやら登山道に出たようだ、明け行く山々を眺めながら、ゲレンデの脇に造られた丸太の階段を登る、気分爽快である。間もなく尾根に取り付き川場村からのルートに合流する。日光白根山、錫ケ岳、皇海山付近が薄赤く染まる、日の出が近い。僅かに登ると遥か南に見える富士山に陽がさし、南の山々も一斉に明るさを増す。20mほど進むと錫ケ岳と皇海山の間から初冬の日が昇った。
  
 日光白根山と錫ケ岳、日の出前             赤城山と富士山遠望、日の出前

  
 燧ケ岳、日の出前                      皇海山と錫ケ岳の間から日の出

  
 薄っすらと朝日をあびた赤城山               同、皇海山と袈裟丸山

  
 同、日光白根山と錫ケ岳                  煙たなびく浅間山遠望

 斜めに差し込む日差しを受けて、葉を落としたダケカンバの樹皮は赤く染まり、ササの葉にうっすら積もった雪が白く輝きを増す。シラビソの樹林帯を抜け、緩やかな登りとなると、日光白根山を向いた石仏が現れ、ほどなく前武尊山頂2039.7mに着く、6:33。山頂には日本武尊の銅像があり、屋根に守られていた、ここで川場村の旭小屋からのルートと合わさる。縦走路を北側に下ると、正面に剣ケ峰2083m、右手に家ノ串2103mが現れる、燧ケ岳が頭を出し、至仏山も顔を見せる。西側から煙を長くたなびかせた浅間山を遠望する。
  
 前武尊山頂                          同、三角点

  
 前武尊北側から剣ケ峰の岩峰              同、至仏山

  
 同、燧ケ岳                           同、浅間山遠望

 登山道は下降すると剣ケ峰の岩峰を東側に巻く、 踏みつけられたササを踏みながら進む、歩きにくい。真っ赤な実だけ残したナナカマドと岩峰が明るいスポットをあびているよう。遠望すれば、至仏山、燧ケ岳、日光白根山が北東の山並に抜きん出て目立つ。北側に回りこんで、剣ケ峰の岩峰の北側にでる、6:50。ここに前武尊0.6km、武尊山2.8km道標がある、左手はトラロープが張られ立入禁止となっている。続く稜線は岩場で錆びた鎖が1本下がっていた、ここから西を巻くように登山道は延びていた。
  
 剣ケ峰を東に巻く                       岩峰を東に回り込んだ所から至仏山、燧ケ岳


 同、至仏山〜日光白根山までパノラマ

  
 同、中ノ岳とセビオス岳                  同、燧ケ岳

  
 剣ケ峰の北側の岩場分岐点から富士山遠望       同、浅間山遠望

 時間も早いことだし、稜線伝いに歩くことにしてストックをしまい皮手に替えた。4,5mの鎖を上がり、左右切り立った岩上に立つ、前方には小さい石の祠、痩せ細った岩場、薄っすら吹き溜った雪に躊躇する。男は度胸、といっても恐る恐る山靴を運ぶ。岩場のアップダウンを繰り返し、小さい鉄梯子を下り、やれやれと思ったら、まだ続く。幸い岩は乾いていて、うっすら残った雪も障害にはならなかった。錆びついた細い鎖を伝って正規のルートにやっと出た、7:13。緊張の連続で、とても写真を撮る余裕はなかった、30,40分かかったかなと思ったら、20分強だった。帰路はもうコリゴリ、巻き道にしよう。

  ここからも狭い岩場が2,3ヶ所あったが、危険を感じることはなかった。視界は西北側が開け、西武尊の剣ケ峰山、遠方に苗場山、谷川連峰が連なる。登り返して、歩いて来た剣ケ峰に続く切り立った岩場を眺める、4,5つ鋸歯のように入り組んだ岩がこちらを向いていた。高度を上げると、その岩場も剣ケ峰の岩峰に吸収され、ズドンと一つ天を突き上げ、すぐ後に前武尊の裾が緩やかに見えた、家ノ串2103m着7:38。
  
 剣ケ峰に続く岩場を北側から               同所から、苗場山と谷川連峰遠望、手前は西武尊剣ケ峰山

  
 左、上州武尊山(沖武尊)                 南側から家ノ串

  
 剣ケ峰                             剣ケ峰、前武尊(左奥)


