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燧ケ岳

山行日
    2006年9月20日   曇りのち晴れ    単独

コース 概略図はこちら
    大清水休憩所→一ノ瀬休憩所→三平峠→尾瀬沼山荘→沼尻休憩所→(ナデッ窪コース)→長英新道との合流点→
    俎(マナイタ)ー→柴安ー→俎ー→熊沢田代→広沢田代→燧裏林道との合流点→御池バス停⇒(シャトルバス)⇒
    沼山休憩所→沼山峠→長蔵小屋→尾瀬沼山荘→三平峠→一ノ瀬休憩所→大清水休憩所

 “台風一過で、良い天気になりそうだ”、こんな予報を信じ、荷物を突っ込んで、大清水休憩所へ。満天の星空に天の川が美しくスプレーをしたようだった、駐車場で仮眠。2:30起床、朝食をとりパッキングをして2:58出発する。先ほどまで見えていた星は、どこかへ消えてしまった。真っ暗闇の林道を一ノ瀬休憩所目指してスタコラサッサ、休憩所のちょっと手前でヘッドランプに反応してか突進してくる赤い(?)目、ストックで払ったが当った感触はなかった、一瞬のこと、何だろう。歩き方はウサギのようだったが、30,40cm位の小動物だ、こんなことって初めてだ、クマさんでなくて良かった、3:40一ノ瀬休憩所着。山靴に替えて小休止、上空は曇りのようだ、朝靄の尾瀬沼はダメかな。

 3:50、歩き出すと小粒の水滴があたる、雨かな? 三平橋を渡って沢沿いの登山道に入る。石畳、木道、階段を沢の音を聞きながら登って行く。やがて沢の音は消え、道がジグザグし、コツコツと靴音が闇夜に響き時を刻む。雨らしきものは、何だろう、灯りには光って見える、濡れる感じはしないし、木道は乾いている。道は小さいカーブが終わると緩やかな登りとなり、間もなく三平峠に着く、4:38。どうみても早すぎる、下って尾瀬沼山荘(三平峠下)着4:50、小休止して時間調整、このころから急速に明るさを増し5:00スタート。雨らしきものは三平峠付近から感じなくなっていた、今は早く雲よ消えてくれ!、と。東電の取水口、富士見峠への分岐点を過ぎた所では、燧ケ岳は雲の中、垂れこめた雲では、尾瀬沼もこうなるとタダの沼。

 でも、着実に回復しているようだ、燧ケ岳の裾が、消えてはまた現れ、少しずつ上がっていく、山頂に着く頃には晴れるかな。木道は、小沼湿原を通る、もうクサモミジがはじまっている、キンコウカの紅葉が際立つ。その中でイワショウブやミズギクが点々と咲いている、過ぎ行く夏を惜しむかのごとく。小さな樹林帯を抜けて沼尻平にでる。ここの方が若干遅いようだが、湿地帯は夏の緑を失っている、沼尻休憩所着6:00。
  
  三平峠                            雲の垂れこめた燧ケ岳

  
   尾瀬沼とフトイと東の山並                   イワショウブ、小沼湿原にて

  
            クサモミジのはじまった小沼湿原と沼尻平

  
                     クサモミジのはじまった小沼湿原と沼尻平

 ナデッ窪コースは沼尻休憩所を過ぎた所から、真っ直ぐ最短距離で燧ケ岳へ通じるルートであり、勾配はきつい。一旦湿原を抜けると、最初から最後、長英新道と合流するまで、大きな岩石の間を抜けて行く。しかも、樹林帯の中なので景色も殆ど見えない。生憎の空模様、期待するのは長英新道との合流点からだ。ただ、もくもくと、額に汗して体重を山頂へ運ぶ、30分ぐらい歩くと沼尻がチラッと見えた、感激。テーブルサンゴのようなキノコ、マスタケという名で、食用にはならない(尾瀬では動植物の採取全面禁止)、でも薄暗い樹林帯にあってはキレイだった、これも感激。1時間ほど歩いたら、雲間から山頂付近(赤ナグレ岳?)が見えた。ヨーシ晴れたぞ、こうなると足どりが軽くなる、歩幅も大きくなる、緩やかになってササの道に変り、リンドウを見ながら進むと長英新道との合流点だった、7:35。
  
