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谷川連峰馬蹄形縦走


山行日
    2008年8月9日    晴れ    単独

コース  概略図はこちら
    土合橋駐車場→白毛門→笠ケ岳→朝日岳→清水峠→七ツ小屋山→蓬峠→武能岳→茂倉岳→一ノ倉岳→
    谷川岳(オキの耳)→谷川岳(トマの耳)→ラクダのコル→西黒尾根登山口→土合橋駐車場

 当HPと相互リンクしているTomoの奥利根山歩きのKさんが昨年8月24日に馬蹄形日帰り縦走をした。単純にコースタイムを合計すると16時間50分、常識的に考えたら2日で小屋泊かテント泊、私も1999年にテント泊で歩いている。しかし、日帰りとなると、時間も問題であるが、累積標高差2350mがズシッとくる。私には、北アルプス剱岳の早月尾根が2240mで11時間、足利の山で2310mで13時間30分の記録がある。でも、私にも出来るかも知れない、やってみたい、となって昨年計画してみた。体力的な確認の意味で7月1日に谷川岳主脈の縦走を行った。そして北海道山行が入り、戻り梅雨みたいな日が続き、機会が少なくなってくる。どうせ歩くなら山並み、花を見ながら歩きたい、待てど安定した天気の予報がない、再度赤城山を歩いて食と水を確認する。ついにやってきた、雷の心配も多少あるが、思い切って(蓬峠からのエスケープ覚悟)決行することにした。

 土合駅で仮眠し、土合橋駐車場に移動して3:12出発する。へッドランプに照らされ光る“谷川連峰馬蹄形概念図”の文字、これを背負って山間に入る。真っ暗闇の樹林帯の中を、上へ上へとリズミカルに足を運ぶ。絶え間なく聞こえる沢の音と通過する貨物列車の走行音に何やら楽器の音が混じる。この音も消え、靴とストックの音のみが時を刻む、1時間、1時間30分経ったろうか、大きな木のムロに出る。その付近から若干勾配が小さくなる、白々と夜が明けてくる。枝間から谷川岳がくっきり見えてくる、上々である。

 土合橋駐車場から朝日岳登山口に入ると大きな案内板があり、“谷川連峰馬蹄形概念図”が目を引く

  
  小さな橋を渡り                        山道に入る

  
  しばらく急登が続き、大きなムロのある桧?に出る  若干明るくなり谷川岳を枝間から眺める

 スタート時間の設定は、松ノ木沢の頭でのご来光に合わせている、前橋気象台と松ノ木沢の頭の日の出の時間差、プラス体調を考慮した所要時間から下手な計算をしている。こうしないと気がすまないし、当たった時の快感がたまらない。予想所要時間は、昨年歩いた蓬峠までの時間値、蓬〜西黒尾根登山口までのコースタイムから割り出して、15時間を見込み、明るいうちに下山できると思っている。東の空は、急速に明るさを増し、クサリ場を通過する頃は、至仏山付近が赤く染まる、キレイな朝焼けである。
  
 急激に明るさを増し、至仏山付近が赤く染まる      クサリ場を通過

 松ノ木沢の頭着4:58、8分ほど早めに発ったので、日の出までに余裕ができた、ジュースを1本。こうして上りそうでなかなか昇らない太陽をじっと見入って待ち続けるだけに、瞬間の感動は大きい。大声で歓声を上げる、祈りの境地なる、美しさで無心に立ちすくむ者、人いろいろである。その瞬間がやってきた、昇り始めると早い、無心にシャッターを切る、1分前後で幕を閉じた、5:12赤く染まった谷川岳を見ながら歩き出す。
  
  松ノ木沢の頭で、少々、日の出を待つ             松ノ木沢の頭から白毛門

  
 日の出間近い至仏山、尾瀬笠ケ岳             同、日光白根山、上州武尊山

  
  同、皇海山、袈裟丸山                    いよいよ、日の出です


     ご来光、右が至仏山、小至仏


   谷川岳もうっすら赤く、谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳


    たちまち、谷川岳、一ノ倉岳が赤く染まってきました

  
                      白毛門           谷川岳

  
  帰路予定の西黒尾根、後ろが天神尾根とロープウエイ駅        上州武尊山

 若干下り岩場を登り返す、登山道が崩落にさらされているような感じ、付け替えもされているが、岩盤と表土に小さい亀裂が無数に走る。白毛門の山頂部が歩数と共に次々と形を変えていく、逆光の山頂と松ノ木沢の頭を下に見て間もなく白毛門山頂に着く、5:50。山頂から帰路予定の谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳のピーク、向かう笠ケ岳、烏帽子岳の峰、この青空の下で上機嫌のようだ。
  