  浅間山、四阿山〜苗場山遠望、手前は西武尊剣ケ峰山

 家ノ串の山頂はササと潅木に挟まれた平坦な場所で、前武尊1.5km、中岳ジャンクション1.0kmの道標のみが立っていた。ここを過ぎると、目指す沖武尊も中ノ岳と肩を並べるように見え、尾瀬の至仏山、燧ケ岳も日の向きとともに、より鮮明に青空に映えるような感じがする。セビオス岳の下、尾瀬の南側には広い、深い、武尊の森が広がっていた。
  
 家ノ串山頂                         セビオス岳(左)と尾瀬至仏山、燧ケ岳


 セビオス岳(左)〜日光白根山のパノラマ

  
 至仏山                           燧ケ岳

  
   日光白根山                       中ノ岳、沖武尊

 中ノ岳を正面に見て、ちょっとした岩場を登ると、登山道は平坦になり、右手から武尊牧場のコースを合わせる、8:05。振向けば、家ノ串と剣ケ峰のシルエットがモノクロの山並みを向けていた。遠望する360度のすばらしい山並、朝食をとることも忘れここまで来てしまった、あと武尊の山頂まで1時間とかかるまい、先に進もう。
  
 中ノ岳ジャンクション手前の岩場             同所より家ノ串、剣ケ峰

  
 同、剣ケ峰山                         同、燧ケ岳


  中ノ岳、沖武尊(左)、ジャンクション付近から

  
 同、付近の登山道                     武尊牧場方面の分岐点

 ここから登山道は、少し下り、中ノ岳を西側に巻くようにして進む。菩薩界の水、鳳の池と書かれた札の下がったところを通過、いずれも水は涸れ、泥濘が凍りついていた。低い沢状の所を進むと、ヒョウタン池に出る、ここは小さい池塘が連続し、春先ならば花々の咲き競う所だろう。今は、一面に薄い氷がはり、お腹がすいているせいか、凍りついた水辺の苔がコンペイトウのよう見えた。
  
 剣ケ峰山の向こうに、子持山、小野子・十二ケ岳、榛名山、その後の雪をかぶったピーク北岳かな、赤岳かな

  
 剣ケ峰、後は赤城山                     凍りついたミズゴケ

               
           薄氷のはった池塘(ヒョウタン池)、後は剣ケ峰、       同所から沖武尊方向

  
  中ノ岳西斜面から家ノ串、剣ケ峰、後は皇海山、袈裟丸連峰   赤城山

  
 北斜面に霧氷の残る中ノ岳                日本武尊像

 池塘を過ぎて少し登り返すと、霧氷の残る中ノ岳の北面が目に入った。あきらめていた霧氷、ここまで来て距離はあるものの桜の花が咲いたように見える。10年前の11月3日に来た時は、前武尊からこの景色をずっと見ながら歩いて来た。持ってきた3本のフィルムも残り少なくなり、景色を見て、カメラのカウンターを見て、首を立に振って納得した上でシャッターを切ったものだった。足元のハイマツ、シラビソにも若干残る、自然の芸術花、霧氷の姿、ラッキーなことである、8:40上州武尊山山頂着。
  
 中ノ岳の霧氷                        登山道脇のハイマツ

  
                    沖武尊と霧氷の残るハイマツ&シラビソ

  
                  霧氷の残るハイマツ、背景に至仏山&燧ケ岳

  
  川場村分岐点付近から中ノ岳、背景は日光白根山&錫ケ岳     川場村分岐点、ほとんど沖武尊山頂

 山頂には先客一人、栃木県足利市から来た青年が尾瀬の方向に見入っていた。持参したむいた梨を取り出し、食べながらの見物である、時々カメラを取り出しシャッターを切る。大きな梨1個分、さらりと食べ、チョコレート入りのパン1個、おにぎり1個、水をガブ飲み、「ああ、腹の虫が落ち着いた」、絶景を見ながらの朝食、ウマかった。平坦な山頂を右に左に、動き回る、スゴイ展望だ、南に歩いて来た中ノ岳、家ノ串、剣ケ峰、そして右手に剣ケ峰山、遠方に目を転じれば、赤城山、富士山、そして秩父連峰、南アルプス、八ヶ岳が連なる。荒船山、妙義山、榛名山、浅間山、四阿山、草津・志賀の山々。西から北に遠望すれば、白砂山、佐武流山、仙ノ倉山、苗場山、谷川岳、朝日岳、巻機山、そして中ノ岳、越後駒ヶ岳と上越国境の山。更に東に向って、平ケ岳、至仏山、飯豊連峰、会津駒ヶ岳、燧ケ岳、そして女峰山、日光白根山、男体山、錫ケ岳、皇海山、袈裟丸連峰で一巡する。