   雲間からナデッ窪方面、山頂部ではないがチラッと    ミズギク

  
    マスタケ                         30分ぐらい歩くと沼尻が見えた

  
   大小岩石の間を急登する               赤ナグレ岳か、時々雲間から顔を出す

  
  黄ばんだ大きなダケカンバ                 オヤマリンドウ

 視界が一気に開け、天候も急速に回復してきた。ミノブチ岳と眩しいような雲海、浮ぶ豪華客船、日光連山丸、これは素晴らしい。じっと見入るが山頂も気になる。待っていたかの如く、雲が切れ、俎ーもクッキリと秋空の下にニコニコ顔。少し進むと、柴安ーも全容を時々見せる、これも時間の問題でしょう。最後の岩場をドッコイショ、7:55燧ケ岳俎ー(マナイタグラ)山頂着。北から西にかけては、雲海が高く、というより曇っているのだろう、ほとんど眺望がない。日光連山、皇海山、赤城山、富士山&秩父の山塊、浅間山は見える。西の柴安ーはまだ時々霧に包まれる、至仏山、上州武尊山は頭の部分を雲の上に。尾瀬ヶ原、尾瀬沼は、まだ雲の中。一休みして柴安ーに向う。

  左手前ミノブチ岳、雲海の向こうに日光連山、中央が日光白根山、長英新道との合流点付近から

  
                  目指す俎ーもクッキリと秋空の下に

  
  ジョウシュウアザミ(?)がまだ盛ん、後は日光白根山     俎ー上空はすっかり晴れ上がった

  
  柴安ーも全容を時々見せる               俎ー直下のハイマツの間を登る


  
  三角点と祠の祀られている俎ー             俎ー山頂から柴安ー


  俎ー山頂から日光連山(女峰山、男体山、日光白根山、錫ケ岳)、皇海山遠望

  
  赤城山遠望                         鞍部から柴安ー

 鞍部まで下ると、もう柴安ーは霧に覆われることはなかった。遠望する山々も、次第に雲海が沈んで、少しずつ現れてくる。山名もハッキリしてくる、やっと尾瀬沼が現れてきた、しかし、尾瀬ヶ原はまだだ。再び、俎ーに戻ると眼下に尾瀬沼が見え、少し残ったベール、これがたまらなくキレイだ、9:00山頂をあとに御池に向う。
  
  柴安ー山頂                         柴安ー山頂から至仏山


    柴安ー山頂から俎ー


   柴安ー山頂から日光連山、手前雲海の下に尾瀬沼が顔を出す

  
  赤城山の右に富士山遠望、見えますかね      浅間山、上州武尊山(チョコッと)



  
再び俎ーに戻って至仏山と柴安ー、尾瀬ヶ原の見晴付近がチラッと    日光連山と眼下にミノブチ岳と尾瀬沼

 北側からハイマツの間を通り下降する。東の斜面から日光連山が消えると、潅木の道となる、向う会津の山はまだ雲の中。ガレ場を通過し、樹林帯に入る。高度を急速に下げていく、40分ほどで樹林帯の中の高層湿原、熊沢田代に着く、9:43。ここのクサモミジは、すすんであと少しで見頃を迎えそうだ。周辺のナナカマド、クロマメノキ、オオカメノキは赤く、カエデも黄色く変化している。霧に包まれた高層湿原、晴れて背景の山並が見える光景も良いが、湿原だけの色合いの変化から強い印象を受ける。再び樹林帯を通過して、広沢田代に入る、10:13。こちらは標高が若干低いせいか、進み具合も遅いようだ、一様ではなくその差がまた面白い。
  