  白毛門山頂部                       松ノ木沢の頭を見下ろす

  
   白毛門山頂部、もう少し                     白毛門山頂


白毛門山頂から谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳


   白毛門山頂から笠ケ岳、烏帽子岳


   白毛門山頂から会津駒ケ岳、景鶴山、燧ケ岳、至仏山、尾瀬笠ケ岳、日光白根山、上州武尊山遠望

 回り込むようにして下り鞍部へ、笹の露払いを覚悟していたが、きれいに払われており、快適に下る。今朝の涼しさだろうか、ヤマカカシが日向ぼっこをしている、その数が半端でない、蛇年の私でもゾッとする、大きいのは超1m、はじめて見る大きさだ。小さいピークを2つ越え、3つ目を越えて、150mほど一気に北に登ると笠ケ岳山頂である6:38。ここの眺望は素晴らしい、谷川連峰の馬蹄形の西側を一望出来る、谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳、七ツ小屋山、谷川岳寄りの急峻な山並みと深い谷、北に位置する武能岳から七ツ小屋山にかけてのゆったりした山並み、対照的で面白い。一方北側には、県境を分かつ巻機山(割引岳、巻機山、牛ケ岳)がズシッと構える、6時46分朝日岳に向かう。
  
 白毛門山頂から下って登り返したピーク付近から笠ケ岳     同、烏帽子岳

  
 同、白毛門                            同、谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳


  同、谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳

  
   茂倉岳と武能岳の間に苗場山               笠ケ岳山頂着


   笠ケ岳山頂から谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳、七ツ小屋山、馬蹄形の西側を一望


        同、巻機山(割引岳、巻機山、牛ケ岳)

  
   向かう烏帽子岳(小烏帽子、大烏帽子1934m)      ジャンクションピーク〜朝日岳


    同、燧ケ岳、至仏山、尾瀬笠ケ岳、日光白根山、上州武尊山、赤城山遠望

  
    同、白毛門                         同、谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳

  
    茂倉岳、武能岳、蓬峠                   七ツ小屋山、大源太山

 しばらく朝日岳まで四方を眺めながら小さいアップダウンを繰り返し眺望と秋の気配漂う花々を見られる。ウツボグサ、シモツケソウ、ハクサンフウロ、キンレイカ、イブキジャコウソウ、ハクサンシャジンが目に入った、7:50朝日岳着。
  
 東に下って笠ケ岳を見るとまーるく、半月の様       もう少し進むと笠型になります

  
     烏帽子岳                         烏帽子岳

  
   朝日岳                             烏帽子岳

  
   朝日岳                            朝日岳、直下

 ここには三角点(ミカゲの角柱)があるが、現在の1/25000地形図では存在しない、1999年歩いた時、位置が狂っていると言って直していたのを思い出す、今は管理外なのかな? 360度山並みを見ながら、指差し呼称、?山も十数個、素晴らしい展望をあとに、朝日ケ原の水場へ向かう、8:02。宝川への分岐点から2分とTomoさんは書いている、1分チョイかな、歩くと冷たい水の湧き出ている場所があった。空になった500ccを入れて、飲んで、キンコウカと遅咲きのニッコウキスゲを撮って、分岐点に戻る、8:15。ここで持参した水ものを書いておこう、水1.5L、他ミカン6、ミニトマト15ケ、ジュース250cc×3、ミツマメの缶詰1である。ついでに他の食料は、パン4食分、梅干、梅漬け少々である。