 西に連なる山々の向こうに点々と北アルプスが頭を出している、苗場山と佐武流山の間に見えるのは多分白馬だろう。そして右に見えるのは火灯だろう、先客と確認しあう、楽しい時間が過ぎていった。彼は剣ケ峰山経由で玉原、藤原に下って行った。代って、でっかい足を付けたカメラを持ったおっちゃんが、上がってきた、フィルムカメラとデジカメの二刀流、しきりに霧氷の輝く中ノ岳を連写していた、9:40山頂をあとにする。
  
 上州武尊山(沖武尊)山頂、背景は谷川連峰       山頂の祠、剣ケ峰山、子持山、榛名山

  
  山頂から中ノ岳                     同、剣ケ峰山、右に玉原湖

  
  同、平ケ岳(左)と至仏山                    同、会津駒ケ岳(左)と燧ケ岳


  中ノ岳、家ノ串、剣ケ峰、右剣ケ峰山、背景は日光白根山〜袈裟丸山〜赤城山〜榛名山〜


 巻機山〜越後駒ヶ岳〜至仏山〜燧ケ岳〜日光白根山


   中ノ岳、越後駒ヶ岳〜平ケ岳、至仏山〜飯豊連峰〜会津駒ヶ岳、燧ケ岳


 白砂山〜佐武流山〜仙ノ倉山〜苗場山〜谷川岳〜朝日岳〜巻機山〜〜中ノ岳、越後駒ヶ岳


            仙ノ倉山〜苗場山〜谷川岳〜朝日岳〜巻機山

 帰路は往路を戻るが、時間と共に変化する光景は常に新鮮、同じ様な所で足は止まる。武尊牧場方面分岐9:55、家ノ串10:20、問題の岩場の北側10:43着。

  また撮っちゃった、家ノ串、剣ケ峰、赤城山&榛名山遠望

  
  離れていく沖武尊                     家ノ串、剣ケ峰


       沖武尊、中ノ岳、セビオス岳、至仏山遠望

  
  家ノ串からの稜線岩場                   沖武尊、中ノ岳

  
  日光白根山遠望                      向う稜線、剣ケ峰を正面に

 矢印は直進して岩場、右に巻き道と分かれているだけで、書いたものはない。明らかに巻き道の踏み跡が濃く、皆巻いて行くのだろう、上を見上げながら、岩場をカメラに、途中で若い夫婦に会う、「川場から上がってきた、先週は何も見えなかった、今日は・・・・」と言っていた。巻き道が終わって、10:50、たったの7分で巻いてしまった。
  
 剣ケ峰北側の岩場、帰路は西に巻く           稜線の岩場

  
                           帰路に巻いた岩場

  
             帰路に巻いた岩場           往路、この岩場から取り付いた

  
   道標正面に剣ケ峰立入禁止の柵          道標右手の岩場を往路は越え、復路は西に巻いた

 巻き道の合流点で立ち止まり、周辺を見渡したがここには道標があり巻き道方向に向いている。恐らく、岩場へ進む人はいないということかな。前武尊11:05-11:15、小休止、シラビソの道を抜けて11:45スタート地点に戻り山行を終えた。
  
 前武尊北側直下から至仏山               同、燧ケ岳

  
 前武尊山頂                          同所から皇海山

  
 同、日光白根山&錫ケ岳                  シラビソの尾根を下り間もなくゴールへ

 総所要時間は、5時間55分(うち山頂の休憩60分)であった。天候に恵まれて山頂の眺望を見て、上州武尊山のすばらしさを再認識した。次の機会には、裏見の滝から入って、剣ケ峰山、玉原、藤原のコースを歩きたいものだ。


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