          ガレた斜面を横断               道もガレていた

  
  潅木の中に赤い実、オオバタケシマラン         オオシラビソとコメツガの樹林帯に入る

  
クロマメノキ、ナナカマドが色づき始めている        キンコウカの赤が目立つ

  
                        熊沢田代のクサモミジ

  
                    熊沢田代のクサモミジ

  
      ナナカマド                     オオカメノキ

  
     クロマメノキの紅葉                    カエデの黄葉

  
   広沢田代、こちの方が若干遅い、でも奇麗       後に会津駒ヶ岳があるのですが、見えませんでした

  
   サワランの実                       イワショウブの花

 田代を抜け、樹林帯の中の岩石だらけの道を急降下、木道も整備されつつあるようだが、足元に注意を要す。林間に車の走る音が聞こえると、御池は近い、ヘリの荷役で5分ほど待ち、10:44御池バス停着。停車中のバスに飛び乗って、11:00沼山休憩所着。ここで奇妙な光景を見た、バスのサイドミラーに袋に入ったヘビ(ヤマカカシ)が縛り付けてあった。聞くと、「お客さんがキャー、言うんで捕って下る途中で放すんだ」、という。これも尾瀬の自然保護であろうか、まさか?、と思った、11:03沼山休憩所出発。木道を緩やかに登って、15分ほどで沼山峠に着く、尾瀬沼と周辺の山並が一望できる、11:18。ここから少し下ると、大江湿原に出る。ここでもレンゲツツジの紅葉、草類の黄葉が進んでいた。エゾリンドウとトリカブトは今が盛りと鮮やかな濃紫色をバックに燧ケ岳を介して、撮って頂戴と言わんばかり。
  
  ゴロゴロした岩場を下り、泥濘んだ中の木道を歩く    燧裏林道との合流点、バス停まで500m

  
 シャトルバスの終点沼山休憩所                木道を緩やかに登る

  
  沼山峠から尾瀬沼を見下ろす        少し下ると大江湿原、ここでもレンゲツツジは色づきクサモミジも進む

  
    エゾリンドウは花盛り、後は燧ケ岳                 トリカブトも鮮やかに、後は燧ケ岳

 燧ケ岳と尾瀬沼を眺めながら、長蔵小屋着11:56。長蔵小屋の北側で静かな尾瀬を1枚撮る、ここから見える燧ケ岳の形は、大きく三山、左から赤ナグレ2240m、真中に御池岳2260m、そしてこの御池岳の右上に最高峰である柴安ー2356mがチョコッと見え、右に三角点のある俎ー2346m、ミノブチ岳2210mは御池岳と俎ーの間手前となっているようだ、美しい景観に吸い込まれそう。湖畔に沿って、今朝見られなかった分、ヨーク見て12:12三平峠下(尾瀬沼山荘)へ、昼食をとって12:30出発。
  
                     長蔵小屋付近から燧ケ岳


      長蔵小屋付近から燧ケ岳


                尾瀬沼と燧ケ岳

  
                      尾瀬沼と燧ケ岳

 木洩れ日の木道を上がって、三平峠へ12:44、真っ暗闇の中で見た大きな尾瀬の看板、バックが樹林となると、強調されるものだ。休憩中のグループと雑談、今日の話をすると興味ありそうに、小屋に一泊してやりましょうよ、と仲間に言っていた。午後大清水を発って長蔵小屋に泊まって、長英新道で燧ケ岳、あとは同じ、というわけだ、12:55あとは峠から下るだけ。
  
  木洩れ日の木道を上がって                 三平峠に出る

  
  一ノ瀬付近まで下ると日光白根山と四郎岳    小さな滝が林間に白い流れを

 一ノ瀬休憩所13:29、ここで靴を履き替えて林道を歩く、明るい安心感か、緑と青い空に導かれ大清水休憩所へ14:10到着、今日の山行を終えた。総所要時間は、11時間12分(シャトルバス所要15分ほどを含む、待ち時間はなかった)だった。手持ちの古い山地図でコースタイムを合計すると、歩行時間約14時間になることを付加えておこう。秋雨前線と台風、9月の山行としては、まあマアだったと思います。大清水→燧ケ岳→尾瀬ヶ原経由鳩待は2度歩いてますが、北へ抜けたのははじめて。私の記録からすると、どれも11時間前後で負担も同じようでした。


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