     朝日岳山頂、烏帽子、笠ケ岳、後ろに谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳


    山頂から烏帽子、笠ケ岳、後ろに谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳、七ツ小屋山


    烏帽子、笠ケ岳、後ろに谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳

  
笠ケ岳と後ろに谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳      北側の小ピーク

  
   北東方向の池塘の点在する朝日ケ原           越後駒ケ岳、中岳遠望

  
  中門岳、会津駒ケ岳、景鶴山、燧ケ岳遠望       景鶴山、燧ケ岳、上州武尊山袈裟丸山遠望

  
    赤城山遠望                        子持山、小野子山、榛名山遠望

 分岐点を出ると、清水峠方面から来た人に会う、白毛門の急坂をきらって新潟県側かる入る人が意外に多い、距離的には宝川が近いような気がする。稜線の東側を巻くようにして巻機山方面への分岐点、ジャンクションピークに出る、8:30。残雪期には歩いているネット情報もあるが、私の計画にはない。時々逆光の朝日岳を見ながら下る、5人のGrに会う、続いて夫婦、「どこからか」と言うから「土合から」、「今日は何処の小屋からか」と言うから「今朝、出てきた」というと、「今日はどこまで」言うから「谷川岳越えて西黒尾根から土合に下る」と言うと、「それは、鬼だ!」と言って我が面にカメラを向けていた、ハハハ・・・、化け者と書いたHPもあったね。しばらく進むと潅木の道となり、気温も上ってきたので、長袖を脱ぎ、ミニパンとなった。池ノ窪の地塘の背景に映る谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳を眺め、鉄塔のある小ピークを下ってJR避難小屋、東電の作業小屋のある清水峠に出る、9:43。
  
   ジャンクションピーク                     JPから巻機山

  
   向かう尾根筋、後ろに大源太山             5人衆はJP方へ向かった

  
  谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳             巻機山

  
   大源太山                          七ツ小屋山と大源太山

  
   朝日岳                             池ノ窪から谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳

 ここから七ツ小屋山まで250mほど登る、朝日岳からほとんど下る一方だったので、ペースダウンである。刈り込んだ乾燥した笹で滑って効率が悪い、凹んだ道は、風がなく陽だまり、いや、熱の溜まり場と化している、最初のピークを越え大源太山を見て一息つくとペースが戻る。大源太山からの道を合わせ、七ツ小屋山に着く、10:38−10:48。
  
清水峠付近、手前JRの避難小屋、後ろ東電の作業小屋   分かれ道、左旧国道で湯檜曽方面、右新潟県清水


   峠付近から朝日岳、烏帽子岳、笠ケ岳

  
  仙ノ倉山、平標山遠望、雷雲発生             七ツ小屋山

  
  谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳            七ツ小屋山山頂近し

 ここは馬蹄形の北側に位置し、朝日岳と谷川岳両極が眺められるビューポイントである、深い谷を真ん中に、走る鉄塔・高圧線、美観に欠くがエネルギーの大動脈、西の稲包山までに6ケ所集中している。仙ノ倉山方面に発生している雷雲を気にしつつ、蓬峠に向かう。
  
   七ツ小屋山山頂                       巻機山


    馬蹄形の北側に位置する七ツ小屋山から朝日岳と谷川岳両極


  向かう尾根筋、手前から武能岳、茂倉岳、一ノ倉岳、谷川岳、右奥に万太郎山、仙ノ倉山、平標山

 七ツ小屋山からの登山道は笹に覆われ歩きにくい、道はまるで見えず、段差、木片、岩があり気を使う。足元ばかり見ていると方向を見失う、方向を優先、足元は足探りである。蓬ヒュッテ着11:30、小休止。居合わせた男子2名、茂倉岳の避難小屋に泊まるとか、しばらく一緒についてくるとか。ヒュッテを出ると直ぐに湯檜曽への道を左に分ける、上空は青空、雷雲も大丈夫そうなので予定通り前進する。ここからも深い笹が障害となる、シフトダウンで燃費が落ちる。藪漕ぎはなれているとは言え、暑さと半そでミニパンで露出の皮膚がチクチク、おまけにアブが時々食いつく、どうなってしまうのだろう、12:17武能岳着。
  
   蓬峠分岐、左湯檜曽                   笹漕ぎが続く道


      蓬分岐から武能岳に向かって

  
 振り返れば蓬ヒュッテ、七ツ小屋山、大源太山、巻機山   武能岳山頂近し

  
  七ツ小屋山、大源太山、巻機山方面            武能岳山頂、南側から撮る


     武能岳山頂付近から茂倉岳、一ノ倉岳(左)

 いよいよ来たな、でも茂倉岳までは長い、標高差が400m近くある。小さいピークを3,4ケ越えた、笹道は若干良くなったが、2度ほど小休止し茂倉岳14:00着。蓬ヒュッテから一緒に歩いてきた2名は武能岳から離れた。見渡すと、雷雲はかなり発達の兆し、ここまで来たら進むがベスト、水と食料を詰め込んで14:10一ノ倉岳に向かう。
  
   茂倉岳から一ノ倉岳                   同、谷川岳

  
   一ノ倉岳から谷川岳                     一ノ倉岳から谷川岳

 一ノ倉岳に着くと谷川岳には雲が時々かかり、見えなくなることもあったが陽もさした。一ノ倉岳から岩場が連続する、蛇紋岩のツルツルした岩だ、濡れてないからいいものの滑りやすい。慎重に岩場を渡り、15:27オキの耳、15:42トマの耳、これで予定のピークは全て越えた、あとは西黒尾根を安全に下るのみ。雷雲も接近してきていることだし、早々に下りにつく。ザンゲ岩15:57、ラクダのコル16:32、危険と思われる岩場は過ぎた、残りクサリ場2ヶ所要注意。谷川岳山頂もついに霧に包まれ見えなくなってしまった。もう足元まで時々やってくる。クサリ場にさしかかる、ステンレスのクサリが濡れた感じ、素手で握ったが若干滑った、皮手をつけ安全に下る。
  
   南側に少し下って一ノ倉岳                    同、谷川岳

  
   振り返って奥の院                    オキの耳からトマの耳

  
    オキの耳                         トマの耳


         雷雲接近する谷川岳主脈

  
    トマの耳からオキの耳                 山頂をあとにして、双耳峰を振り返る

  
     オキの耳                        トマの耳

  
   ザンゲ岩                         蛇紋岩の要注意箇所通過

  
     ラクダのコル、巌剛新道を左に分ける         無事西黒尾根入口に下山

 クサリ場を終えて間もなく樹林帯に入る。ゴロゴロした石ころだらけの道、疲れのせいだろう、キツイ。窪地に出てやっと土合まで1時間の道標を見る。そして遠雷が聞こえだした。距離的には離れている、上空は雲に被われたが明るい感じで降る様子はない。ここまで来たら雨は平気だ、鉄塔を過ぎ、大きな倒木を乗り越えやっと西黒尾根入口に出た、17:47。雷鳴も止み、一旦被われた雲も青空が覗き始めていた、ラッキー、ラッキー、18:08土合橋駐車場着。


【馬蹄形縦走で出逢った花などなど】
  
     アカモノの実                      ウツボグサ

  
       シモツケソウ                       シモツケソウ

  
     ハクサンフウロ                     キンレイカ


       ニッコウキスゲ、朝日ケ原

  
     シュロソウ                      ミヤマコゴメグサ

  
     イブキジャコウソウ                   イブキジャコウソウ

  
    ハクサンシャジン                       ハクサンシャジン

  
    ○○ニガナ                        キンコウカ

  
    タテヤマリンドウ                        オヤマリンドウ

  
   ヨツバヒヨドリ                        ヤマハハコ

  
    ノリウツギ                         オオカメノキの実

  
     シモツケソウ                       オニシオガマ

  
       オヤマボクチ                    クガイソウ

  
     タカネナデシコ                      ミヤマトリカブト


      ハクサンシャジン


      谷川岳山頂部の登山道沿いは赤、白、青、黄、花盛り

 総所要時間は、14時間56分、ほぼ計画通りであった。雷雲に追いかけられ、雷鳴を聞かなかったら30分から1時間余計にかかったろう。終わってみれば、好天に恵まれ、谷川連峰を一日中眺めながら歩けた山行だった。不安含みの決行だったが、満足できる結果であった。所要時間は別として、こういった山行も適当に緊張感があり、達成感もありますね。


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